第38話 エアロ・バイク空中戦!

 うなるモーター音と、甲高い魔石の駆動音。


 風防の裏をかすめていく風圧に目を細めながら、ものすごい勢いで通り過ぎていく街の景色に全身を縮ませる。

 腰に伝わるエンジンの振動が熱を帯び、恐怖で震える身体を間接的に温めてくれるようだった。


 エアロ・バイクの重要な推進力である強力な風圧が、アスファルトに反射して足首のあたりを撫でつけ。

 魔石をフルに稼働させているからだろうか、嗅いだことのない不思議なにおいが機体内部からこんこんと立ち昇っていた。


 空を飛ぶ、なんて言われたこのエアロ・バイクだが、今の時点ではただ地上一メートル程度を維持して浮遊するだけである。


 その肩透かしな性能にじれったくなったのか、機体側面に張り付いていた緋色が叫んだ。


「ちょっと!! ぜんぜん空飛んでないじゃない!?

 こんなんじゃあいつに追いつかれるわよ!?」

「エアロ・バイクは二人乗り仕様ですよ……!?

 いくらなんでも重量オーバーだ……!」

「何よ、あたしが重いっていうの!?」

「ふざけてる場合か!!」

「シ、シン! 落ちちゃうからあんまり動かないで!!」


 ミーシャに右ひじのあたりを支えてもらっているのを感じながら、俺は傾きかけた上半身を必死に起こした。


 この大型のエアロ・バイクに騎乗しているのは、運転手のバファと、その後ろのミーシャに、最後尾の俺……。

 そして車体右側にロッククライマーみたいにしがみついているのが緋色である。


 黒騎士に襲われ四人で大急ぎで乗ったらこうなったのだ。

 俺とミーシャはともかくとして、緋色の乗り方はちょっと危ないんじゃないか……? と、やや右側に傾きながら滑空するエアロ・バイクを見てそう思ったが、だからと言ってここで止まるわけにはいかない。


「――やばい、黒騎士が追いついてきたぞ!」


 探知魔法を使いながら後ろも振り返らずに叫ぶ。


 あの、二メートルはゆうに超えるであろう巨体が、とんでもないスピードで迫ってくる……!


 ちくしょうあの野郎、あんなくそデカい大盾持ってるくせに……!


 今になって気づいたが、やつも闘気をまとっているに違いなかった。

 でなければ、時速九十キロメートルは出ていそうなこのエアロ・バイクに追いつけるわけがないのだから。


「バファ! あの黒騎士を振り切れるか!?

 あいつがいたら魔物を倒しに行くまえに俺たちがやられちゃう!!」

「了解……!」


 レバーをひねり、魔石の駆動音を増大させるバファ。


 直後、緋色の側をやや下に向けて、ふわりと機体を持ち上げるエアロ・バイク。


 ――しかし、機体はすぐに浮遊感を失い、アスファルト上に機体をガリ、と擦らせて元の状態に戻ってしまった。


「……まだエンジンが温まっていない!

 空まで逃げるのにあと数分は持ちこたえてください!!」

「みんな! 防御は私に任せて!

 シン、あなたは私がちゃんと掴んでるからね」

「助かる!」

「ミーシャ、余裕があったらあたしもお願いしていい!?」


 若干辛そうに訴える緋色に、ミーシャの手のひらから青い糸が飛び出していく。


 魔力で紡いだ糸のようだ。

 意思を持っているかのようにくねったその糸が俺と緋色に絡みつき、さらに機体に結びついて身体を安定させてくれる。


 これでエアロ・バイクから落ちる危険は減った。


 俺は左手に握りしめた世界樹の小枝を後方に向けながら、機体側面でぶら下がる緋色に叫んだ。


「緋色! 俺たち二人で反撃するぞ!!」

「……この斧、片手で持つの厳しいのに……!」


 煩わしそうに機工斧を構える緋色。

 三日月状の刃が取り付けられた銃口がふらふらとして定まっていないが、どうにか頑張ってもらうしかない。


 そして、やつの声が後方から届いて来た。


「ようやく追いついたぞ……!

