第31話 エピローグ①

 神界の女神の城。その大広間。


 二人の女神、白の女神と黒の女神が、ぽつんと置かれているテーブルに座っている。


「勇者と魔王が使徒たちを倒すという結末になったわね。審判員のいなくなった異世界で、勇者と魔王を戦わせる強制力はなくなったわ」


「そうね。で。このまま放置?」


「まさか。それじゃあ面白くないでしょう」


「なら……私たちが直接介入?」


「流石にそれは天界の他の女神たちが許さないわね。だから……」


「だから……?」


「刺客を送りましょう」


「刺客?」


「というか、あの二人の間をかき回すモノ」


「それは妙案かも。ふふっ」


「ふふっ。ふふふっ」


 長い長い髪をした二人の女神たちが顔を合わせて笑い合う。


「使徒リーヴェンデール」


 白の女神が名前を呼ぶ。


「ここにいるわ」


 女神の脇に、小柄な女の子が現出する。


 金髪ウェーブのツインテール。外見は年の頃、十四才程度。悪戯っぽい笑みを浮かべた、小悪魔の様に美しい少女だ。


 その使徒は、自分を呼び出した白の女神に向けてふふっと笑った。


「楽しみ。勇者ハルトって私の好みだし。魔王から勇者を奪い取ればいいのね?」


 ハルトとミツキのいない、遥か遠い場所。


 二人の『運命』が再び揺れている。

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