65.蜘蛛地獄
「うぉあああああ!!!!」
「ぎゃーーー!!!!!」
「ひぃぃ!!!!」
「やだー!!!!」
「うぇぇぇ!!!」
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁ、!!」
俺達は現在、阿鼻叫喚地獄である。
「潰せ!とにかく潰すんだ!」
「やだー!!!気持ち悪いぃい!!」
「ファイア!ファイア!ファイアー!!!」
「にゃぁぁ!!感触が嫌にゃーーー!」
「くそ、小さくてすばしっこいから難しいなコレ!」
最初の扉を開けた…までは良かった。
しかし、開けた扉から大量の蜘蛛が出てきてこの状態である。敵が居ないワケなかったよね!ダンジョンだから!
蜘蛛の大きさは大人のこぶし大。それらが何十匹も飛び出してきたから、さぁ大変。的が小さい上に素早いので、ネクターとの相性は悪そうだ。
部長は魔導銃という武器を使うが、今持っているのは拳銃型で飛びかかってくる蜘蛛を次々と撃ち落としていく。カリンとカゲも一匹ずつ確実に倒しているが、カリンは拳だからすごく嫌そうな顔をしているな。まぁ、仕方ない!がんばれ!
サクラは虫が苦手らしく、物凄い無表情で焼き払っている。…正直怖いッス。
ちなみに、俺は蜘蛛たちの吐く糸を回収して回っている。蜘蛛の糸って防具の素材になるんだよね。
何とかすべてを倒して一息つく。
ふと見ると、ムラサキさんが爆笑しながらこっちへ来た。
「ご、ごめ…ふひっ、いや流石に最初の扉でアレを引くとは…ぶふっ、いやー流石だわ。ごめんね、悪い意味じゃないんだよ。それにしても、蜘蛛の糸を…ふふっ、はー、面白かった。いや、ゴメンて」
恨みがましい視線に気付いたのか、笑うのを止めて咳払いをしながら話を続ける。
「ダンジョンの小部屋は、扉に罠があるタイプと扉が開くのを感知してモンスターが湧くもの。それと、何もないか次に向かうヒントがあるか…運が良ければ宝箱が置いてあったりすんるだ。カゲ君が罠感知使って扉を開けたのはいい手だったね。ただ、罠がなくても警戒は怠ったらダメだよ?最初からすべて説明するより体験してもらいたかったから、あえて黙ってたんだ。ほんと、ごめんね?」
「まぁ、ビックリはしたけど…」
「心臓に悪いわ」
お詫びに…と、蟲避けの薬をかけてくれた。これは一定時間、蟲型の獣を退ける効果のある薬品だ。つまり、虫除けスプレー。
作り方も聞けたから、拠点に戻ったら作ってみようかな。
その後は順調に扉を開けていき、通路にいた獣を倒して回った。これまで出逢った獣は、スケルトン・ネズミ・キノコ・蜘蛛・ヘビ。まぁ、森の中の廃城だからかな?他の階へ行くともっと種類が増えるんだろうか。
通路を進んでいくと反対側から回っていたムラサキチームと合流した。どうやらこのエリアはぐるりと一周しているようだ。…とすると。
「これはいかにもな扉だなぁ」
ムラサキチームと合流した場所には両壁に大きな扉があった。俺達は左側からぐるりと半周している。なので、右側の扉は廃城の中央部にある部屋に続いてるはずだ。左の扉は…地下かな?
「そうだね。さて、どっちから攻略するのが良いと思う?」
「そうだな。まずは扉が開くか確認しないと…」
「カギが必要みたいよ?」
「ふむ。俺達が見てきた部屋にはそれらしいものは落ちてなかったが…そっちは?」
「こちらも収穫はナシだね」
「ってことは、先に地下かな」
「うん、いいね。では地下へ行こう」
…なんか、俺達の指導になってないか?チラリとムラサキを見ると、こちらに気付いてウィンクしている。なるほど、そういう事か。
「ここは…地下牢だね」
扉を開けると地下へ続く階段があり、降りると鉄格子の嵌った穴がアチラコチラにあるのが見えた。
「ここは一本道だし、一緒に行動しようか。警戒しつつ探索するよ」
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ここまで作品を読んでいただきありがとうございます!
新たな配信者ムラサキの登場です。彼女は八聖ではありませんが、攻略系配信者としてはそれなりに有名人です。ネクターとはトリON前からの知り合いで、何度かコラボもしています。
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