29.そうと決まれば出発準備

カゲ達と話し合った結果、全員でシュリさんの道具屋へ向かうこととなった。


さしあたっての疑問は

1.全員でエルフ領に入ることが出来るのか

2.エルフ領までの道のり

3.エルフ領に生息する獣と獣のレベルは今の俺達で倒せるのか

4.ハイエルフの里の場所の具体的な探し方

この4点をシュリさんに訊ねるのが今回の訪問の理由である。それを聞いたうえで、受けるかどうするかを俺が決める事となった。


「シオン様、皆様、お待ちしておりました!」


道具屋の前に到着したと同時に、シュリさんが勢いよく出迎えてくれる。

どうやら、朝から俺達が来るのを待っていたらしい。


「そうですね、6名までなら通行証をお渡し出来ます。これをそれぞれ首からかけて下さい。この石が通行証となります」


どうやら俺達全員入れるようだ。一つ余ったが、まぁこれは俺が持っておこう。

さて、これで課題は一つクリアしたな。次はエルフ領までの道のりだ。


「エルフ領とは領地の名称ではありません。各地に点在する大森林はすべてエルフ領になります。森には自由に入れますが、エルフの住処へはこの通行証が無ければ辿り着けません」

「えっ、そうなるとどうやってハイエルフの里を探せば…」

「そうですね…ひとまず私の里を訪ねてみますか?なにか文献が残っているかもしれません」

『ボクも、流石に範囲が広すぎて案内できないよ〜。大まかな場所が分かればなんとかなるかもだけど〜』

「そうだな、まずはシュリさんの故郷へ行ってみるか。お年寄りなら何か知ってるかもしれん」

「賛成ッス。流石にこの規模じゃローラー作戦も無理ッスからね」

「私も賛成よ。創世神話に興味もあるし」

「うみゃ…ウチはどこへでも付いていくにゃ!」


そんなワケで行き先はアケイアの森に決まった。この森に出る獣はレベル15〜20ほど。なので、俺達なら楽に行けそうだ。

場所はここから南にある森で、意外と近かった。もっと遠い所を想像してたよ…


「里で仕入れた物を売ってるので、近くないと不便なんです。エルフには独自の技術がありますから、それなりに売れるんですよ。他の森の仲間も森から近い街で商売をしてます。精霊を利用した通信網で各里とやり取りもしてるんです。皆さんの事もこの精霊通信で伝えておきましたので、安心して向かって下さい」


文献を精霊通信で教えてもらえば良いんじゃないか?と聞いたら、精霊達には難しくて出来ないらしい。通信方法は、どうやら精霊による伝言リレー形式のようだ。なので俺達の事も「シュリからでんごんだよー」「ぼうけんしゃが、ふるいほん、よみにいくよー」「おきゃくさま、もてなしてねー」という簡単なものだ。


「ね、ちょっとステータス確認しておかない?バタバタしてて細かく見てないのよね」

「そういやそうだな、ちょっと見てみるか」


シュリの店を出て、宿へ戻る。拠点はハジーメにあるので仕方ない。魔道具で戻っても良いが、カリンは拠点登録出来てないんだよな。クランの拠点だから飛べそうだけどなぁ。ちょっと聞いてみるか…


「クラン登録した時に拠点登録してあるなら飛べるわよ。ただ、こっちへ戻ることを考えるとこのまま宿で過ごした方が楽かもね。ほら、あの魔道具はまだ見られたくないでしょ?」

「あぁ、確かに。どうせ森に行くしこのままで良いか」

「 にゃ?なんの話にゃー?」

「あぁ、ハジーメにある拠点の話。宿を借りなくても拠点に戻れば良いかなーって思ったんだけどね」

「にゃるほど。ウチは何処でもいいにゃー」

「…カリンっち、実はかなりの面倒くさがりッスね」

「ぎくぅ!」


さて、明日はアケイアの森へ出発だ。

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