いつから?

 あ、取れた。

 もう少しお金がかかると思ってたんだけど、ラッキー。

 ……そういえば、結愛さん、どこ行ったんだろ。……まぁ、結愛さんがどこに行こうが、どうでも……良くないな。……一応、今日は結愛さんを知るって決めたんだから。

 

「美月、終わった?」


 そう思って、私は結愛さんを探そうと思ったんだけど、突然、後ろからそう声を掛けられた。

 結愛さん……居たんだ。……いや、良かったけど。

 

「あ、うん」


 なんだろう。ただ、終わったのかを聞かれてるだけなのに、背筋が凍るような、そんな感じがした。

 

「ねぇ、いつから?」

「な、何が?」

「そういうの、いつから、好きになったの?」


 そういうのって……私が取ったフィギュアのアニメの話? だったら……


「中学生くらいの時、だけど」

「……なんで?」

「……え、いや……友達が、いなかったから……」


 居なかったっていうか、今も、居ないけどさ。

 自分で言ってて悲しくなってくるな。……それが事実だから、仕方ないけどさ。

 ……まぁ、仮に、友達が居たとしても、多分、アニメは好きになってるだろうけどさ。


「……今日は、帰る」

「え、なんで?」


 別にいいけど、急すぎない? ……正直、もう、私が結愛さんとこんなデート? みたいなことをすることなんて、絶対にないと思うけど。……もしかして、諦めてくれたのかな。


「時間を進めるって約束しちゃったし、進めるのなら、美月とエッチな事とか、出来ないし」

「……いや、時間が進まなくても、そんなことしないけど」


 確かに、昨日キスはしたけど、あれは、時間を進めてもらうためであって、特に理由もないのに、キスなんてしない。ましてや、えっちなことなんて、理由があったとしても、女の子同士では、しない。


「それに、私、単純に用事もあるんだ。……時間を戻すつもりだったから、このままでもいいと思ってたんだけど、進めることになったから」

「そう、なんだ」

「うん。だから、また今度、デートしようね」


 それはしないけど。

 結愛さんのことを知らなきゃいけないのは分かってるけど、かなり、精神がすり減らされるし、ほぼ無いかな。……さっきは絶対に無いって思ったけど、結愛さんのことをもっと知らないと、時間、進めて貰えないし。


「美月、またね! あっ、それと、今度は、本当にもう、美月が私と付き合って、結婚するって言ってくれるまで、絶対に時間は進めないから」

「……ばいばい」


 私は結愛さんの言葉をスルーしながら、そう言った。……だって、なんか、そう言ってくる結愛さんの目が怖かったから。

 ただ、特に何かがある訳でもなく、結愛さんはそのまま、私に恐怖を与えたまま、帰っていった。


 私も帰……いや、今からでも、学校に行こうかな。……時間、戻らないんだから、少しでも、行っとかないと。

 それに、結愛さんが居ない平和な学校なんて、久しぶりだし。

 ……日付的には、私が告白されて、まだ一日だけどさ。


 そう思いながら、結愛さんと別れた私は、家に帰って制服に着替えてから、直ぐに学校に向かった。

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