地下2階(上)

100体のゾンビとスケルトン。よく見ると天井にもゾンビコウモリやスケルトンコウモリがめちゃくちゃいる。その全部が俺たちに気づいた。


100体のバケモノが俺たちへ詰め寄る。たまらず悲鳴をあげて階段を駆け降りる。慌てているため、当然足を滑らしそうになる。石段の割と急な階段で。食われるよりも早く死ぬとこだった。


冷水をぶっかけられたように頭が覚め、一つのことを思い出した。バケモノたちは、階層を移動しない……ということは、階段には入ってこない。


階段を再び上り、様子を伺う。やつらは階段の手前ですし詰めになりつつも入っきていなかった。


しかし、このままでは飢え死ぬ。この大群では当分助けは来ないだろう。かといってこの肉や骨の壁を突破できるとも思えない。八方塞がりだ。コウモリどももチイチイとこちらを見て鳴いている。上からも狙われる……。


すると、スライムがもごもごと動き、ビュッ、とそこそこ勢いのある水弾が飛び出して1番近いゾンビコウモリにぶつかった。当たったコウモリはたまらず落ちた。


俺に電撃が走った。活路!


俺は折れた剣を握りしめる。前後左右に逃げ場なし。空を飛べるわけもなし。されど目の前には密密なバケモノ集団の、頭!やつらの頭を足場にして駆け抜ける!上からのコウモリはスライムで迎撃できる!


覚悟はすでに決まってる。指輪は2つとも俺の指に通しておく。金属が苦手なスライムかもしれない。タプンとしたスライムは背嚢にすっぽりと入った。


松明はいらない。折れた剣だけを持つ。

 



そして剣はこう使う!投げる!




投げられた剣は先頭のゾンビの膝に突き刺さり、体勢を崩した。後ろから押されているため前につんのめり、段差のように頭を下げた!


勇気と覚悟を、振り絞れ!


頭を踏みつけ、跳ぶ!次の あしばボーン!次!ゾンビ!次!


ボンボンボンボンふみふみ



チイィと鳴き声が聞こえる。無視。水が飛ぶ音。コウモリの悲鳴。問題ない!残り半分!




地面が見える!



ちゃんと並んでいない!ゾンビがスケルトンより少ない!あれだけの騒ぎで俺たちに気づいていないボケどもがいる!


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