ご利用が計画的に出来ない

最近、

本棚を整理した。


嘘です。整理はできていない。床まで溢れていた書物を棚に収めただけで、整理も整頓もない。



増殖し続ける文庫本とマンガに居住を脅かされ、組立式の棚を2つ購入した。もちろん本たちは勝手に増殖しているのではない。

何を隠そう、わたしが買っているのだ。

丁寧に凝った装丁、気になるあらすじ、琴線に触れるタイトル、敬愛する作家、エトセトラ。目的を持って本屋に行くのもいいが、こうした何かに呼び寄せられる作品と出会いに行くのも好きだ。紙ならではの楽しみ方だと思っている。場所をとるのも紙ならではだが。


本屋にいるときは、自宅の惨状なぞ頭にない。その日の収穫をウキウキと抱えて帰り、本棚(仮)の前で絶望する、を繰り返していた。

さすがにこんな悲劇はもう、たくさんだ。と思い立った翌日に新しい棚を買った。

しかも送料がバカにならなかったため、一組ずつ抱えて帰った。腕が引き千切れるかと思うほどだった。

しかし、これも教訓の重さなのだと自らにこの試練を課した。



棚を組み立てている間は楽しかった。

あぁ、これではみ出た宝物たちを収めてあげることが出来るのだと。それを思えばちょっとやそっとの重労働、なんのこれしきだと。

収めたい本の高さに合わせて仕切の位置を調整し、あいうえお順で並べようか作者ごとに収めようか、いっそ出版社ごとに仕舞おうかななどと考えはじめ、気が付けば手元の作品を読んでしまっている。

そんな風にして休日を過ごし、いざ、と勢いに乗って次々と本を収めていった。


結果、入りきらなかった。


嘘だろう?

まさかこんなことになろうとは。

2つも買って入らないことあるのか。広い部屋でなしスリムなタイプを選んだ。でも2つだぞ。

日が暮れた頃にわたしを襲ったのは達成感なんかではなく、それまでと比にならない程の絶望感だった。


打つ手がなく、途方に暮れている。

明日、新刊の発売日だ。

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