それがほんとだとしても
「あ、あのっ、結愛さんも、えっと、同じ日、とか、繰り返してたり、する、の?」
これで結愛さんはなんにも知らずに、一日を繰り返してなんかなかったら、ただ私が痛いやつみたいになるけど、今はそんなことを気にしてる余裕が無いから、私はそう聞いた。
「そんなことより、私と付き合ってくれるの? くれないの?」
「えっ、いや、そんなことって……えっと、それは、ごめんなさい。そ、それでだけど、結愛さんも、繰り返してるの?」
告白を断って、私は改めてそう聞いた。
何回告白されようと、同性は好きになれないから。
「……じゃあ、今回こそ、確かめようよ」
「え?」
「この前、言ったよね? キスして、本当に同性を愛せないか確かめようって」
すると、結愛さんは、そう言ってきた。あの時と同じ、ちょっと怖い雰囲気を出しながら。
そしてそのまま、結愛さんは本当に私にキスをしようとしてきてるのか、近づいてきた。
私は結愛さんが近づいてくる度に、一歩下がっていく。
「な、何言って……と言うか、やっぱり結愛さんも繰り返してるの?! だ、だったら、今はこんなことをしてる暇じゃないでしょ。一緒に、この一日から抜ける方法を探そうよ!」
明日はもう、この一日を繰り返したりはしない。そう思ってはいる。でも、どうしても、また、繰り返してしまうんじゃないかという恐怖心が私に付きまとってくる。
だから、仲間を見つけたと思って、私はそう言った。
「大丈夫だよ。美月は、女の子……は無理でも、私なら好きになれるよ」
……意味がわからない。
今はこんなこと、してる場合じゃないでしょ。
「そんなことより、一緒に――」
「……そんな、こと?」
「あ、いや、ごめん。で、でも、この繰り返してる一日から抜け出さないと」
勇気を出してしてくれた告白をそんなことって言ったのは確かに悪かったけど、早く、こんな怖い思いから抜け出したいんだよ。
「……私と付き合って、結婚もしてくれるって約束してくれたら、もう今日は繰り返さないよ」
「どういう……」
「私が、時間を戻してるの」
「え?」
何? 結愛さんが、時間を巻き戻してる? ……そんなこと、出来るわけ……いや、こんな不思議なことが起こってるんだから、出来る可能性もあるのか。
「今、そんな冗談、言わないでよ……」
ただ、可能性があるとはいえ、そんなことを簡単に信じられるわけないから、私はそう言った。
そもそも、なんで、こんなことをするのかも分からないし。
「冗談じゃないよ? 最低でも美月が私と付き合ってくれないと、一生、今日を繰り返すことになるよ」
「意味、わかんない。……それがほんとだとしても、私は結愛さんとは付き合えない。……同性は好きになれない、です」
「……だから、キス、してみようよ」
何が、だから、なの。同性とは付き合えないって言ってるのに。
そして、そのまま、結愛さんは更に私に近づいてきた。
実際にはそんなことないのに、私は結愛さんの目の光が消えたように見えてきて、怖くなってきたから、また、思わず逃げてしまった。
「…………もう、絶対に――」
最後になにか、結愛さんが呟くように言っていたけど、またよく聞き取れなかった。
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