ゲームからログアウト出来なくなったので、思い切って満喫してみようと思う。【旧題：俺だけログアウト出来ないオンラインゲーム…ってそんなのアリ？！】

13.今日も今日とて朝日は昇る

オレの名は朝日ノボル。トリップinファンタジーONLINEでGM。ゲームマスターやってます。

ゲームマスターの業務は、ゲーム内のトラブル対応が主ですが、コミュニティ班としてプレイヤーとの交流や各種イベントの企画運営も行っています。

オレは新人なので、不具合は出ていないか、規約違反者は居ないか、プレイヤー同士のトラブルは無いかとモニタリングを行っています。GMは複数人いて、持ち回りでゲーム内に滞在して業務を遂行しています。

トリップinファンタジーONLINEは稼働してまだ間もないゲームなので、それなりに忙しくしています。

一番多いのは、ゲーム配信者への付き纏い行為ですね。気持ちはわかります。目の前に大好きな芸能人がいたら、その瞳に映りたい・自分を認知してほしいってなりますよね。ですが、相手が面と向かって拒否できないのを良いことに、ルールを無視し相手の気持も無視して付き纏ったりゲーム進行の妨げになるような行為をするのは許されません。

そのようなプレイヤーに対し、注意・警告・アカウント停止・アカウント削除などの処分を行うのもGMの仕事。なので、GMとは恐れられる存在でもあるのです。

トラブル処理の時は、GM専用のエフェクトと装備を着用します。禁止行為の抑止効果を狙ってのモノなので見た目だけの装備ですが。そして、これらを着用していない時はプレイヤーとして街の中を巡回したり、相談業務等を冒険者ギルドの二階で行っています。

その日は、オレがゲーム内業務担当だったので一般プレイヤーが入れないエリアで仕事をしていました。すると、ドタドタと階段をあがる音がしたかと思うと、一人の少年が駆け込んできたのです。

驚きました。未実装の種族だったので。それに、一般プレイヤーは入れないのに、その少年は明らかに一般プレイヤーだったからです。

そして、彼の口からとんでもない事が話されます。これは、オレの手に負えない。瞬時にそう判断してGMチームのリーダーであるロサリアさんに連絡をしました。

あちら側でどんな話がされたのかわかりませんが、開発陣のトップが直々に話したいとログインしてきたのには驚きました。

結果的に、不具合は修正出来ていません。彼へのアクセスが全て拒否されるからです。とても強固なプロテクトが掛けられていて、どうにも出来ません。お手上げです。

まぁ、オレは見てることしか出来ないですけど…。

その日の内にロサリアさんからGMへ、次のような指示がありました。

『対象プレイヤー：シオン、ならびに八聖。

業務内容：ゲーム内の行動を注視し、報告すること。また、正体不明の女神が現れた場合はGM権限を持って速やかに拘束せよ』

このような指示は初めてなので、すこしばかり緊張します。ですが、プレイヤーの皆さんが安心して楽しくゲームが出来るように尽力するのが我々の使命。今日も昇る朝日を見ながら、仕事に邁進します。

オレはGMアサヒ。プレイヤーの明日を守る男。