 まずは……その機械馬を壊してやるッ!!」


「撃てええぇぇ!!」


 射程圏内に入った黒騎士ダビデに、火魔法を放出。


 炸裂する爆音。


 そして、消費されたまま回復しない魔力。


 やっぱり、こっちの世界じゃ消費が激しい!

 魔法を使うたびに身体が少しづつ、少しづつ、重くなっていく気がする。


 だからといって弱音を吐いていられるか……!


 黒い煙の奥から丸い大盾を構えて現れる敵に、さらに追い打ちを加える。


 ダァン! ダァン! と緋色が撃った散弾がやつの鎧に火花を散らし、

 魔力で展開した火球が道ばたに乗り捨てられた乗用車に当たって、派手な爆炎を巻き上げた。


 髪の毛に痛いほどの風圧を感じながら、杖を固く握りしめて後方のダビデへと向ける。


 まるでダメージが通ってない気がするが、それでもやつのスピードを削ぐのには一役買っているはず……!


 発展した機械都市の合間をあみだくじのように飛び回り……

 ビルを突き破って強引にショートカットしてきた黒騎士に、炎熱の塊をぶつけてやった。


 岩なだれのように降り注ぐ瓦礫をミーシャの魔力障壁が防ぎ、焦げた鉄筋のにおいが割れた障壁の向こうから吹き込んでくる。


 衝撃波で制御が利かなくなった機体を、バファが無理やり引き起こして加速。


 追いすがる黒騎士が斬撃をうねらせ、エアロ・バイクからわずか数センチ後方で四車線道路が切り刻まれていった。


 路肩に寄せられていた色とりどりの自動車が真っ二つに跳ね上がり。

 電柱や信号機が木の枝みたいにあっさり折れてぶっ飛んでいくのを俺は目撃した。


「――よし、飛びますよお!!」


 そこで、ようやく準備が整ったらしい。


 ただでさえ猛スピードで飛んでいたエアロ・バイクが、甲高い駆動音を増大させてさらに加速。


 持ち上がった機体が、乗り捨てられていた普通自動車の屋根をジャンプ台のように踏みつぶした。


「う、お、お――!!」


 重力か、空気圧かも分からぬ頭上からの圧力に身をかがませ、足元すれすれを通り過ぎてゆく電線に肝を冷やす。


 瞬きをする度に、あれだけ大きかったはずの四階建てビルや広告用電光板なんかが、あっという間に小さくなって……


 ……って、予想してたよりもずっと高いな!?


 黒い道路が、網目のように張り巡らされているのを理解したあたりから真下を見るのが怖くなった。


 機体がちょっとだけ、緋色がぶら下がっている右側に傾いているのがまたなんとも言えぬ不安感を煽ってくる。


 それでも、やつを引き離すのには十分だったらしい。


 エアロ・バイクのエンジン音だけが響いている宮境市上空で、俺たちはビルの合間をサーフィンしながら黒騎士のいた地点から大きく離れて行った。


「よし! これでやつはぼくたちを見失ったはず。

 今のうちに魔物を……!」


『――全ハルピュイア部隊!! 攻撃対象を変更!!

 天を駆ける機械馬を狙え!!』


 と、そこで唐突に、機械都市にこだました、やつの声。

 

 空に浮かぶ、沈黙の数秒。


 不快な静寂が頬を撫でつけ、徐々に濃くなっていくただならぬ気配に俺たちはつばを飲み込んだ。


 ……やがて、俺たちは向かっていた先から、ご丁寧に膨大な数のお迎えを寄こしてくる魔物の群れを確認した。


「うああ……!」


 前方のビルの影から、あるいは網の目に張り巡らされた道路のあちこちから。


 無数の影が虫の大群のように集結していき、一体の巨大な生物のように鼻先をこちらに向けてくる……!


