57.ドフィ親方の許婚者

ドフィ親方の家でのんびりとお茶を飲む。

ドワーフの里でよく飲まれる紅茶で、彼らはコレにブランデーを垂らして飲むのが好きなんだとか。

…顔に似合わずオシャンティな飲み物飲んでんな。


カゲと女性陣は二層の専門店街へ。俺は二日酔いから復活した部長がログインするのを待つ。ドワーフの里の事をメールしたら「俺も行くわ!」って返事が来たんだよね。ついでに、スマホを操作して公式からの案内等をチェックする。お、大型アプデの日程決まったのかー。アプデ内容も見ておかないとな。


ちなみに、ドフィ親方は隣の工房でムートと一緒になにやら作業中だ。ナヴィとアクアは部長をお迎えに。スレアは二階の物置を片付けている。シルバは散歩に出かけていった。

ドフィ親方が作業する音を聞きながらウトウトとしていると、突然玄関のドアがバーーンと開いた。


「ドフィーーー!!!!帰ってきたなら一言言いなさいよーーー!!!!」


勢いよくドアを開けながら叫んでいるのは、ドワーフの女性だ。知り合いか?ビックリしてソファから落ちてしまった。


「あら?ちょっと、アナタ誰?!何で此処に居るのよ。…まさか、ドフィが連れてきたんじゃ」

「え?えぇと。そうだけど、君は…」

「なんですってー!!!私という許婚者がいながら…他の女連れ込むなんて…っっ」


女?誰が?あ、スレアかアクアか…ネクター達の姿でも見かけたのか?

目の前のドワーフ女性は顔を真っ赤にしてぷるぷる震えている。


「えーと、大丈夫か?」

「大丈夫なんかじゃないわよ!!アンタ誰よ!!!」

「え?えーと、大事なパートナー?」

「なぁぁぁんですってぇぇぇぇ!!!!」

「いだだだだだだだ」


強い力で肩を掴まれて前後に思い切り揺さぶられる。痛いイタイ!!

すると、俺の異変に気付いたドフィ親方とムート、スレアとシルバが戦闘態勢になって転移してきた。おっと、召喚主に危機が訪れると発動する召喚転移だ!初めて見たな〜


っと、そんな事考えてる場合じゃなかった!まずは皆んなを落ち着かせないと…


『召喚獣・待機ステイ!!』


ドワーフ女性以外の動きが止まる。これは召喚獣を操るコマンドの一つで、勝手に攻撃しないようにその場で待機させるものだ。


「危なかった〜。えーと、君大丈夫?…シルバ達も落ち着いて?ドフィ親方の知り合いみたいだけど、なんか誤解してるみたいなんだよね」

『む?お前…レフィか?』

「ドフィ!!何処に居たのよ!この人達なんなの?!」

『何なのってー、召喚契約してるご主人様と仕事仲間だ。ちゃんと挨拶しとけよ?この方は至高の御方なんだからな』

「は?えっ?…えぇぇぇぇ?!」


とりあえず落ち着こうと言う事で、椅子に座ってスレアが淹れてくれたお茶を飲む。はー、落ち着く〜。目の前に座るドワーフ女性ことレフィさんは、真っ赤になって俯いている。ドフィ親方はその隣に座っているが『酒が良いんだがなぁ』なんて呑気にしていた。


とりあえず、アクアは部長のところへ。ムートはやりかけてたモノを片付けに隣の部屋。スレアはキッチンで何やら作っている。シルバはオレの足元で寝ている。

ちなみに、ナヴィは戦闘メインの精霊ではないから転移してきてない。


「落ち着いたかな?えっと、レフィさん?」

「はっ!はいっっ!…この度はご迷惑をおかけして…」

「いや、大丈夫だよ。ボクもドフィ親方をずっと喚びっぱなしにしてたからね」

『んで、何しに来たんだ?』

「何って…突然帰らなくなって、何処に居るかも分からなかったのに急に家の灯りが付いてて…それで…」

『なんだ、そんな事かぁ。別に今に始まった事じゃあるめーし』


おっとぉ、これはレフィさんの想いが一方通行だぞー?うーん、人の色恋なんてどうして良いかワカランぞ?俺にも責任があるから何とかしたいが…カゲ達早く帰ってこないかなぁぁぁ!たすけてー!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る