No.4 届かない《伶菜》(1)
アナウンスが聞こえてきて、心臓の音がドキドキしてきているのが大きくなる。
ショートプログラムでいろいろと細かいミスとレベルの取りこぼしで、八位になっていたのがとても悔しかったりしていた。
見た目はノーミスに見えたはずなのに基礎点が下がるものは下がっていた。
なので今回はもう予定構成にしていつも通りにすることにしたんだ。
「がんばれ~!
「ガンバ~!」
聞き慣れた声での声援が聞こえてくるのはとてもうれしそうな顔をしているんだけど、笑顔でみんなが楽しそうに拍手をしている気がする。
「よし、行ける」
歓声を味方につけていきたいと考えている。
氷を削られる音が会場内に響いてから、立ち止まってポーズをする。
ハーモニカのイントロが流れてきてから滑っていくときに、歌が始まってから楽しそうに滑っていくんだ。
最初のジャンプは苦手としているジャンプが続くからとても難しいかもしれないと考えている。
トリプルアクセルとかもないからクオリティで勝負するしかないと思っている。
加速していくスピードの風が頬を冷たく触れてから、最初にターンをして助走をしていくことにしていたんだ。
滑り出してから勢いに乗ってスカートがバタバタとはためいているのがわかる。
跳ぶ瞬間までが緊張がピークになってきてしまうんだけど、手先が冷たくなってきているのが感じたりしている。
最初に流れてきたのはトリプルループを滑ってきてから丁寧に滑っているのが見えた。
大歓声のなかで勢いに乗って滑っているときに、楽しい気持ちがわき上がってくる。
わたしは思わず楽しく滑ることができているのが、とてもいい感じだなと思えてきている。
「うわぁぁぁぁっ!」
公式練習のときよりもスピードが出ているように見える。
苦手なトリプルサルコウもきれいに降りれてから、すぐに楽しいことをしているのが見えている。
最初にレイバックスピンをしているのが聞こえてきてとても楽しそうにしているんだ。
ビールマンスピンがとても難しくてようやく形ができるようになっていたんだよね。
わたしはようやく形にできたことがとてもうれしくて、みんなが拍手をしているのが聞こえてきている。
次のダブルアクセルから曲調がガラッと変わって、楽しくデートに出かけていくようなステップシークエンスが組まれているんだ。
疾走感のある曲調に乗せて楽しく踊っているような姿を滑っていくようなことがあって、みんなが楽しく見えるようなプログラムを作っていた。
笑顔でうれしそうな表現をしながら滑っていくことは楽しい。
そこから足換えのコンビネーションスピンをして滑り出すときに跳びあがるようなことをしているんだ。
後半のジャンプは全てここに組み込んでいるから、無茶な構成になっているけど成功させたい。
トリプルルッツ+シングルオイラー+トリプルフリップの三連続ジャンプを降りた。
歓声が上がっていなかでトリプルフリップ+トリプルトウループのコンビネーションを踏み切って、みんながさらにどよめいているのが聞こえてきた。
足がパンパンになってきているのがわかる。
スピードに乗ってトリプルサルコウ+ダブルトウループを降りて、ようやく楽になれると思いながら次の曲について聞こえてくるのがわかった。
テーマは若者の淡い恋物語だ。
衣装もそれなりに私服風というか、恋人とデートしに行くために精一杯のおしゃれをした女の子みたいな感じだ。
この曲にした理由が思い出すのは昔見ていたビデオで滑っていく選手の姿だっただ。
ボーカルが解禁されているから小学生のときくらいだったと思うんだけど、あまりぼんやりとしているんだけど楽しそうだった。
三曲目のテーマが幸せな恋の時間を懐かしむようなことを考えて作られているんだ。
解釈は結婚後に懐かしんでいる、もしくは別れて年月が経っているようなことが大きいのかもしれない。
寂しげな笑顔を浮かべてコレオシークエンスを始めて滑っていく。
スパイラルとイーグルを繋げているのにシンプルな形に変化していくのがとても難しいんだ。
スピードに乗っているのにバランスを崩さないようにしないといけないから、とても大変だし筋トレ不足なところがはっきりと出ているかもしれない。
最後に締めくくるようにフライングキャメルスピンに入った。
体の姿勢をふらつかないように維持しながら回転数を数えながら、姿勢を変化させてからスピンを終えて大きくターン、丁寧にポーズをして曲が終わっていたんだ。
「うわあああああっ」
そんな歓声が聞こえてきてノーミスだったのかもしれないと感じているみたいだ。
拍手が聞こえてきて四方にお辞儀をしてみんなの方を笑顔で手を振ったりして、リンクを後にすることにした。
「
「お疲れ様、ノーミスだよ! よくやったね」
とても興奮したように伝えてくれることを知って、とてもうれしくてハイタッチをしてキス&クライへ向かうことにした。
ブレードにケースをつけてからゴトゴトという音を響かせながら台に乗ってソファに座る。
所属している
「レベルは取れて良さそうだね。ショートプログラムで緊張してたのかもしれない」
「うん。一番最初だったし……普通にその可能性が高いよね」
「得点がどれくらいかな……」
「わからないよ。ここで新しく出るかもしれない」
『幸田さんの得点、140.55。総合得点202.98。現在の順位は第二位です』
得点は十分高いんだけど、とても順位が上手く伸びていないなと考えている。
これからインカレと国体が続いて行くので、練習は続けていかないといけない。
初めてのインカレはきちんと優勝したいと考えている。
「うわぁ、
「惜しかったなぁ、ちょっとショートがヤバかったんだろうなぁ」
「それじゃあ、行こうか」
取材を受けるためにミックスゾーンで試合の感触を聞かれた。
自分の力がショートではそんなに出せなかった悔しさがあったこと、それをフリーにぶつけることができたことを伝えた。
同じジャージを羽織っている
「伶菜ちゃん! おめでとう」
「ありがとう、さらちゃんもよかったよ。フリー」
「でも、かなり失敗してヤバいかもしれない。海外派遣はなさそうだし」
「そっかぁ」
さらちゃんはミスがあったのか上手く跳べないことがあったみたいだ。
でも、それ以外は満足しているみたいですぐに更衣室から観客席に向かうことにしたんだ。
関係者席に行くと稲生大学のメンバーが多く待っていたんだ。
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