最近、年が明けた
その瞬間は自宅で、ぬくぬくしていた。毎年そうだ。年越しの番組を見ながら酒を飲みながら年賀状を書きながら過ごしている。何枚かは支離滅裂だったりする。毎年そうだ。
今年は除夜の鐘を中継で聴いていた。
鐘音108つ。
わたしの煩悩はそんなもんでは無かったのだが、余った分はどう処理されるのだろうか。そんなくだらないことを考えていたら静かに年が明けていた。
窓を開けると、アルコールに火照った頬に夜が当たり気持ちいい。
いつもなら一瞬で酔いも醒めそうなほど風は冷たいのに、今年は暖冬と言われるだけあって柔らかい冷たさだった。やはり窓の外も静かだった。
夕方、静けさは一変した。
この日本という国は、一体何度苦境に立たされるのか。どれだけの人が苦しい思いを強いられるのか。言葉もない。
たとえ頭の整理がついたとて、当事者でないわたしに本当の理解は訪れない。
夜の優しくのんびりした静けさはもうそこには無く、息を詰め静まり返った空気が立ち込めていた。
わたしに何が出来るのか。出来るというのか。繰り返されては考える。
その答えに辿り着いたことは無いし、そもそも辿り着けないかもしれない。模索するためにも書き続けているんじゃないかと自分の都合のいいようにも考えた。
他者に手を差し伸べるというのは、容易いようで難しい。
マニュアルに則った行動が最も効果が高いのだろう。しかしそれ以上に何か出来ないものかと歯痒さを感じてしまうのはエゴか。
踏み出しかけた片足の下ろす場所が見つからない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます