ちりん

@chased_dogs

ちりん

 青い空。白い太陽。黒々と木々が整列し、緑の金網がその隙間をノロノロと縫っています。蝉はギャアギャア、鳥はヂヨヂヨ鳴いています。暑い夏です。


 そこへ二輪の車が横切りました、段差に揉まれてチリンと鳴きながら。自転車です。上には女の人が跨って、前かご後ろかごにはちょんと子供が載っています。女の人はペダルを時折踏みながら、にこにこ楽しくお喋りしています。何を話しているのでしょう? きっと「ヒマワリとタンポポはどっちが強いの?」とか「オニヤンマってカナヘビ食べる?」とか話しているのでしょう。


 そのとき、ケテンケテンケテンケテンケ、ゥオーウ、ンケテンケ……、踏切に遮断器が降り、女の人と自転車の傍を、キキッ、シャシャーッ、シャッ、スタタン、……デゥワァーォン! ……スタタン、シャッ、シャーシャッ、タン……、電車が通り過ぎました。


 列車が太陽の陰に隠れると同時に、その向こうから女の人と自転車が飛び出してきました。チキチキチキチキチキチキチキチキ、自転車鳴ります。ニコニコニコニコニコニコニコニコ、笑顔が咲きます。ガタコトガタコトガタゴトガタコト、鉢植え踊ります。前に朝顔、後ろに鳳仙花。女の人はペダルを時折踏みながら、にこにこ楽しくお喋りしています。何を話しているのでしょう?



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ちりん @chased_dogs

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説