24.ランクアップ

翌朝、朝食を摂ってから昨日は見て回れなかった場所を見に行く。

集落の外れに墓地があった。無数の杭が刺さっているが、たぶんアレは墓標だ。そして、アンデッド達はここから湧いてきたんだろうな。そういえば、昨日倒してしまったがまた湧くんだろうか?


「モチロン、夜になったらまた出てくるわよ?あのリッチはわからないけど」


そりゃそーか。あくまでこの世界はゲームの中なのだ。夜になれば普通に湧くし、朝には消える。魔石集めの狩り場には丁度良さそうな場所だな。


「そんじゃ、夜になる前に帰りますかー」

「あっ、あの魔道具試してみたいッス!」

「おぉ、そうだな。使ってみるか。二人はどうする?」

「ワタシは普通に帰るわ。ギルドにも行きたいし」

「私もネクターと一緒に行きますね」

「ん、りょーかい」


シルバとナヴィには一旦還ってもらう。転移の魔道具は呼び出した召喚獣も一緒に使えるはずだが、ちゃんと使うのは初めてだからな。もちろん、拠点の敷地内ではテスト済みだ。


「それじゃ、起動するぞー」

「了解ッス。こっちもいきまーす」


耳に装着したイヤーカフに触れながら、マップを展開する。目視出来る場所なら必要ないが、離れた場所はマップから到着地点を決めるのだ。マップは自分たちが歩いた場所が表示されるようになっているので、まだまだ何も描かれていない部分が多い。マップ埋めもしないとな。

さて、マップ上の拠点を指でタッチすれば準備完了だ。そのまま魔力を流し込めば…


「よし、成功だな」


無事に拠点の自室へと戻ってきた。カゲの方も戻れたようだ。とりあえず、ネクター達を待ってからリッチ討伐のドロップ品を仕分けしていこう。シルバとナヴィも喚び直さないとな。仲間はずれは可哀想だし。


お茶を飲んで、シルバをモフモフしているとネクター達が「たっだいま〜!」と元気よく帰ってきた。


「さて、次の場所へ行くわよ!」

「え?」

「…もしかして、忘れてる?」

「パイセン、絶景巡りッスよ」


ははは。モチロン忘れてないぞ!さーて次は何処に行くのかな?!ネクターくん!


「その前に、二人に個人任務受けて欲しいのよね。今のままじゃ他のエリアにも行けないでしょ?」


そう。当然のことなのだが俺達が今居る場所以外にも街や国が存在している。噂では別大陸にも行けるらしい。そして、そこへ進むためには冒険者ギルドが発行する個人向け任務をこなさなければならないのだ。

冒険者にはランクが存在していて、それぞれのランク毎に街やダンジョンへの立ち入り許可が設定されている。


簡単に説明すると、最初は『ブロンズ』これは最初の街のみ出入りできる(集落は別)。次に『シルバー』これは国内ならどの街にも行ける。そして『ゴールド』これで他国へも渡れるようになる。実際はもう少し細かったりするが、大まかな分け方はこのようになっている。


「そうだなぁ。そろそろ他の街も見てみたいし、個人任務受けてくるかぁ」

「そうッスねー。海辺の街で海鮮も食べたいッス」

「いいわね!それじゃ、良さそうな海辺の街ピックアップしておくわね!」


そんなワケで、冒険者ギルドである。

まずは受付けでギルドカードを提出し、冒険者ランクの確認をしてもらう。フィールドで獣を狩ったり、クエストを完了させるとポイントが加算されギルドカードを受付けに提出するとポイントに応じたサービスやクエストが受けられるのだ。


「あら?随分と高ランクな魔物を倒されたんですね。これならシルバーランクへの昇格試験受けられますね」

「昇格試験?」

「えぇ。一定の功績を挙げられた方は、ギルドの発行する昇格試験用の任務が受けられます。その任務を完了すればランクアップとなりますが、早速受けられますか?」

「あ、はい。お願いします」


昇格試験ね。なるほど、これがランクアップ用のクエストになるようだ。

試験任務は『魔石10個を納品する』ふむ。これなら手持ちで十分だな。カゲの方もすぐにランクアップ出来たようだ。


「ところで、シオンさんは露天商のオジーさんをご存知ですか?野ウサギ肉串のお店なんですけど」

「あー、あの人!オジーって名前なんですね。よくウサギ肉の納品に行きますよ」

「そうなんですね!実は、オジーさんから信用できるシルバーランクの冒険者を紹介して欲しいと言われてまして…良ければお話を聞いてもらえますか?」

「わかりました。オジーさんの所へ行けば良いんですね?」

「はい!よろしくお願いします」


名前知らんかったな…オジーさん。捻りがないなぁ?まぁ、肉串補充したいし丁度いいや。

露店まで行くと、オッチャンが肉串の仕込みをしていた。


「おー、ギルドに依頼していたがシオンなら安心して任せられるな!」

「ははっ、そう言って貰えると嬉しいよ。ところで、依頼内容は?」

「あぁ、ちょいと護衛を頼みたいんだ」

「護衛?オッチャンどこか出掛けるの?」

「いんや、うちの息子なんだが隣街の知人の元へ料理の修行に行くことになってな。行くだけなら馬車にでも乗れば良いんだが、ウサギの狩りや薬草が生えているところを実際に見たいって言い出してなぁ」

「なるほどね〜。わかった、その依頼俺達が引き受けるよ。いつ出発?」

「おぉ!受けてくれるか!そうだな、3日後の早朝にここへ来てくれるか?」

「わかったよ。それじゃ3日後にね」


さて、次の街はどんな場所なんだろうな。楽しみだなぁ!

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