61.楽しい買い物と恋のから騒ぎ
ヤスナガさんはそろそろログアウトの時間だとの事だったのでその場で分かれ、俺達は専門店街へ向う。
ドワーフの専門店街はすごかった…。
どデカい武器類に、毒々しい装飾の胸当て。繊細なガラス細工に、どこかの王族が身につけるような宝飾類。もちろん、普通の武器も質が高いが、その分お値段も高い。
自分で素材を持ち込めば、工賃だけで専用武器を作ってくれる工房なんてのもあった。こういう所に依頼を出すのも良いが、ウチにはドフィ親方がいるからな。
一通り見て回った後はそれぞれ気になった店で買い物だ。俺は目をつけていた鉱石類の専門店へ足を運んだ。
「いらっしゃいませ!なにかお探しですか?」
元気なドワーフ娘が出迎えてくれる。店内を見ると、さっき窓の外から覗いた以上の品揃えだ。コレはお宝の匂いがするぞ〜?
「うん、ちょっと珍しい鉱石類が無いかなって。なにかオススメはある?」
「そうですね…こっちのコーナーはこの辺りでしか採掘されない鉱石が置いてあります。これは灼熱鉱といって火の属性を持つ鉱石で、こちらは魔鉄鋼ですね。そして、ドワーフ鉱がこちらです。どの鉱石とも相性が良いので制作する際に使用すると反発し合う鉱石も大人しく融合してくれます。それから…」
一通り鉱石の説明をしてもらう。名前の知らない鉱石もあって、なかなか面白い。
「こちらはクズ石コーナーです。1カップ1万イェンで、製造過程で出た欠片なので単価は他より安くなっていますし、案外掘り出し物が混ざっていたりしますよ」
隅の方に色とりどりの小さな石が箱いっぱいに入っている。一番上の石を適当にすくって鑑定すると、色の付いたちょっとキレイな石の中に魔石が時折混ざっているのが視えた。その他にも特殊効果のある石なんかがあったので、一つずつ鑑定しながら選んでいく。
鉱石類とクズ石を大量に購入してホクホクしながら親方の家へ向う。途中でカゲ達とも合流したが、皆ホクホク顔だ。後で戦利品の自慢大会でもしちゃうか!
そんな感じでホクホクしながら親方の家に入ると、ドフィ親方とレフィさんが仲良くお茶を飲んでいた。
…あれ?なんか仲良くなってない?
こっそりサクラへ聞いてみると、女子会前哨戦(ほんとにこう言ってた)である程度話を聞けたらしい。
どうやらレフィさんは、思い込んだら猪突猛進なところがあって本人も薄々分かっているらしい。ドフィ親方の事は、親の決めた許婚者とは関係なく、幼い頃魔物に襲われかけた所を親方に守られて依頼好きになった。
しかし、親方にはその気がなく何とか振り向いてもらおうと必死だったそうだ。親方からすれば意識もしていない女の子からのアプローチだからな。押しの強さに引き気味だったのだろう。素っ気無い態度によけい焦りを感じていたようだ。
そんな時に、俺の召喚獣として契約してしまい家に帰ってこなくなって更に焦った結果、押して押してとにかく押すスタイルが完成してしまったというわけだ。
いや、それは正直スマンかった。
ナヴィ達と違って、親方は俺からの呼び掛けに応えてもらった形になるからな。
親方もナヴィも精霊に属しているが、ナヴィ・スレア・アクア・ムートは野良妖精と呼ばれる無垢な妖精に名前と役割を与えて生まれた精霊で、ドフィ親方やシルバは元々意思を持って存在している、精霊に類する種族になる。
手順に従って魔法陣に魔力を送りコチラからの要請を送り、相手がそれを受取り且つ了承した時点で召喚獣として契約が結ばれる…という仕組み。なので失敗も多い。
そう考えると、この仕組みをよく分かってないのにシルバと契約できたのって幸運だったんだな…
話は逸れたが、どうやら俺達が居ない間に二人で落ち着いて話をしたらしい。
二人に必要なのは落ち着いて対話できる時間だった…というわけだな!
うんうん、丸く収まってよかったぜ!
…泣いてないからな?
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