心を読む力もあるとか?
「なんで、知ってるの」
だから、私は勇気をだして、そう聞いた。
「? 私が美月のことを大好きだからだけど?」
……なのに、結愛さんは、小さく首を傾げて、なんの答えにもなってないことを言ってきただけだった。
「……そう」
私には無理かもしれない。
この人を知ることなんて。
正直、そう思い始めてきた。……だって、意味がわからないから。
好きっていうのは、告白をしてくれて、時間まで戻して、私を脅すような真似までして、デート? みたいなのをしてるんだから、まぁ、一万歩くらい譲ったら分かる。
ただ、なんで私が心の中で思ったことまで、好きだからって理由で分かるのかは全く分からない。……もしかして、時間を戻す力以外に、心を読む力があるとか?
そう思って、心の中で結愛さんのことを大っ嫌いといっぱい思ってみたけど、結愛さんの顔に変化はなかった。
……実際、好きでは無いし、私を閉じ込めてるようなものなんだから、嫌いよりではあると思う。だから、結構本気で言えたと思うんだけど、結愛さんに何も変わった様子はなかったし、やっぱりそんな力はないのかな。
「美月、そんなに食べるところを見つめられると、恥ずかしいよ」
そうやって、結愛さんの顔を観察するように見ていると、結愛さんは照れたように、顔を少し赤らめながら、そう言ってきた。
「昨日キスもしたし、私の事意識しちゃうのは、仕方ないけどさ」
いや、全然そういう感じでは無いけど。
むしろ、不快感が無いだけ、私の中では奇跡だよ。
「違うから」
「照れなくてもいいのに。私だって、ずっと、ずっとずっと、美月のことを意識してたんだから」
だから違うって。
否定したかったけど、これ以上否定して、時間を戻されるのも嫌だし、私はもう、何も喋らずに、ナポリタンを食べた。
「ごちそうさま」
そして、食べ終わったから、手を合わせて、そう言って、結愛さんの方を見た。
すると、結愛さんも食べ終わったみたいで、私と同じように手を合わせて「ごちそうさま」と言っていた。
「食べ終わったし、次、どこ行くの」
もう、帰りたい。
そんな言葉が頭によぎったけど、私はそう聞いた。
私は時間っていう弱みを握られてるし、ここまで我慢したんだから、ここで逃げる訳にはいかないと自分に言い聞かせて。
「んー、ゲーセンでも行こっか」
「……まぁいいけど」
この前は行きそびれたゲーセン。……今回こそ、どうせ戻るんだから、いっぱいお金を使って、遊んでやろう。
素っ気ない返事をしながら、内心でそう考えて、私たちはファミレスを出た。
何故か、お会計は割り勘じゃなくて、結愛さんが払ってくれたけど。
……私としても、友達……は居ないけど、仮に居たとして、友達相手だったら、遠慮しただろうけど、普通に犯罪者相手だから、遠慮せずに、結愛さんに払ってもらった。
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