第4話 決意

外に出るとガボ人間が十五体ほど居た。

いつもこのような数で、昨日は特別多かったのだろうか。

順はガボ人間を見るたびに刺していく。玲子より素早く的確だ。

もしかしたら、玲子より歴が長いのかもしれない。

三上はまず一体のガボ人間を殺した。昨日より肉が固い。

沢庵に刺しているようだ。人々によって固さが違うのか。

ブヨブヨとしたガボ人間も居た。見た目は老人だ。

年齢によって違うのか?と考えながら四体めのガボ人間を殺した。

吐き気はするが昨日より少しは慣れてきた気がする。

さくさくと順はガボ人間を殺し、三上が殺したのは八体だった。

身体についた死臭が酷い。やはりガボ人間は死んでいるのだろうか。

全体を殺し終わり、事務所に戻ると、玲子が眼鏡をかけてパソコンをいじっている。

「お疲れ様、何体?」

「十六!三上君も沢山殺したよ!あたしと同じ数!これは期待できるぞ!」と順は興奮気味だ。一体でいくら入るんだろう。

順はすぐさまシャワーを入りに行った。玲子同様このためのシャワー室なのか。

しばし玲子と二人になったが、話す事は無かった。

順がシャワーから上がり、缶ビールの五百を三本取ってきた。

「お疲れの乾杯!でも三上君、臭いよ!着替えは?シャワーは?」と順から言われたが、「すみません、着替えもないのでシャワーも家に帰ってから入ります」と返事をしておいた。

缶ビールは三人で六本開いた。ほろ酔いになったところで帰宅する。

死臭は風呂に入ってもなかなか取れない。ついつい強く身体をこすってしまう。

明日はもっと殺したい。約に立ちたい。何よりも母の仇を取りたい。

二日目だが少々自信がついてきた。

人として見るのは辞めよう。と冷蔵庫で眠っていた缶ビールを呑んだ。

昨日ろくに寝ていないせいか、酒の力かわからないが熟睡していた。

朝になり目覚まし時計を止め、黒い服に着替える。

出勤すると玲子から何も言わずに紙を渡された。

そこには大まかに「職員がガボウイルスに感染したら、殺害すること」という文章が書かれている。

まさかこの人達が感染することはないだろうと思い、鞄に入っている認印を押した。

今日は玲子との戦いだ。少しの成長を見てほしいと胸が高鳴る。

順が外を見て「十八体くらいだねー!」と叫んだ。

どうやらこの特有の話し方は変わらないようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る