「う、迂回だ! 迂回していこう!!」


 俺の一声で進行方向が横にずれるエアロ・バイク。


 やがて、後方から羽音が群がり、荒波のように大気を震わせ……。

 そしてやつらは、その様相がはっきりと見えるくらいまで距離を縮めてきた。


 人間の女の顔に、翼を携えた異形の魔物。

 だが何よりも特徴的なのは、凶悪なまでに発達したかぎ爪で……。

 鎌みたいな形状のそれが一体につき六本、俺たちに向かって広げられていた。


「……逃げますよ!!

 あいつらはちーっとマズすぎる!」

「どうして!?」

「やつら鳥型は『技弓系ぎきゅうけい』です!!

 ――こちらの防御を貫通してくる!!」


 技弓系ぎきゅうけいって……あの弓使いと同じ能力か!?


 こいつら全員!? 冗談だろ!?


「う、撃ち落とせ緋色!!」

「分かってるわよ!!」


 翼をはためかせる魔物の群れが、滝のように降り注いできた。


 頭上をかすめる無数の鋭いかぎ爪に、心臓がひやりと縮み上がる。

 ふとした瞬間に首を切断させられてるんじゃないかと気が気でなかった。左腕を伸ばすのがめちゃめちゃ怖い。


 だが、いくら防御無視の攻撃力を持っていたって、紙装甲なのは向こうも同じ。


 緋色が一発散弾を撃つたびに、五、六体のハルピュイアが落ちていき、

 さらに、防御など無意味と理解したミーシャが魔力障壁を解除して攻撃に参加。


 かなりの勢いでぼろぼろと零れ落ちていく敵の群れに、少しづつ希望が見えてくる。


 いいそ、緋色の攻撃がかなりでかい!

 俺とミーシャの分を足しても足りないくらいの撃墜数を、緋色が更新し続けていた。



 ――その時、上方から鋭いかぎ爪がこれまでに無い距離まで迫ってくる気配を感じた。


「ぐっ……」

「バファ!」


 縮み上がる心臓を抑えながら顔を上げると、バファの肩から血が噴き出していた。


 揺れるエアロ・バイク。上空で安定性を失いかける機体。


 頬に血の一滴がかかって軽くパニックになりかけたが、間髪入れずにミーシャが治癒魔法を発動。


 大事には至らなかったようだが、代わりに、魔物はバファを集中的に狙い始めた。


 どうやら誰がエアロ・バイクを動かしているのかを理解したらしい。




 ――地上何十メートルもの高さにかけられた連絡橋の下を潜り、ビルの四面を旋回しながら螺旋状に上昇。


 ビルの壁面を、ガラスの破片を散らしながら一直線に駆けあがっていき、下方から追いすがってくる魔物たちを妨害する。

 最上階へと向かうほど、ひたいに差した日照りが熱くなっていった。


 やがて、ビルの屋上から放り出された機体が、魔物の群れに囲まれる。

 後ろの方から捕縛網のように近づいてくるそいつらを見て、俺はパイロットに叫んだ。


「バファ!! 一気に加速できるか!?」

「……ええ! できますよ!!」


 回転数を増すモーター音を耳にしながら、

 イメージしたのは特大の火魔法。


 太陽そのもののような巨大な火球を杖先に灯し始める……。


 直後、一気に加速するエアロ・バイク。

 そこへ団子状に追いすがる魔物の群れは、まさに絶好の的だった。


「食らえええええぇぇ!!!!」


 巨大な群れの中心部へ、火球を投射。

 呑み込まれたその灼熱の塊が、真ん中から敵全体を飲み込むように膨張していく。


 そして、破裂するように大爆発を起こしたその黒煙から、真っ黒コゲになって落ちていく群れの死骸を見た。


 鼻先に伝わる焦げるような熱気。


 もう、追ってくるやつはいない。

 全員に安堵の空気が流れる――。







 そこで、自前の探知魔法を貫くように、巨大な影がやって来た。


 視界を切り裂いて現れたのは、引き離したはずの黒騎士。


 直前の探知魔法の反応を思い出して、歯ぎしりした。

 こいつ……ビルの壁面を駆け上がって来やがった……!


