幸運デッドボール

最近、

初めて『あなたが最後のお客様です!』体験をした。


一日◯◯食限定的なメニューを頼んだら、ちょうど◯◯番目だったらしい。その制度を知らなかったし、故に突然の宣言だったため詳細は把握していない。


ちなみに普段はこんな風にしっかり昼食をとっておらず、大抵コンビニで買ったてきとうなパンや菓子をつまみつつ動画を観たり、今のように物を書いたりしている。

仕事をしている訳では決してない。

休憩時間を削るほど、わたしは仕事を愛せていない。



それでもひと月に数日は「いやぁ、お仕事がんばっちゃったな。」と思える日がある。稀に。

自分へのご褒美という言葉を便利に遣い、甘いものを食べる。食事を豪華にする。欲しかった本を買う。

つまり今回もイレギュラーな行動をとり気まぐれに選んだメニューが、たまたま最後の一食だった。


これを幸運ととるか不運ととるか。


これまでの経験上、じゃんけんは弱いしガチャガチャでは欲しいものが当たらない。そんな人間がいわゆる滑り込みセーフに遭遇することは運が良かったと思うべきなのかもしれない。

担々麺は美味しかったし。



ただ自分のクジ運の悪さを重々に承知している分、平生から運を試されるような場面を避けている。いざという時こそ幸運に転がれるように。

SNS抽選とか宝くじとか。買ったところで当たらんだろうと思いつつ、もし仮に億が一にも当たってしまえば、後が怖い気がして手が出ない。

変なところで変な運を使わないようにしてきた。

要は貯めていた訳だ、運を。


この度は不意打ちを食らっちまった。

直近3回分くらいの貯運を使ってしまった気分だ。ある種の貧乏性なんだろうか。

担々麺は美味しかったのだから有り難く享受すればいいものを、素直にそうも出来なかった。



もし駅で、公園で、本屋で。片方の靴がすっぽ脱げたり手提げの底が抜けて荷物をぶちまけた人がいたら、わたしかもしれない。優しくしてあげてほしいです。

ひとまずメールで届いた「クーポンが抽選で当たる」という旨のメッセージは削除しておいた。

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