第19話 野外で
週末、亮と典子先生は生駒の山の中にいた。
ここは亮たちH高生にとっては、裏山。各運動部の筋トレ、ランニングといえば、ほぼこの山だった。特に登山道入り口の石段は下級生にとっては考えるだけでも嫌な場所だった。
そこに二人はテントをもってきている。建前はもちろんテント泊の訓練、でも参加してるのは二人だけだ。
空は満天の星、足元は大阪平野から神戸港へと続く夜景だ。取りあえずジャージとTシャツを着てはいるが、その下は二人ともなにも着ていない。
さっきから亮は膝の間に座った典子先生を後ろから抱きしめている。
右手は胸を、左手は……。
耳元に切なそうにあえぐ典子先生の声が聞こえる。
「星をみながらやりたいなあ」
大胆なことを言う。人に見られたら、と亮は躊躇した。
「スカイラインに行く人はいるかもだけど、歩いてここには」
「寒くない?」
まだ真夏には少し早い。
「ん、しっかり抱いて」
Tシャツを胸の上までまくり上げた典子先生は、膝の上に乗っている。むき出しの下半身が白い。
外でしているということが、彼女をより興奮させているらしい。彼女はいつも以上に感じているのがわかる。
典子先生が激しく動く、声を殺しているのが可愛い。
背中が濡れるけれど、彼女が動きやすいように亮は草の上に横になった。
典子先生の白い肌が星空をバックに映える。
「動け動けもっともっと」
亮の言葉が耳に入っているのかいないのか、亮の胸に手をついた典子先生は最近伸ばし始めた髪を振り乱している。
「あ、あーっ」
絶叫を発して亮の上に倒れ掛かった。
亮は行きそびれてしまった。ゆっくり彼女の体を持ち上げると、彼女を裏返した。
「声出しちゃだめだよ」
「もうだめ、壊れちゃう、お願い」
典子先生が涙声になったのを待って、亮も終わりに向かって駆け上り始めた。
「もう、変態なんだから」
いつものように後始末をしながら典子先生は亮をにらんだ。
「ねえ、こうこに聞かれたんだけど、典子先生は俺のこと好きなの?」
「え、もちろんじゃない。でなきゃこんなことさせないよ」
「どれくらい? 流行のフリーセックスの相手? それとも」
彼女はちょっと考え込んでしまった。
「結婚とかはないよね、よくわかないや。取りあえず楽しいし、寂しくないし、セックスしてたら。亮は?」
「俺は先生みたいな素敵な人とできるからうれしいよ」
「そうじゃなくてさ、私は何なの」
「それがわかんなくて、今までの人も、結局自然消滅してる。会いに行けばできるかもしれないけど、連絡も来ないし。あ、この前中学の時の彼女には振られた」
「そんなもんじゃないのかなあ、まだ若いんだし。私は亮のこと嫌いにはならないと思うけど、だけどこの関係がいつまでって言われると、わからないかも」
「そうだよね、あんまり考えないようにするわ」
「加納とはしたの?」
「してない、させてくれない」
「そうか、彼女は本気なのかもね、ちょっとばかり妬けるな、今度の合宿いじめてやろうかな」
典子先生はいたずらっぽく笑った。どこまで本気なのか、こうこには、話さないでおこう。
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