「――落ちろ」


 闇色の斬撃が、魔力障壁ごと真上から叩きつけられた。


 騎乗していたエアロ・バイクにのしかかる、すさまじい衝撃。


 回転する視界と、耳にうるさい謎の警告音。


 遠心力で身体が放り出されそうになりながら必死で機体にしがみつき――――何か強烈な風圧を肌に感じた瞬間には、すでにエアロ・バイクは蛍光灯で照らされた狭い空間を飛んでいた。




「――どうなった!?」


 質の悪いジェットコースターに振り回されたみたいな気持ち悪さを飲み込んで聞いた。


「ちーっと墜落しただけですよお……!

 どうにか安定させて地下に入り込みましたが……出口はあるんですかねえ、これ……!」

「ここ……地下鉄よ!

 このまま飛べば出口ぐらいすぐに見つかるわ!」


 機体側面に張り付く緋色が機工斧を抱きかかえながら叫ぶ。

 どうやってこのでかいエアロ・バイクで地下鉄構内に入り込めたのかすごく気になったが、それを聞くのは後だ。


 やがて、バファの操縦するエアロ・バイクは狭い構内に風を巻き上げながら最下層へ到達。

 自動販売機と丸い柱の間をすり抜け、線路内への転落を防止するホームドアを乗り越えて線路内に侵入。


 そのまま、薄暗いトンネルを一直線に駆け始めた。


 地下鉄構内の土とほこりが混じったようなにおいを巻き上げて、

 暗闇に灯された左右の蛍光灯に沿って進む。


 しばらくはここを進んで、適当なところで地上に上がる必要があるだろう。


 一定間隔で設置された蛍光灯がチカチカと点滅しているように錯覚しながら、

 狭いトンネル内でエアロバイクの生温かい風圧を肌に感じつつ飛んでいく。


「それで!? 出口はどこにあるんですかねえ!?」

「しばらく行けばさっきみないな駅のホームが見えてくるはずだ!

 そこからまた地上に戻れば……」

「――待ってみんな、後ろから何か来てるよ!?」


 ミーシャの声で振り返り、

 俺は、はるか後方で駅のホームの明かりがパッと消えるのを確認した。


 遅れて、遠くから反響してくる盛大な破壊音。


 それがやつの斬撃によるものであると、音の特徴から直感した。


「ま、まさか……!」


 ――そして、左右に灯されていたはずの蛍光灯の光がはるか後方で不自然に消失し、遠くから闇が近づいてくるのを見た。


「お、追ってきてるぞ!!」

「もっとスピード上げなさいよ!!」


 やばい、もうやつの姿が目視で確認できるくらいの距離まで来てる……!


