第27話 開眼
大崎にはにはガボ人間が七体程歩いていた。
「じゃあ、とりあえずあそこの子供のガボお願いしてもいいかな?粘液が付着しないようにね」「はい…」と田崎は自身の両腕を摩った。
「不安ならやらなくていいからね」三上は微笑んだが田崎の顔色は青ざめている。
「じゃあ行こうか。危ないから無理しないでね」再三と注意した。
三上が次々とガボ人間を殺しつつ田崎の様子を伺うとガボ人間の上に跨り、笑顔で腕を切り落とし、もがくガボ人間の右胸をゆっくりと刺している。
背筋が凍った。田崎ももしかするとサイコパス、ソシオパスなのかもしれない。
最後の一体は興奮気味の田崎がまた跨り同じように殺した。
笑顔が輝いて見える。なつみと同じ系統なのか。
「田崎君よく頑張ってくれてありがとうね」
田崎はウィンドーの外を見ている。
「いえ、楽しかったです」
「そっか。明日も来れそう?」三上は信号機に捕まり田崎を見た。
前髪を払い「はい。また明日来ます。時間は八時でよろしいですか?」
「うん。お願いね」前髪が無く、眉と目が見えた田崎は非常に美しい顔をしていた。
なつみはもう田崎に「恋」をしているのだろうか?
そうなればだが、勿論応援はするが少々軽率だとも感じる。
「じゃあ家まで送るよ。なつみさん怒りそうだけど、汚れた服で帰れないでしょ?」
「助かります」と、またも窓の外を眺めていた。
発進し、田崎の指示に従い走ってゆく。
大崎からは五分少々で到着した。そこはかなり古い木造アパートメントでとてもじゃないが住みたくはない。
「じゃあお疲れ様でした。また明日…」
静かに車を降り、一階の自分部屋に帰って行くのを見届けて事務所に戻った。
やはりなつみは怒っている。ふりかもしれないが。
「三上さんの車乗りたかったし、田崎君と戦いたかったです…」目線が合わない。
「田崎君も初日だから疲れてんだよ、街のガボは何体殺した?」三上はパソコンを開いた。十二体ですー今日は少なくて残念でした」大きなため息をつき、ソファーに寝ころぶ。
「あのさ、出来れば田崎君にも戦い方教えてほしいんだけど」
「三上さんが望むならやりますよ!説明しながらゆっくりとですね!」なつみの機嫌は少し良くなったようだ。
「んじゃ明日よろしくね。帰っても大丈夫だよ」
「お任せあれ!明日は教えます!ナイフの方がいいのかなぁ…?あ、お疲れ様です」
なつみは嬉しそうに帰宅していった。
事務作業を終え、三上も帰宅した。
どっと疲労感が押し寄せる。三上は人見知りで初対面の人と会うのは気を遣う。
風呂も入らずに眠りについた。
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