朝顔の雫
梅林 冬実
朝顔の雫
朝の香気が腕に胸にまとわりつき
それを心地よいと感じたなら
夏が来たと空に伝えよう
空はきっと「知っているよ」と
答えるけれど
蒼空に純白の雲が浮かぶとき
私は遥か自由になって
青に心奪われ
白に見惚れ
わけもなく
微笑んでいることだろう
早朝に渾身を拡げる朝顔みたく
腕を胸を精一杯開き
夏を必ず抱きしめる
夏が来た
咲き乱れる朝顔に
それを憶える
透明な水に
紫の薄紅の雫を落としたみたいに
すぅっと染まる花びらを
しんとした心が愛でる
幻想でもなく夢幻でもなく
朝顔が咲いている
私は入道雲に想いを叙事し
青空に爾今を託す
夏が来た
夜明けを彩る朝顔が
薄紅の紫の水色の
雫を落とす季
この慥かな鼓動にもまた
朝顔が零す清らかな水滴が
ひとしずく染みわたるのだ
朝顔の雫 梅林 冬実 @umemomosakura333
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