会いたくない

 結愛さんから逃げて、家に帰った私は、直ぐに自分の部屋に向かって、ベッドに横になった。

 




 途中で目が覚めたけど、まだ辺りが暗かったから、直ぐに二度寝をした。

 そして、アラームが鳴った。……設定してないはずのアラームがまた鳴った。

 

 ……もう、やだ。学校、行きたくない。……あの人に、結愛さんに会いたくない。

 ……今日は、休もう。どうせ、結愛さんの言うことがほんとなんだとしたら、また、戻るんだから。

 よし! そうと決まれば、好きに過ごそう。休日だと思って、好きに過ごそう。


 そう思った私は、取り敢えず、朝ごはんを食べにリビングに向かった。

 そして、いつも置いてあるパンを今日は食べることにした。不審者が置いて行ったわけじゃないってのも分かってるしね。


「……美味しい。このパンが毎日……日にちは進んでないけど、毎日食べられるって考えたら、むしろラッキーかな」


 ほんとは全然そんなこと思ってない。直ぐにでも、こんな怖い体験から抜け出したい。

 でも、嘘でもいいから、そう言わないと、心が保てないと思ったから、私はそう言った。


「ご馳走様。んー、美味しかった」


 そう言いながら、私はソファに寝転んで、スマホを取り出した。

 何かゲームでもしようかな。……あっ、と言うか、ガチャ引いてみようかな。ガチャを引くための石、貯めてたんだけど、どうせ戻るんだし、別にいいよね。それに、明日時間が巻き戻った時、またガチャを引いたら、同じキャラが出るのかも気になるしね。


 そう思って、ガチャを引くと、確定枠以外は全部Rキャラだった。

 ……まぁ、どうせ戻るしね。うん。明日も、引いてみよ。……時間帯で出る確率が違うみたいなことを言ってる人もいるし、色々試せるな。


 そう思いながら、スマホを弄っていると、急に電話が掛かってきた。

 知らない番号だ。……いつもだったら、怖いから出ないけど、どうせ戻るんだし、出てみようかな。

 

 そう思って、私は電話に出てしまった。いつも電話なんて掛かってきていないことに気が付かないまま。


「もしもし」


 どうせ間違い電話だろうな、と思いながら、私はそう言った。


「美月、なんで休んだの? 風邪なんていつも引いてないから、サボり?」


 すると、結愛さんの声が聞こえてきた。

 な、なんで? なんで、私の電話番号、知ってるの?

 

「ねぇ、聞いて――」


 また、結愛さんが何かを言おうとしてきてたけど、私は電話を切った。

 すると、直ぐにまた電話が掛かってきた。


「…………もしもし」


 ほんとは出たくなかったけど、結愛さんが時間を巻き戻してるんだとしたら、少しでも話をして、説得するヒントを得ようと思って、電話に出た。

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