第45話 男女間の友情は成立するか!?
次の日の放課後! 予定通り、白雪が朝陽に声をかけることになった。
「朝陽、ちょっといい?」
「えっ? 白雪?」
白雪に声をかけられて朝陽がびっくりしている。白雪から声をかけられるのが相当珍しいのだろう。
「たまには話さない?」
「ど、どうした急に!?」
「最近、元気ないみたいだからさ」
「ははーん、さては遠藤に吹き込まれたな」
ぎくり。
あっさりバレている。
「ま、まぁ、そんなところだけでさ。たまには良いかなって思ったのも本当だよ」
「……白雪って変わったよね」
「そう?」
「うん、前よりも自分の気持ち言ってくれるようになった気がする」
朝陽がそう言って席を立ちあがった。
「はぁ、じゃあたまには女同士で行きますか」
「うん」
「遠藤は付いてくるなよ」
朝陽にじっとした目で睨まれた。
「分かってます」
「さーて! じゃあ、どんな感じで付き合うことになったのか聞かせてもらおうかなぁ!」
おっ、少しいつもの調子に戻った気がする!
「えっ? 聞きたいの!?」
なに話したそうにしてるんだ馬鹿野郎!
まさか洗いざらい話してしまわないだろう!?
「し、白雪! 余計なこと言うなよ!」
「うるさいなぁ。じゃあ、行ってくるからね」
「お、おう」
「先に家で待っててね」
さらっと爆弾発言を残して白雪たち教室から出て行った。
白雪と朝陽が一緒に並んでいるとすごく華があると思う。
「「「遠藤ー……!」」」
げっ、白雪の置き土産が教室の中で大爆発した。
※※※
「……で、どうだったの」
「普通に話して普通に帰っただけ」
「なにしに行ったんだお前は!?」
夜、うちでゲームをやりながら白雪に今日あったことを尋ねる。
白雪の操るキャラが、リビングにある大型テレビの中を縦横無尽に飛び回っている。白雪のやつ相変わらず地味に強い。
「だって、別に悩んでないって言ってたもん」
「そんなはずは……」
「仮に悩んでいても言ってくれないものを無理矢理聞くことはできないよ」
……そりゃそうだ。
言ってくれないことを聞くことはできないし、その人が抱えているものを聞いたからって教えてくれるとは限らないのだ。
そんなの当たり前のことだ。
「他にはどんな話した?」
「んー? 次の体育祭の話とか、この前の中間の話とかかな」
普通だ。あまりにも普通過ぎる。
俺の考えすぎだったのかなぁ。
でも、朝陽の心の声は間違いなくもやもやしていたわけで――。
「あっ、あとこんなこと聞かれたかも」
「こんなこと?」
「男女間で友情は成立すると思う? って」
「……ちなみに白雪はなんて答えた?」
「ない! ってバッサリ切っておいた」
この馬鹿ッ! なに一刀両断してるんだよ!
それを言ってしまったら、益々と朝陽と話づらくなるだろうか!
「……俺はそんなことないと思うけどなぁ」
「どの口がそう言うんだか」
「どういうこと?」
「だって、私たち今こうして付き合ってるじゃん」
「うん」
「幼馴染だって友達の形の一つだと思うけどな」
……なんつー説得力だよ。
確かに子供の頃は恋愛というよりは、友情に近い感覚だったかもしれない。
――俺、白雪のこと好きです! 好きだって気づいたのはつい最近でしたけど、多分子供の頃からずっと好きでした!
最近、こんなことを言ってそれを否定したばかりだった。友情から愛情に変わったのを自分で肯定したばかりだった。
男女間の友情……なんという難題なんだ!
どんな数式よりも難しい問題なんじゃないかな。
でもなぁ、割とそういう話もある気がするんだよなぁ。
だって、あの有名忍者漫画は最初のグループのピンク髪の女の子と付き合わなかったし、金髪に変身する国民的バトル漫画だって最初に出会ったヒロインとは恋愛のれ文字すらなかった。
「……」
……あれ? どっちのヒロインもライバルキャラに寝取られているような。
まぁ、それは今は置いておこう。
「頭、痛くなってきた」
一旦、コントローラーを置いて目を抑える。
朝陽が俺を友達と呼んでくれたことに、間違いなくそんな気持ちはなかったと思うんだよなぁ。
朝陽の心の声からは、俺への嫌悪感は一切感じない。むしろ漠然とした寂しさを感じてしまった。
だから尚更、放っておけないというか……。
「はぁ、早速浮気かぁ」
(なによ、さっきから朝陽の話ばかり)
「求ム、浮気の定義」
「他の女のことを考えると浮気になります」
(私のこともっと考えてよ)
「浮気のハードルくっっそ低くない?」
「浮気には精神的浮気と肉体的浮気があります」
「ほうほう」
「今のは精神的浮気になります」
(あっ、自分で言ってて涙出てきた)
「待て待て待てぇ!」
あー! もう!
みんながみんな白雪みたいに分かりやすければいいんだけどな!
「俺は白雪が一番! 白雪が一番好きだよ!」
「
げっ、大きな声を出したら母さんに怒られてしまった。
「じゃあそれを今ここで証明して見せてよ!」
「……具体的には?」
「ちゅーかぎゅー」
「そこに実の母親がいるんですけど!」
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