 さらに甲高い音を上げて加速するエアロ・バイク。

 聴覚に悪影響が出そうなくらいトンネル内に鳴り響く駆動音に眉をしかめ――


 そこでなぜか急に斬撃音が止み、不審に思って後方を振り返った。




「……あいつ、なんで盾なんか向けてきて……?」


 その時、やつの分厚い大盾の内側から、謎の白い光がほとばしっているのが見えた。


 キュウゥゥゥウンと何かが収斂されていくような甲高い音が、エアロ・バイクの駆動音を引き裂いて届いてくる。


 ……危険を感じて、ぶっつけ本番の魔力障壁を展開させようとした、その刹那。




 白い稲妻が視界を埋め尽くした。




 途切れる視界。消える聴覚。


 すぐ横の壁が破裂し、コンクリートの塊を土砂崩れさせている。


「――今のはなんだ!?」

「分からない!!」


 遅れて回復してきた聴覚で仲間たちの遠い声を確認。


 運よく外れてくれたようだが……なんだあれは。


 肌を焼かれたような鋭い痛みが、ひりひりと後に残っている。

 あの鋭すぎる青白い熱線は、炎とかそういう類のものでは決してない。


 もっと別の……それこそ……





 ――、のような……。






「……まさか――!」


 再度、闇の奥で弾けた白い光に目を凝らす。


 やつが構えた、その巨体を覆いつくすほどの丸い大盾。


 丸鋸のような側面部がこちらへ向けられ、その内側で青白い雷撃のほとばしる何かがキュイイイインと収縮する音が、再度、エアロ・バイクのエンジン音を超えて反響してくる。







 ――かつて、カイトから最強の機工武器について聞いたことがある。


『自律駆動ビット』と、『封印拘束具』に並ぶその武器は、どんな姿形をしているかもいまだ判明しておらず、


 ……しばらく前にこっちの世界の軍事施設から盗まれ、行方が分からなくなっていたのだという。


 その際立った特徴は、『雷を射出する』という点にあり。


 近未来SFモノの空想でしかなかった、その武器は――……。






「――『レールガン』の機工武器だッ!!!!

 バファ!! 今すぐこの地下鉄を抜けろッ!!!!」


 大急ぎで、ミーシャの魔力障壁の上にもう一枚を生成し――。




 ――青白い閃光が、視界を切り裂いた。


 崩落する天井。なだれ込む土砂。


 ぶすぶすと何かが焼け焦げるような音が、危機感を煽り立ててくる。


 俺とミーシャが張ったはずの魔力障壁の、半分以上が丸ごと削られて焦げているのを見て、全身に鳥肌が立った。


 やつが新たに装備していたのは、ただの大盾ではない。

 まごうことなき最強の機工武器の一角だ。


 幻想世界出身のくせに、最強の機工武器まで使いこなすなんて卑怯だろ……!?


 俺は火球や氷の槍を生成し、敵に向かって投射。

 緋色の射撃に合わせて抵抗を試みるが……焼け石に水だ。


 すぐに、あの雷撃が収縮するような音が響き渡り、次の瞬間には青白い死の光線が飛んできた。


 完全に砕ける魔力障壁。ほんの一瞬だけ制御を失うエアロ・バイク。


 やつの命中率が良くなっていることを、寒気とともに認識した。


「ダメ! 魔力障壁だともう防ぎきれない!」

「バファ! まだ外に出れないか!?」


 長く後ろのほうを見ていたせいで痛みを訴え始めていた首を回したが、左右に延々と続く蛍光灯が途切れる気配は無い。


 そしてまた、後方から雷撃の収縮音が鳴り響く――……!


「皆様方、ちーっと退いてくださいねえ」


 そこで、毛むくじゃらの長い腕が、後方へ伸ばされた。


 目と鼻の先で構えられた、バファ愛用の大きな片手銃。


 そこには、謎のワイヤーが取り付けられていて、

 エアロ・バイクの動力部から電力を吸収するかのように、その銃身にプラズマがほとばしっていく……。


 バファが、速度の落ち始めたエアロ・バイクのハンドルを視界外で慎重に微調整させながら、金色のタレ目を見開いて、闇の奥に蠢く敵を見据えている。


 鼻先に感じる静電気のような刺激が、倍々に強くなっていくのを感じる。


 やがて、バファの片手銃の収縮音と、敵のレールガンの収縮音とが共鳴し――


 両者、ほぼ同時に撃ち出された。




 ――バファの撃った銃弾は、あっさりと弾かれ。


 しかし、まとわせた雷撃のおかげか、レールガンの弾道がわずかに逸れたのを、瞬きの後に理解した。


 直撃は免れたものの、エアロ・バイクの横をかすめた敵の攻撃はこちらの機体を簡単に制御不能にさせるくらいには強力で。

 逸れたレールガンで崩落した天井の、その地盤の上に機体が乗り上がっていく……。


 大きく揺れる視界と土砂の中で、エアロ・バイクが何かに激突した衝撃が加わり。

 俺は、魔力の糸が千切れて放り出されるのをスローモーションで感じながら、かろうじて三人に魔力障壁を展開。


 全身が中空に放り出された感覚の直後に、意識がぷつりと途切れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る