第30話 加賀谷の悩みって

「ねえ、亮、加賀谷晴美って人知ってる?」

「知ってるよ、琵琶湖で会った。それがどうかしたの」

 食事の用意をしながら、母親が聞いた。

「うん、なんか今度あんたと話がしたいからっていうんだけど」

「なんで、話しするようなことないと思うんだけど」


「私もそう思うんだけどさ、一度会ってやってくれる? よかったらうちの高校で。女子高生だらけだよ」

「いいけど」

「こうこちゃんには私から言っておくから」

「いいよ、そんなの」

「私から言ってあげると安心するでしょ」


 なんか、まあ、こうことの仲は既定路線みたいになっている。もちろん不満は全くない。

 その夜、亮は恵美に電話をした、よりを戻す話ではない、S学園に乗り込む前に情報を仕入れておきたかったのだ。

 しかし俺はいったい何をしているのだろうと思う。


 次の日、授業が終わってから亮は電車に乗った。

「生徒指導室でいいかなぁ」

 なんで人の学校で指導されなきゃならないと思ったけど、まあどこでもよかった。


「わざわざありがとう、来てくれて」

 加賀谷さん、年齢は三十八と聞いたけれど二十代でも十分通用するスタイルだと思った。職場ということもあり、すーつだげスカートの丈は短め、横は軽くスリットが入っている。

 考えようによれば色っぽくもあるけれど、この学園でだれに見せるのだろうとちょっと思った。


 さすがに机の前ではなくてソファーを勧められた。目の前に座った彼女が脚を組んだ。

 予想されたことだけど、彼女パンティーを履いていない。


「単刀直入に行きます。晴美さんを抱けばいいんですか? そんなことしなくても旦那さんの浮気相手、どうとでもしますよ」

 晴美の顔が真っ赤になった。もちろん怒りではなく、羞恥だ。自分のことではなく夫のことがこの高校生に知られている、思ってもいなかったことだろう。


「住谷先生から聞いた?」

「いいえ、母は知らないと思います」

「じゃあ」

 亮は雅美のこと、恵美から得た情報などを晴美に話した。


 そう、雅美をいじめている連中が後ろ盾にしている高校生、そのまた後ろ盾が晴美の夫なのだ。

「うちの人とあの小娘にお灸を据えたい」

「うーん、いいですけど、お灸だけで済みますかね」

「別れるってこと? それもありかもしれないね」


「わかりました、じゃあまず共犯になってください。その女子高生を痛い目に合わせて知らん振りされては」

「そんなことしないけど、いいわよ共犯って何するの」

「もちろん俺と寝る。だけですけどね」

「さらっとすごいこと言うのね、亮君は」

「いいわ、はなしにのる」


「じゃ、後ろ向いてスカートをずりあげてください」

 さすがに晴美は息をのんだ。

「ここで」

「ええ、後に伸ばすと意思が揺らぎませんか? 大丈夫です、とりあえず、挿入するだけですから」


 晴美は黙って後ろをむくとスカートをまくり上げた。

「脚を拡げて」

 白い尻と長い脚が亮の前に突き出された。


「はい結構です」

「え、入れないの」

「やだなあ、当たり前じゃないですか、そこまで俺は変態じゃないですよ」

 亮は晴美のスカートをもとの通りなおした。

「いつ仕事終われますか? 食事してからゆっくりする時間あればいいのですけど」

「もう出られるわよ、何時でも大丈夫、どうせうちの人も」

 晴美は後の言葉を飲み込んだ。

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