27.猫娘カリンの事情
翌朝、ご飯を食べながらむせび泣く猫娘がいた。
「うっうっ、人と食べるご飯美味しいにゃー…」
そーかそーか、良かったなー。
さて、今日はいよいよ隣街に到着だ。女子三人組はすっかり意気投合している。いやー、元気だなぁ。
「殴るならベア種がいいにゃー」
「えぇー、打撃は相性悪くなかったっけ?」
「それがいいのにゃ、殴りまくれるのにゃー」
「すぐに倒れないから良いですよね。一撃必殺はつまらないですし…」
「わかるにゃ!ボッコボコにするの楽しいのにゃー」
物騒だなァ!オイ!
これは脳筋猫拾っちゃったかな…あとサクラさん、何気に鬼畜発言してませんかねぇ。ほら、ムッス君の顔が若干引き攣ってるじゃないか!
「お、あれが隣街か!」
隣街…フェーヴの門が見えてきた。村や集落と街の違いはその外周を石壁で囲っているか否かで判断する。そして、門の前には門番が立つのがお決まりだ。街に入る為には許可証が必要だが、俺達は冒険者なのでギルドカードを出せば入れるようになっている。
ムッス君は冒険者ではないので、許可証を見せる。これはフェーヴの街に住む人や雇用主が申請すれば発行してもらえて、許可証がない場合は現金を支払えば中に入れるというシステムだ。ムッス君の許可証はこれからお世話になる料理店で発行してもらったらしい。
「皆さんお世話になりました!」
「ムッス君、修行頑張ってね」
「ムッス君が作った料理食べられる日を楽しみにしてるね」
「元気で頑張るッスよ」
「また会える日を楽しみにしてるわね」
「元気でにゃー!」
目的のお店へムッス君を送り届けて、任務完了。フェーヴの街の冒険者ギルドへ報告にいき、カリンのクラン加入手続きも済ませる。
時間も中途半端だし、とりあえず宿で一休みしようとなった。
「にゃるほど、ネクターちゃんは鬼族でーシオンちゃんはハイエルフなのにゃねー」
「変装してるから見た目はヒト族だけどね」
そう、以前作ったアイテムだが「ひょっとして、シルバとナヴィ連れてたら結局意味ないよね?」となったのだ。なので、耳だけヒト族になるように変装しているのである。
「それにしても、ほんとにクラン入って良かったのか?友達と一緒に遊ぶつもりだったんだろ?」
「いいのにゃ!ウチを置いていった奴らなんて知らないのにゃ!好き勝手に遊んでやるのにゃー!」
「まぁ、カリンが良いならいいけどね」
「そういえば、八聖って種族も特殊じゃなかったっけ?ワタシは鬼族だし、サッちゃんは聖魔族でしょ?シオンちゃんはハイエルフだし…」
「ウチは猫獣人じゃないにゃー。九尾の狐にゃー」
「えっ?九尾の狐??」
「狐ってにゃーって鳴く?」
「それは気分の問題にゃ」
「えーと、つまり妖怪?!」
「正しくは
そう言うと、カリンはボボンッと煙幕に包まれた。煙が晴れると、そこには間違いなく狐耳に9本の尻尾を持つ狐少女が座っていた。
「ホントは猫獣人で始めたかったのにゃ。でも、八聖になったから仕方なくなのにゃー。猫獣人に擬態してるから、動きも猫獣人ぽくなれるのにゃ。妖族のスキルの一つにゃー」
「へぇー、化けた相手の能力が使えるって解釈でいいのか?」
「そうにゃー。ただし、相手のスキルが判明してないと使えないし本物より威力も落ちるのにゃ。体術の達人ってスキルのお陰で擬態しても動けるにゃー」
「なるほど、私はどちらのカリンさんも好きですよ」
「サクラちゃん、ありがとなのにゃ!」
こうして俺達は、時間が許す限りおしゃべりを楽しんだのだった。
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