23.コレがほんとの「鬼に金棒」ってね
蘇生魔法…は流石に誰も使えないので、先程と同じく前に出る二人に聖属性付与をする。シルバは神獣なので必要ないが、経験値取得のためにパーティ外から二人のサポートをしてもらう。
俺とサクラは後ろから聖属性魔法と聖属性の矢で敵の体力を削っていき。前の二人がメインで敵の相手をする。
こうして、前に出て戦うメンバーを前衛、後ろに下がって遠隔攻撃と支援を行うメンバーを後衛と呼ぶ。後衛は
「では、バフかけますねー
『
『
『
『
よし、準備完了です!」
前衛二人が飛び出していく。
ネクターがリッチに向かって吠える。これは前衛のスキル『挑発』だ。ヘイトを一気に稼ぐ盾役のスキルでもある。ネクターはダメージを負う毎にステータスが上がっていくので、適切なHP管理が必要だ。
ネクターがヘイトを稼いで敵の攻撃を受けている間に、カゲがリッチに攻撃を入れていく。
カゲの武器は逆手に持った双剣だ。低い位置から素早く相手の足元に潜り込み、左右の剣で斬りつけながら高く飛び上がって距離を取る。着地と同時に敵へ飛び込み踊るように斬撃を叩き込む。
敵もカゲの攻撃が嫌なのか、時折腕を振ってカゲを退けようとするが、器用に避けて腕を斬り付ける。ネクターがその隙を突いてハルバードで胴を薙ぎ払おうとするが、ローブに阻まれて致命傷には至らない。
サクラは攻撃をあえて受けるネクターの回復を中心に、聖属性攻撃魔法や防御魔法をかけていく。シルバは二人の攻撃の隙をぬってリッチの体力を削っていく。
俺?俺はサクラへ魔力供給と弓で攻撃してるぞ!魔眼で敵の様子を見つつ、攻撃を出そうとするタイミングで矢を打ち込む。おー、めっちゃコッチ見たなぁ。しかし、その隙にネクターとカゲの攻撃がくるからコチラばかりを見ていられないんだな。
さて、そろそろ仕留めにかかろうかな?地面から蔦でも生やして拘束してみるか。ココは森の中だし、森の精霊とか居そうだもんな。
「ネクター!カゲ!敵を拘束するから一旦離れてくれ!」
精霊魔法を使う時はどんな精霊に呼びかけるかをしっかりイメージする必要があるらしい。ナヴィにどんな精霊が居るのか尋ねると『精霊は万物に宿ってるよ〜』との事。だったらお願いする精霊はアレで決まりだな。
地面に手を置きタイミングを伺う。ネクターとカゲがリッチから離れた…今だ!
『蔦の精霊!茨の精霊!目の前の敵を拘束せよ!』
リッチの足元から太い蔦や茨が伸びてリッチに絡みつく。長時間の拘束は無理だが、一時的に動きを止めるくらいは出来る。
「今だ!全力で叩き込め!」
ネクターとカゲが一気に飛びかかる。
すると、リッチの身体から黒いモヤが出てきた。それに気付いた二人が距離を取る。なんだ?アイツもだいぶ体力削れてるから大技でも出してくるかな。
黒いモヤが地面に広がると、そこからアンデッドが湧いてきた!ちょっと!!!仲間呼ばないで!!!
『
『
サクラと俺で雑魚を一掃していく。しかし、黒いモヤが出続ける限り次から次へと湧いてきてしまう。
「二人とも!雑魚はこっちで受け持つから、リッチを頼む!体力は20%切ってるから全力で!」
「りょ!」
「おっけー、大技叩き込むわよ!」
シルバと俺で雑魚を散らしていく。サクラも肩で息をしているな。そろそろキメないとヤバいかもなぁ。そう思いつつ、矢を放っていく。お、ネクターが何やら構えてるな?
「よっし、いくわよ!『
おぃぃぃ!!!ネーミングぅぅぅぅ!!!
ネクターの持つハルバードが巨大な金棒に変化する。コレがホントの、鬼に金棒だぁ!
野球のバットを振るように、思い切りフルスイングをする。
リッチの身体がバラバラに砕けて、砂のように消えていく。黒い霧も消えて、アンデッド達も消えていった。どうやら終わったらしい。
辺りが静かになって、リッチの居た場所には宝箱が二つ置かれていた。心なしか爽やかな風が吹いている。いやー、流石に疲れたな。
三人とも地面に座り込んでいる。
「おーい。とりあえず箱開けてキャンプ戻ろうかー」
「はぁーい」
「…ッス」
「うぅ…はい…」
あー、こりゃかなりギリギリっぽいな。箱を開けて中身はイベントリへ突っ込む。動けない三人を何とか立たせて、キャンプまで戻った。
お茶を飲んで一息つくと、三人も少し回復したようだ。小腹がすいたと言うので、買っておいたパンに、露店の肉串や野菜のピクルスを挟んで出す。野ウサギ肉は鶏肉に近くて味付けは照焼き風だ。マヨネーズがあると更に美味しいと思うんだよなぁ。今度探してみるか。そろそろ買出しもしたかったし。
「ふぁー、疲れた!!!」
「いやー、なかなか大変だったッスね」
「ドラゴンより強かったのではないでしょうか…」
「そうだなぁ。なかなか厄介だったな」
「なんか、パイセンだけヨユーなのはナンデ?」
「俺は弓矢でチクチクやってたダケだからなー」
「いや、シオンさんは敵の攻撃魔法に合わせて弓を撃って邪魔してましたよね。アレが無かったらたぶん倒せなかったト思います」
「シルバちゃんも、ありがとねー!」
『倒し過ぎぬよう手加減するのに苦心したわ。我が倒してしまっては、そなた等の経験にはならぬ故に』
「さすがッス…」
俺もちゃんと疲れてますよ!!リッチのドロップ品は明日にして、とりあえず寝ようぜー。
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