第24話 やりとも
「吉村さん、体だけの関係でいいの?」
「んー、もちろん愛してほしいけど、私の方が年上だし離婚してるし」
「セックスするのは、うれしいけど、俺なんかよりもっとちゃんとした人の方が」
「住谷君、私のこと嫌い」
「ごめん、身もふたもないことをいうけど。嫌いじゃないよ、やらしてくれるならやりたい」
「私で立つ?」
「もちろん、入学した時からいい女だと思ってたけどさ、相手がいない訳はないって思ってたから」
今頃なんだが、今日の吉村さんの服装は、タイトのミニスカートにオフホワイトの何の変哲もないブラウスだ。ただ全体的に大人びた雰囲気があるのはさすがというべきか。
「試しに、してみる? それで決めるってのは」
答えを聞く前に吉村さんはブラウスのボタンを外し始めた。大人びたピンクのブラジャーが覗く
亮の前にしゃがみこむとジーパンのファスナーを下げる。
「ねえ、亮くん、私の名前なんて言うか知ってる?」
「え、美玖さん、だよね」
「うん、嬉しいな知っててくれたんだ」
「だから、入学当時から気になっていたんだってば」
「それだけでいい、この身体を好きに使って」
美玖はスカートのファスナーも降ろす。ブラジャーとお揃いのパンツ、元人妻だと思えばそれだけで色っぽい。
「んー、やっぱり久しぶりのセックスって気持ちいい」
「そんなにしてないの」
「うん二年くらいかなあ」
「もったいない」
「ね、そう思うでしょ。そう思ったらいつでも使って。前からでも後ろからでもいいから」
そういう美玖の顔がなんとも色っぽい。
「ね。取りあえず、もう一回して」
美玖はベッドサイドに手を置くとお尻を突き出した。
「タオルで手を縛って」
美玖は腕を後ろにまわした。
え、縛るの?さすがに亮はびっくりしたがそれもありかと思う。
離れだというけど、母屋に聞こえるんじゃないかと不安になったが、美玖はお構いなしだ。
「あ、い、お願い一緒に」
美玖の絶叫が響く。
「ありがと。これでまた卒業するまで位は我慢できるかな。でもいつでもしてね」
亮に軽くキスをすると、美玖は股間にティッシュを当てパンツだけはいた。
亮がパンツをはくのを待っていたようにノックがあった。
「姉ちゃん、終わった?」
いきなりドアがあく。そこには髪をポニーテールにした、中学生ぐらいの少女が立っていた。
どことなく顔立ちが美玖に似ている。
亮は慌ててジーパンを取ったが、少女は意にも介さないように部屋に入ると後ろ手でドアを閉めた。
「淫乱な姉貴のお相手いただきありがとうございます」
「何言ってんのよ、覗きながら一人でしてたでしょ」
「いやだわ殿方の前で、なんてことを」
「住谷君、紹介するは、私の下の妹のかりん、夏の鈴って書く」
「私の同級生で住谷亮君」
「同級生って、セックスフレンドでしょ。住谷、うちの学校の高等部に去年から来た先生そんな名前だったかなあ」
「もしかしてS学園?」
「うん、中等部だけど、もしかして先生の」
「あっちゃあ、母さんだ」
美玖と夏鈴はそろって亮の顔を見た。
「住谷君、って先生の息子なの?」
「ん、残念ながら」
「先生の旦那さん、大学の先生だったとか噂で聞いたけど」
「うん、そうだよ。でもそっちは姉貴が継ぐかなあ」
「だから住谷君、勉強めちゃできるんだ」
「普通にはね」
部屋に入ってきたときと異なり、明らかに夏鈴の亮を見る目が変わっている。
「そんな人がどうして姉貴の」
「お姉さん普通の素敵な人じゃないか」
美玖が照れたようにはにかむ。意外とかわいい、意外は余計か。
「住谷君は見えるんだ」
「あ、だからか」
「納得した、姉ちゃんに相談されて襲われたんだね」
「あんたねえ」
「ありがとうございます、こんな姉ですけどよろしくお願いします」
三人で話をして、日が沈むころに亮は家に戻った。外環状線を自転車で走れば三〇分ぐらいの距離だが、電車で行くとなるとかなりかかる。いったん今里まで出てそこから折り返すからだ。
家に帰ってしばらくしたころに、電話が鳴った。夏鈴からだった。
電話番号は高校の住所録(全校生徒教師の住所と電話番号が載っている)を見たに違いなかった。
「今度会ってください」
手早くそういうと電話を切った。どういうことだろう、ほぼ予感があった。
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