第25話 金持ちの娘
「親友って呼べる友達が一人いるんですけど、私も含めた処女なんです」
夏鈴は制服だ。近鉄鶴橋駅のそばの喫茶店だ。
こうこには母親の用事で学校に行ってくるといってある。
「ふうん、そうなんだ。何でもいいけど亮は私のものだからね」
相変わらず勘のいいことだと思うが、こうこに言わせれば亮がわかりやすいらしい。
「わかってる」
亮はこうこを抱きしめると軽くキスをした。
「なんか騙そうとしてるでしょ、帰ったらしてね」
新婚さんかと思うが嫌じゃない。
という会話を経て、夏鈴と向き合っているが、彼女の話は予想どおりだった。
「まだ中学生じゃない、別におかしくないと思うけど」
「だって、みんなもうやってるのに、私たちだけ」
夏鈴の通う学校は一応お嬢さん学校だ、そんなに生活が乱れているわけはないと思っていた。
そこの教師である母親からもそんな話を聞いた覚えはなかった。
「みんなうまいんですよ。親や学校には内緒だけど。まあ、教師とやっているのもいし」
「そうなんだ」
としか亮には言いようがない。
「私ってそんなに魅力ないですか」
「ううん、可愛いと思うよ」
「それはわかってます。でも女としてどうですか」
成程、と思う。もし男子が近づかないならその強気な性格のせいだろう。
「で、住谷さんに奪ってもらおうかって」
「それはまあ、ことと次第によっては受けるけど、彼氏はいないの」
「うーん、何かギラギラしてて、嫌いじゃないんだけど、セックスはもっと大人な雰囲気で」
亮は思わず吹き出しそうになったが、そこは必死で抑えた。
「友達、もう少しで来るはずです」
「ちょっと待って、その友達も一緒に?」
「だめですか、かわいい子ですよ。あ、きた。雅美」
百五十センチほどの体に、腰まで伸ばした黒い髪。パッと見たときは人形かと思った。
白いシャツと薄茶のジャンパースカート。何か昔に似たような印象の人を見た覚えがある。
「梅原雅美です。よろしくお願いします」
「住谷亮さん、どう、いいと思わない」
「夏鈴の選んだ人なんだから私は大丈夫」
「じゃあ、行きましょうか」
「どこへ?」
「雅美の家、今日はおじいちゃん戻ってこないから、家は私たちだけで使えるの」
雅美は事情があって祖父と暮らしているという、家には姉もいるというが、お互いに無関心ということらしい。
梅原家は高級住宅地にあった。おじいさんはそこそこの地位の人なのだろう。
「住谷さん二人一緒がいいですかそれとも一人づつ?」
「えーっと、ごめんねまるっきり何も考えられない」
「じゃあ、とりあえずシャワー浴びてきてください。その間に私たち用意しておきますから」
雅美の部屋はそれだけで亮の家ぐらいの広さがある。大きなベッド、ソファーに机。
金持ちでああることだけはわかった。なんていうか知らないけれど小部屋になっている衣装入れがある。
バスルームもホテルのようだ、栓をひねるとシャワーはお湯が出た。
いいのかこんな家の娘として、なんか後々面倒な。そうは思ったが、ここまで来て何もせずに帰るというのもあり得ない。亮は決めた。
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