63.紫のカミの人
《メンテナンスが終了しました。新たにハウジングエリアが開放されました。詳しくはハウジングエリア入り口にいるNPC『冒険者向け住宅購入窓口』のレミアへお尋ね下さい》
「お、メンテ終わったんだな」
俺達は今、ドフィ親方の家ではなく宿に泊まっていた。…と言うのも、ドフィ親方とレフィちゃんが何だかいい雰囲気になりそうだとネクター達に連れ出されたからだ。
ドワーフの宿屋はかなりのハイテク仕様で、受付も食事の提供もオートメーション化されていた。最近流行りの「非接触型サービス」ってやつだ。
もちろん、昔ながらの宿屋もあるし冒険者ギルドの格安な宿もある。
どうしてこんなに宿屋が多いのかと思ったら、どうやら近くに高難易度ダンジョンがあるそうで、早期攻略組はこの辺りを拠点にしてダンジョンアタックをしているのだとか。
「あれ?ネクターじゃん」
ネクターから宿の説明を聞きながら歩いていると、後ろからふいに声をかけられた。振り返ると、紫の髪に紫の瞳、装備も紫で統一された女性が立っていた。
「ムラサキちゃん!ひょっとしてダンジョン帰り?」
「うんにゃ、これから潜るとこー。ネクターは?」
「ワタシはクランの仲間と街ブラ中よ」
「そうなの?お仲間と一緒なら誘えないね、ざんねーん」
「何処か行きたかったの?」
「ダンジョンにねー。メンバーが足りなくって、どうしようかって相談してたとこだったんだー」
「そうなんだ。ココのダンジョン?」
「うぅん、こことは違うトコなんだけど…」
ほぅ、ダンジョンか。冒険するなら一度は憧れる場所だよなー。俺等もそろそろチャレンジしてみても良いかもな。
「シオン君!!」
「うぇっ?なんだ?!」
「あそこ、覚えてる?」
「どこ?」
「ほら、リッチと戦った廃城」
「あー、そういえば周りだけ見てそのままだったな」
「あそこに行くんだって!」
「え、あそこダンジョンだったの?」
そういえば、すっっっかり忘れてたな。あの廃城かぁ。思い出したら気になってきたぞ?
「ね、良かったらウチと一緒にどう?ダンジョン攻略なら慣れてるし人数多いほうが探索は楽なんだよね」
「そうだなぁ。カゲ達はどうだ?」
「オレは構わないッスよー。他の人の戦い方も気になるし」
「私もです」
「ウチも行きたいにゃー!」
「そうだな、俺も時間はあるぞ」
よし、行くか!
「それじゃ、リアル30分後に廃城前集合で良いかな?必要なものはネクターに伝えといたから。それじゃ、よろしくね!」
廃城前はマーキングしてあるから、ここから
「そうね、ダンジョン攻略基礎セットってのがあって、松明・回復薬・マッピング用地図・罠解除アイテムがあるの」
「罠解除アイテムか…ふむふむ、罠ってその場で鑑定して解除するのもアリなのか?」
「そうですね、可能だと思いますよ。ただ、罠は隠されてますから、まずソレを探すトコロからやらないとですが…」
「あ、オレのスキルに罠感知あるッスよ」
「そうなの?」
「シーフの時に取っておいたッス。ジョブを変更してもスキルは保持したままになるッスから」
「ほー、便利そうだな。…そのスキルとマッピングを組み合わせれば…」
「あ、またなんか作ろうとしてるー」
む、便利になるんだから良いだろ?
「ちょっと、ワタシ達だけなら良いけど今回は他の冒険者もいるのよ?ムラサキちゃんは配信者だし出さないほうが良いと思うけど」
…それもそうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます