マルの物語

第3話 桃のやつ

ママはたまに僕にいじわるをする。

この前は、はみがきをしてきたし、すごく嫌だった。

「マルはお口がくさいからね」って。お口がくさいってなんだろう？

僕はママと一緒で幸せだけど、「病院」も嫌だし、はみがきも嫌。

この前ポカポカしてて寝ていたら桃のやつを被せて写真を撮ってきた。

「ツイッターにあげよー」ってママは嬉しそうだけど、僕は嫌。

桃のにおいもくさくて嫌だ。

僕の鼻はすごく良いから、もう桃のやつは被せないでね。

マジックっていうやつで目の上に線かくのもくさくて嫌。

でもママが嬉しそうだから、良いかも。

お家には僕とママの写真がいっぱい。

ママは写真が好きだから、僕も好きになる。

ママはなんでお散歩に行くときに「お化粧」をするんだろう。

「お化粧」の臭いも嫌なんだよ。

男の人が来た時もママは「お化粧」をする。

あ、夜男の人が来るみたい。ママがお料理頑張ってる。楽しみ。

僕、邪魔しないから気が向いたら遊んでね。

僕だけのママじゃなくなっちゃったけど、ママが笑ってる。嬉しい。

ずっと三人で遊ぼうね。

男の人は「とし」って呼ばれてる。僕もとしって呼んでいいかなぁ。いいよね。

としは僕の好きなオモチャのエビのやつでいっぱい遊んでくれる。

僕はいつも人がきたら吠えちゃうけど、ごめんなさい。

としには吠えないように頑張るから許してね。

わぁ、としが来た！ママ、としだよ！

嬉しくて嬉しくてやっぱり吠えちゃってママから鼻指で叩かれちゃった。

「マルー元気かー良く頑張ったな。飯食ったら遊ぼうか」って。

やったー。僕、ママの次にとしが好き！

ママは遊んでくれなくて、しかくい黒いやつで遊んでるから、僕、隣にいるんだ。

いっぱい遊んで、一緒にねんね。でもとしは忙しいんだって。

としは「指輪」っていうキラキラしたやつをたくさんしてて、きっと邪魔だよね。

なんで、一個だけ「指輪」をしてないんだろう？重たいのかな。

まあいいや。ご飯食べ終わったみたいだから思いっきり遊んでもらったよ。

エビのやつで引っ張り合いっこ。

僕、ついウーって言っちゃうけどとしはヨシヨシしてくれる。

ママに言ったら怒られちゃうかな。

でもとしは優しいから大丈夫。ママも僕ととしを見ていっぱい笑ってくれる。

寝る時はママととしが喧嘩するから、僕おとなしくしてるよ。

喧嘩が終わったらいつもくっついて寝るんだ。もちろん僕も一緒。

とし、毎日お家に来てくれないかなぁ。

としとママと僕だったら毎日幸せ。