第62話 思ったことを言う[いちゃ×2]
胸がじーんと熱くなる。
あの白雪が、ちゃんと言葉で俺に気持ちを伝えてくれている。
俺もちゃんと思ったことを白雪に伝えないと!
「俺、白雪と付き合えて本当に良かっ――」
「えいっ」
「うぎゃ」
白雪の足が、俺のふくらはぎをつついてきた!
「急に悪戯すんなよ!」
「えいっ、えいっ」
白雪が子供みたいな顔をしながら、俺の足をつんつんしてくる。
「くすぐったいって! 今、良いこと言おうとしたのに!」
「んー?」
「ちゃんと聞いてよ!」
「じゃあ聞く」
「俺、白雪と付き合えて本当に良かった!」
「私も」
俺がそう言うと、白雪はこちらに身を乗り出してきた。
はらりとタオルが取れそうになったのを左手でおさえている。
「んっ」
白雪の唇と俺の唇が重なった。
……頭がぼーっとしてしまう。
お互いの唇をつつくだけのキス。だが、前よりずっと長めのキスだ。
白雪の顔が見たくて目を開けると、ふと白雪の白い胸の谷間が見えてしまった。
いつも学校ではかっちりしている白雪が……。
あのガードの固い白雪が……。
こんなにも無防備な姿を見せている――。
白雪はそのまま腰を下ろした。
俺の太もものあたりに、白雪のお尻の柔らかい感触が直に伝わってくる。
お互いの息がどんどん荒くなっていく。
「んぅ……」
白雪がなまめかしい声を出した。
俺はそれがきっかけとなり、本能的に白雪の胸に手を伸ばしてしまった。
「あっ……」
白雪の体がビクッと反応した。
一瞬、抵抗するかのように俺の腕をつかんできたが、すぐに俺の頭に手を回す形になった。
触ってもいい……ってことだよな?
指を控えめにふにふにと動かしてみる。
「んぅ……」
白雪がまた声を出した。
濡れたタオル越しに、白雪の胸が俺の手の平にすっぽりおさまっている。
「んっ」
指を動かすたびに白雪が身をよじっている。
女の子の胸ってこんなに柔らかいんだ……。
胸の中心にはほんの少し固さが残っていて不思議な感じがする。
大きすぎず、小さすぎず。
柔らかいけど、確かな質感があって、弾力で指をはじき返してくるような気がする。
感動と興奮で頭がどうにかなりそうだ。
「はぁ……はぁ……、
白雪が俺から唇を離した。
「痛い?」
「全然痛くない……」
「痛かったら言ってね」
「う、うん……」
今度はさっきよりも強めに指を動かしてみた。
俺の指の動きに合わせて白雪がまたビクッと体を――。
「
どわぁあああああああ!?
玄関から母さんの声が聞こえてきた!
白雪もびっくりして、咄嗟に俺に抱きついてきた!
「わ、忘れ物したから取りにいったみたいー!」
大きな声で母さんに返事をする。
「ふーん、玄関に靴があるからどこに行ったのかと」
「ち、近いから俺のサンダルで出て行ったんじゃない!? っていうか母さんはどうしたっ!?」
「忘れ物しちゃって!」
「は、早く行けよ! 今、俺、風呂に入ってるの!」
「はいはい。あっ、回覧板お隣さんに回しておいてね」
「分かったから!」
玄関の閉まる音がした。
どんなタイミングで母さんは帰ってきてるんだよ!?
「ビビったぁ……」
「あはは……私たちがこんなことしてるって知ったらおばさんびっくりしちゃうね」
「腰を抜かすかもしれない」
恨むぞ母さん……! 今、良いところだったのに!
「て、
「ん?」
「タオル取れちゃった……」
「へ?」
湯船にはさっきまで白雪が巻いていたタオルが浮かんでいる。
俺の胸の中には、一糸まとわぬ白雪がいた。
「そ、それとね……」
「う、うん」
「て、
「うわぁああああああ!」
※※※
体中が熱い。少しのぼせたかも……。
俺たちは別々にお風呂をあがって、いつものソファーに戻ってきた。
くぅう……もっと触りたかった……!
健全な男子高校生はそう思わずにはいられない!
母さんに邪魔された!
マザーキャンセル、いやこれはババアキャンセルだ!
略したババキャンだ!
「てーる君!」
「おかえり~」
白雪がバスタオルで髪を拭きながら、こちらにやってきた。
いつの間にか薄ピンク色で七分丈のパジャマに着替えている。
「ドキドキしたけど楽しかったね」
(おばさんめ……よくも邪魔してくれたなぁ……)
変なタイミングで心の声が聞こえてきた。
知らずにヘイトを溜めているうちの母親。
だが、この心の声には完全に同意だ!
「髪の毛、ちゃんと乾かさないとダメだよ」
「分かってるって」
俺も肩にかけていたバスタオルでくしゃくしゃと髪を拭く。
すっごく消化不良ぉ……もっと白雪といちゃいちゃしたかった。
そ、そうだ!
「白雪!」
「どうしたの? 怖い顔して」
「髪の毛、乾かしてあげる!」
「えっ、別にいいよ~」
「やだ! もっといちゃいちゃしたい!」
「ふぇ!?」
思ったことが口から出た。
「じゃ、じゃあお願いしちゃおうかな……」
「任せて!」
今なら、町中でいちゃついているバカップルの気持ちがよく分かる!
好きな人と一緒にいるとずっと触れ合いたいって思ってしまう。
「ドライヤー持ってくる!」
「あっ、こっちに持ってきてるよ」
「じゃあそこのソファーに座ってください、お客様」
「おっ、美容室みたい」
「遠藤美容室へようこそ!」
「下手糞そう」
「出禁にするぞ」
「うそうそ! はい、どうぞ! 乾かしてください!」
白雪がソファーに座った。
ドライヤーを近くのコンセントに繋いで、白雪の後ろに回る。
ブォオオオンとドライヤーで白雪の髪を撫でていく。
「よく考えたら、誰かの髪を乾かしたことなんてなかった」
「そりゃ、そうでしょうね」
「熱かったら言ってね」
「今のところ平気だよ」
美容師さんの見様見真似で、髪を指先で撫でながら乾かしていく。
白雪は、穏やかな表情で、とても気持ち良さそうに目を閉じている。
「お客様、かゆいところはないですか?」
「ちょっとへそのあたりがかゆいかも」
「頭の話してんだよ!」
「ちぇ、かいてくれないんだ」
(かいてほしい)
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