10.自称女神と不幸な事故
ロサリアさんと別れて、拠点へ戻る。そろそろカゲもログインしてるはずだ。
我が家の庭ではノームのムートが庭いじりをしている。あれ?庭に小屋が出来てるな。何の小屋かは分からないが、ドワーフのドフィ親方が作ったんだな。
何となく、家の様子を外から眺めていると後ろに人の気配を感じた。振り返ると、そこにはボンヤリと光る、神話の女神のような女性が立っていた。
『うふふ、こんにちは』
「あ、こんにちは。えーと、何かご用ですか?」
『アナタはとても面白いわ』
「えっ?あの、貴女はいったい…」
『私は、外の世界から来た女神。この世界が面白そうだったから覗きにきちゃった。うふふっ』
「えっ…えぇ?!」
なんと、自称女神の登場である。
プレイヤーなのか?NPCなのか?判断に悩むが、おかしな人には違いない。
『不思議な世界なのね〜。人であって人でない者たちが生活を営んでいて…人工の神が世界を創世して、人々の物語を紡いでいる。あの泉も、人工の神が用意した物語の一部のようよ』
「えぇと…すいません。理解が追い付かないのですけど…アナタはプレイヤーキャラでは無いんですか?」
『そうねぇ。わかりやすく言えば、アナタ達が楽しそうに遊んでるゲームの世界に介入している…って感じかしら』
「ハッキングとかウィルスとかそういう系…?」
『そんな悪いモノでは無いわよー。ただ、面白そうだから遊びに来てただけ。まぁ、世界のシステムに介入するのも簡単だけどね』
そう言うと、スルスルと足元から虹色の薔薇が生えてきた。ゲーミング薔薇か??
運営さーん!このゲームハッキングされてますよー!!!
悪いものじゃないとは言うけど、悪い人は大抵「悪いものじゃない」って言うんですー!
なんでこんなのに声掛けられちゃったの俺ー!!!
「はぁ…それで、俺に何か用ですか?」
『アナタはこの世界の中でも異質なのよ。他の誰も持っていない力をその身に宿してる。そしてそれは、この世界の神々にも想定外だったようね』
「えぇ…そういわれましても…」
『それでね、私はアナタの事を見守ることにしたの!あ、特に何をしろって事はないしアナタの好きにしてれば良いわ。私は見て楽しむだけだから!』
「それはそれで嫌ですけど…」
『残念だけど、もう決定したの!だから、アナタにはこの世界に居てもらわないと困るのよね』
「は?」
『安心して!元の身体はちゃんと維持しておくし、私が満足するまでで良いから!終わったら元通りにするし、何の心配もいらないわよ!』
この世で最も信用ならない「安心して」である。元の身体とか、めっちゃ不穏な事言われてる気がするんですけど…。ちなみに、この世で最も信用できる「安心して」はパンツ1枚で世界に羽ばたいたあの芸人だと思っている。履いてますよ!
『うふふっ、この世界でもっと生きやすくしといてあげるから…私に素敵な物語を見せてね?』
「えっ、ちょっ!嫌なんだけど!!!」
とんでもない発言をした自称女神が指を振ると、俺の身体が発光した。痛みは無いが不快感が凄い。身体の中を弄られているような…とにかく不快!何すんだこの野郎!!
次第に瞼が重くなってくる。完全に目を閉じる瞬間、自称女神の声が聞こえた。
『私を楽しませてね?私の物語の主人公さん』
◇◇◇◇◇◇◇
次に目が覚めたのは、拠点のベッドだった。
頭がボンヤリしているが、その前にあったことは覚えている。あの自称女神がここまで運んだのだろうか?
何だか身体が妙に重い。なんかデバフでも付けられたのだろうか。ステータス画面を確認する
◇◇◇◇◇
氏 名:詩音(シオン)
種 族:ハイエルフ
職 業:ハイエルフ・冒険者
スキル:創造魔法・魔眼・精霊魔法・召喚魔法・料理
称 号:八聖・女神の愛し子・森に愛される者・悪戯女神のお気に入り(new)・世界の理から外れし者(new)・世界に囚われし者(new)
ステータス:
HP 考えるな感じろ MP ∞/∞
STR(腕力) max
VIT(体力) max
AGI(素早さ) max
DEX(器用さ) max
INT(知力) max
SCR(神聖力) max
LUK(幸運) ---
◇◇◇◇◇
なんじゃこりゃー!!!!!おかしな事になっとるー!!!!!
あれか!!さっきの自称女神のせいか!!!ゲームやってる場合じゃねぇ!ログアウトして運営に報告しないと!
「…あれ?」
ベッドに寝転がる。が、メニューが出てこない。何度も転がるが一向に表示されない。仕方ないので通常メニューから呼び出そうとする…あれ???通常メニューも出てこないよ????やべー、これメニュー出てこないって事は、ゲームからログアウト出来ないって事だよな?!
自称女神ー!!お前ほんと何してくれてんだー!!!!
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ここまで作品を読んでいただきありがとうございます!
やっと表題回収しましたね(笑)
シオン君は今後どうなってしまうんでしょうか?
クスッと笑えるシオン君の冒険はまだまだこれからのようです。
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