4.交流と召喚
さて、肝心の露店はどこだったか…むむむ、適当に歩いたから場所が分からなくなったぞ。決して迷子ではない。この辺の地理が一切分からないから仕方ないのだ。そういや地図はないのか?イベントリは…っと、お?魔法の地図ってのがあるな。
早速取り出してみる。紙じゃなくてタブレットなのか!ふむふむ。歩いた場所が表示されるんだな。ってことは…よしわかった。わかったんだが、結構複雑な道順になるな。
そして思いついた。俺にはアレがある!
早速、手のひらに魔力を集める。イメージして…よし、いけそうだ!
『ナビゲーター』
手のひらにソフトボール大の光が現れて、段々と人の形になっていく。
茶色のローブに緑の髪、半透明の蝶の翅を持つ妖精だ。何で妖精って?そりゃ、ファンタジーな魔法生物の代表格だからね!機械系も一瞬考えたが、何となく案内してもらうなら、こっちかなって。人型なら話しかけても違和感ないし。
『ご主人様、お呼びですか?』
「うん、露店のオッチャンの所まで道案内出来るかな?」
『はい、お任せ下さい』
「うん、ヨロシクね。えーと、名前がいるな…ナヴィって呼んでいいかな?」
その途端、妖精が光り輝いた。光が収まると、さっきより一回り大きくて姿も変わっている。何がおきた?!
《妖精に【名付け】が行われました。精霊が固有名を持つ精霊へ進化しました。初回ボーナスでSP5を取得しました》
《妖精を進化させたので、エクストラスキル・精霊魔法が開放されました。取得SP1(10)》
《精霊が仲間に加わったので、エクストラスキル・召喚魔法が開放されました。取得SP1(10)》
おぉ?取得できるスキルが増えたようだ。どちらもSP1で取れるから、サクッと取得する。括弧内は通常の取得にかかるSPかな?
精霊を魔法で創った事で、精霊魔法の開放条件に当てはまったのかな?召喚魔法は精霊に名前を付けたことで固有の魔法生物に進化したって事か。
『ボクは案内精霊のナヴィ!道案内はもちろん、レベルが上がれば索敵や採取ポイントの察知範囲が広くなるよ!ヨロシクね!』
キャラ変わっとるー!!緑の髪はそのままで、茶色のチュニックに黄色の花があしらわれて可愛いな。良く見れば髪にも黄色の花飾りがついてる。
たぶん、何らかの条件を満たして仲良くなった妖精に名前をつければ、精霊に進化するんだな。んで、進化した精霊は名前を喚べば出てくる。よし、覚えたぞ!
「よし、ナヴィ。露店のオッチャンの所へ案内してくれるか?」
『はーい!こっちですよー!』
ナヴィに付いていくと、あっという間に露店に到着した。これは便利だー!ナヴィありがとうー!
「お、さっきのボウズか!冒険者登録は出来たか?」
「はい、おかげさまで!ところで頼みって?」
「あぁ、実はな…」
露店で使う野ウサギ肉が足りなくなりそうだから、狩ってきてほしい。1回につき3匹。それ以降も受け付けるが1日2回まで。報酬はお金(イェン)と冒険ポイント。冒険ポイントは冒険者ランクを上げるために必要なポイントで、クエストをこなすことで取得できる。
野ウサギ狩りか。いっちょやりますかー!
と、いうことで街の外の森までやってきた。しかし…
「全部狩られてるなこれ…」
狩られてるのだ。冒険者達に。おそらく、クエストやレベル上げで狙われたんだと思う。初心者向けの森だもんね、仕方ない。リポップを待っても良いが、取り合いだからなぁ。
『ご主人様、もう少し奥に行くと良いかも』
「お、奥にいるのか?」
『探知ギリギリのところで反応してるよ!』
「いいね、そっちなら人も少なそうだし行ってみようか」
『はーい!』
ナヴィの案内で森の奥へ進む。案内がなかったら確実に迷子になってたな…
目的の野ウサギは…いたいた。そこそこ数がいるな。ある程度狩っておいて少しずつ納品するか。…となると、攻撃手段が必要だな。
『獣の王・神獣フェンリル』
これこれ!ファンタジーと言えばフェンリルだよね!地面に大きな光の魔法陣が出現し、その上に白銀の狼が現れた。ひょー!かっこいいー!
『主よ、我に名を』
「うん、君の名はシルバ。よろしくね」
シルバの身体が淡く光る。これで名前を喚べばいつでも来てくれるようになる…んだよね?
『我はシルバ。誇り高き神獣フェンリル!主よ、この命ある限りお護り致す』
「よし、早速だけどあの辺のウサギを狩りたいんだ。肉を納品するからそのつもりでヨロシク」
『承った。一撃のもと仕留めてみせよう』
シルバが音もなくウサギ達に近付いていく。ユラリ…と身体の周りが揺らぐ。その瞬間、ウサギが次々と倒れた。なにか起きたかは分からないが、威圧のようなものだろうか?
見渡すとウサギ以外も倒れているようだ。
『我の威圧で一時的に身体の自由を奪っております。トドメは主がされると良い。我では主の経験にならぬ故』
「なるほど、レベル差が大きすぎるのか」
『本来なら、主のレベルで我を喚ぶことは出来ぬが、主の魔力は無限だからかの』
「シルバに見合うレベルになるよう頑張るよ」
さて、ウサギ達にトドメをさしていく。これが結構キツイ作業だった。
手持ちのナイフで突き刺せば、ランダムで肉と皮に変化するんだが、最初の一匹がね…ウサギ可愛いじゃん?なかなか刺せなかったよね。最初の一匹がやれれば、あとはひたすら刺すだけ。数が多くてそれなりに大変で、後半は無言でサクサク刺して回った。
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