第5話 三日目
玲子は一昨日と同じ黒い服を着ていた。相変わらずの口元が隠れるパーカーだ。
まさか洗っているのだろうか。三上は悍ましく感じ、戦いが終わり帰宅するとその服を捨ててしまう。慣れればそうすることも出来るようになるのか。
それに、このままではすぐに黒い服が無くなってしまう。
「行くよ」玲子は三上を見ずに言い歩いていく。
そういえば、玲子は三上を面接時の時しか見ていない気がする。
嫌われているのだろうか。失礼な事をしてしまったのかと、様々なことを考え玲子に着いていく。またもエレベーターの前で「もっと注意して」と言われた。
「はい、気をつけます」三上は頭を下げた。玲子は見ていないがもっと注意してという事は見ているのか。
外に出るとこちらに気付いたガボ人間がふらふらと近寄ってきた。
今日は女のガボ人間が多い。少し抵抗はあるが、ガボウイルスに侵されているのだから。と自分に言い聞かせる。
最初に手をだしたのはやはり玲子だ。順には劣るが素早く確実に右胸を刺していく。
三上は成長を玲子に見せたく、必死でガボ人間を殺した。女のガボ人間は男よりも肉が柔らかい。ナイフが吸い込まれるように入っていく。
「あ」玲子が口を開いた。気が付くとすぐ背後にガボ人間がいて口を開け、両手を大きく広げ噛みつこうとしている。
三上は思わず目を閉じた。
目を開けると玲子がそのガボ人間をすでに殺している。ガボ人間は真っ赤な目でぎょろりと三上を睨みつける。この瞬間はどうしても慣れそうにない。玲子は少し息が上がっている。さすがに疲れたのだろうか。
「すみませんでした。大丈夫ですか?」と聞くと無視をされた。少し怒っているのかもしれない。申し訳ない気持ちになる。
残り二体だけになり、三上は一体、玲子は一体と背中を合わせるようにして殺した。最後のガボ人間は母に似ており抵抗があったがこれも仕事だ。仕方がない。
無言のまま事務所に戻る。
「おかえり!何体?」順はいつも笑っている。順と玲子は正反対の性格をしているなと思った。どのような経緯で親友になったのだろうか。
玲子は「十七」とだけ告げシャワーを浴びにシャワー室に入る。
シャワー室は足元だけ見える作りになっており、白い足から黒い血液がだらだらと流れるものが見えた。
今日は着替えを持ってきていたので「僕も後でシャワー室をお借りしてもいいですか?」と聞くと順は嬉しそうに「もちろん!臭いからね!」と答えた。
三上は麻痺しているのか、死臭が少しわからなくなっている。
しかし順と玲子にはわかるのか。
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