5.待ち人来る。そして絡まれる。

露店のオッチャンに肉を渡してクエスト完了させる。ちなみに、シルバは身体のサイズが変更できるらしく今は大型犬くらいのサイズだ。帰しても良かったんだが、せっかく話せる仲間が出来たんだ。俺の魔力量なら出しっぱなしでも問題ないので、連れて歩くことにした。


シルバの為にも、レベル上げをしようと冒険者ギルドで依頼を探す。丁度野ウサギ肉と皮の納品クエストがあったので、その場で納品して完了させる。これでレベルは10まで上がった。うん。順調だな。


そういえば、露店のオッチャンのクエストがあったんだし、他にもクエストあるんじゃないだろうか?と街の中を散策する事にした。積極的に挨拶しながら、街のあちこちを覗いて回る。クエストのお陰で懐も温かいし、何か買っても良いな。


ピコンと電子音が聞こえる。なんだ?とメニューを開くと一通のメールが届いていた。差出人を見てニヤリとしてしまう。どうやら待ち人が来たようだ。


急いで指定された場所へ向かう。街の中央の噴水広場だ。ここも冒険者で賑わっているが、目的の人物はすぐ見つけられた。なんせ、ナヴィが居るからね!


「カゲ!」

「お、パイセン?これはまた…ずいぶんと可愛いッスね。元々可愛いッスけど」

「可愛いと言われて喜ぶ男は居ないだろ…」

「俺のテンションが上がるんで問題ないッスね」


目の前に居る獣耳な高身長のイケメンは、ゲーム仲間にて仕事の後輩でもある影山柊斗かげやましゅうとだ。口調は軽いが、真面目でいい奴。そして、可愛いもの好きで俺の事もその範疇らしい。複雑だが、まぁ慕ってくれているのは悪い気はしないな。ただ、スキンシップが多めだから、女子社員に何やらニヤニヤされるのがなー。ちなみに、現実のカゲも高身長のイケメンだ。…悔しくなんかないぞ!


「そんで、パイセンの隣の犬は何すか?ペット?」

「あぁ、俺のスキルで喚んだ相棒だよ。シルバっていうんだ」

『主の友人殿か。我はシルバ、よろしく頼む』

『ボクはナヴィだよ!よろしくね!』

「へぇ、エクストラスキル?通常のスキルじゃなさそうッスね」

「あー、限定セットのスキルかな。この先で実装されるんじゃないか?」

「なるほどッス」


クエスト探しをしていると話すと、カゲも一緒に行くと言うので二人でブラブラと歩くことにした。何故か手を繋がれているんだが…まぁいいか。一人称も「俺」から「ボク」にしてくれと懇願された。ロールプレイがどーのと言われてもなぁ。一応、善処はするが。


途中の道具屋でアレコレ欲しいものを物色したり、途中の店でお茶したり。カゲはコミュりょくオバケなので、NPC達とも楽しく会話している。そのお陰で他の街の情報や、クエストなんかも受けられた。クエストの関係であちこちを歩くと、一人で歩いた時には見つけられなかった路地や商店なんかも見つけられた。


「いやー、こんなに大きな街とは思わなかったッス。この様子だと次の大きな街まで遠いかもしれないッスね」

「そうだな。しばらくはココが活動拠点になりそうだなー。そう言えば、部屋が借りられるんだっけ?」

「そうらしいッスね。パイセン、二人で部屋借りないッスか?」

「ルームシェアかー。一人で借りるよりは節約できるから良いかもな」

「あー、個人でハウス持つのも良いっすね。拡張出来るらしいし、パイセン畑やりたいって言ってたっしょ?畑も作れるッスよ」

「いずれはなー。いまは金がないから無理だ(笑)」

「まぁ、まずは部屋を借りて拠点にするトコからッスね」


ハウジングも楽しみの一つだが、金がなー。クエストやって稼ぐしかないな。部屋も別に借りなくても良いんだが、活動拠点を作りたくなるんだよな。ロマンだよ、ロマン。


そんな話をしながら歩いていると、曲がり角から走って出てきた人にぶつかってしまった。


「うわっ!」

「ひゃっ?!」

「うぉっと!パイセン大丈夫ッスか?」

『主!!』


身体が小さいせいで弾き飛ばされてしまった。カゲとシルバが起こしてくれる。いてて、ダメージ設定低くしてるから実際に痛みはないけどね!気分の問題ってやつだ。


「あわわ、ごめんね!!大丈夫だった?!」

「大丈夫で…す…」


ぶつかった相手を見ると、ちょっと目のやり場に困る衣装のお姉さんだった。目を丸くして俺を見つめてくる。…もしもーし?


「はっ!…見つけた!!妖精少年!!」

「えっ?」

「その妖精!みせて!!!」

「は?いや、ちょっと…」

「なにこれ、どうなってんの?!スキル?!クエの報酬なの?!ヤダ、可愛いー!欲しいー!」


なんなんだ?!人の妖精捕まえようとするし、腕をつかんで離さないし!たすけてー!


次の瞬間、押しの強い女性の後ろに赤黒いオーラを纏った全身黒尽くめの鎧騎士が現れた。おもむろに女性の首根っこを掴むと、女性と一緒に消えていった。…あれはもしかして。


「あ、通報したッス」

「やっぱGMか!流石カゲ!さすカゲ!助かったよ、ありがとな!」

「おぉっと、これはこれで悪くないッスね〜」


ホッとして思わず抱き着いてしまったが、正直怖かったんや…ここでもこんな目に合うのかとちょっと凹んでしまった。


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ここまで作品を読んでいただきありがとうございます!

今後も、クスッと笑えるシオン君の冒険は続きます。


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