18.新しい同居人
『では、お部屋を整えさせていただきますね』
「うん、よろしく頼むよ。家具類は女性陣と親方で相談して決めてくれ。好みがあるだろうからな」
『任せとけ!お嬢ちゃん達が満足する家具を作ってやるぜぃ!』
「食材の買い出ししないとだな。シルバ、ナヴィ出掛けるよー」
「あー、パイセン待った。この二人住まわせるなら、他のプレイヤーから拠点を隠せないとマズイかもしれないッス」
「えっ、そうか?」
「聖地巡礼ッスよ。本人達が居なくても、推しが利用してる場所へ行くんス。だから、この拠点もバレれば見に来る人いるッスよ」
「そうねぇ。ある程度は覚悟しないとだけど…流石に気分は良くないわよね?」
「やっぱり住むの諦めるしかないかな…」
「いや、提案したのは俺だし今更ナシとは言わないよ」
しかし、何かしらの対策は必要だな。
とりあえず、敷地内の人間の姿が見えなきゃ良いかな?敷地を囲うようにフェンスも設置しようか。低木か何かがアレば良いだろうか。でもなー。
「あっ、良さそうな魔法あります」
「えっ?」
「幻影の魔法ですよ。ここに通じる道に壁作っちゃいましょう。許可したものだけ通れるようにすれば大丈夫です」
「でも、それだと維持大変じゃない?」
「そこはシオンさんの創造魔法でどうにかすれば良いんです」
「どうにかって…うーん。魔道具とか?設置型で…うーん流石に街中に設置はできないから敷地を囲うようにするか?いやでもなぁ…こういうのはエルフのほうが得意なんじゃないか?ほら、森の入り口を隠すとかそんなやつ」
「シオンちゃん、ハイエルフでしょ」
…そうでした。でも、それで一つ思いついた。互いに見えなきゃストレスにならないんじゃないかって。
なので、ムートとドフィ親方に頼んで敷地の周りに目隠しになるよう低木とフェンスを設置。そして、敷地内からは外の人間が、外の人間からは敷地内が見えなくなるような幻影魔道具を設置した。
玄関に魔道具への魔力供給を兼ねた管理用パネルを設置したから管理も楽チンだ!
試しにカゲに敷地外へ行ってもらったが問題なく作動しているようだ。これで見学者が来てもストレスにはならないだろう。
ちなみに、どうやって拠点登録するのかと言うと部屋や家にある、ベッド又は布団に寝転がるだけ。
先にベッドで寝転がった人が居たら拠点登録にはならないから、後からきた人に場所を取られる心配もない。拠点を変更する時は新しい場所のベットに寝転がれば自動的に切り替わるので、面倒な手続きも必要無いのだ。
ちなみに、一軒家の場合は個人所有かクランと呼ばれるプレイヤー同士で作る団体所有かで扱いが変わる。クランの場合は加入した時点でクラン所有の家が拠点となる。
クラン設立は最低4人からだから、いっその事クランにしても良いかもなーなんて思ってたりする。
◇◇◇◇◇◇◇
『パイセン聞こえますかー?』
「おー、聞こえてるぞー」
俺がログアウト出来なくなってから、ゲーム会社から医師と看護師が派遣された。そして、肉体の生命維持の為に点滴が繋がれたり褥瘡管理…床ずれ防止の為の処置がされたらしい。
その際に、ヘッドセットにある外部モニターからゲーム内の俺と会話できるように設定が変更されたのだ。
今日はカゲが本体の様子を見がてら、部屋へ来てくれている。手厚い看護のお陰で本体も無事なようだ。
『そういや、佐々木部長が何してるのか気にしてたからゲーム勧めておいたッス』
「は?!お前なんで勧めちゃうのー!?」
佐々木部長は、俺が新入社員の頃から可愛がってくれている人で、40代で部長になった優秀な人なのだ。
『まぁまぁ、流石にゲームしてるほど暇じゃないッスよ。…ねー、パイセン。提案なんスけど』
「うん?どうした?」
『いや、いくら生命維持装置付いてるとは言え、この状態のパイセン一人で置いとけないし、オレここに住み込んでいいッスか?』
「えっ?まぁ、俺は別に構わないぞ。その方が確かに俺も安心していられるからな」
『よっし!パイセンならそう言うと思って、すでに準備してあるんス!ヘッドセットも準備済ッスよ〜』
「お前…」
『いやー、パイセンの家との行き来面倒だったんスよね〜』
何ということでしょう。ゲームでもリアルでも同居人が出来たぜ…
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