第十四話 縄跳びをしましょう!

「花蓮! ダイエットをするぞ!!」


 バンっ!

 と、机を叩いてくるのは莉央だ。

 彼女は必死な様子で、花蓮へとさらに言葉を続けてくる。


「この前のケーキバイキングのせいだ! 体重が1キロ増えちゃったんだ!!」


「一キロくらいいいじゃないですか! 女の子は少しムチムチしてた方が、エッチで可愛いですよ?」


「うちはエッチになりたいわけじゃないんだ!」


「なーにを言ってるんですか? 莉央ちゃんはもうとっくの昔にエッチですよ?」


「う、うちが太ってるってことか!?」


「違いますよ! 莉央ちゃんのほどよくムッチリとした肉付き……締まるところはしっかりと締まり、筋肉バランスも最高な肉体……エッチだ」


「うぅ……そ、そんな目でうちを見るなぁ」


 言って、自らの身体を隠すように両手で抱きしめる莉央。

 彼女は花蓮から顔を逸らしながら、恥ずかしそうにうるうるしている。


 エロい。


 まぁそれはともかくだ。

 ダイエット自体は別にいい。


(運動は嫌ですけど、私も女の子ですからね)


 体重はそれなりに気になる。

 とはいえ。


(私の体型は我ながらいい方だと思うんですけどね! この前も女の子から告白されましたし! うーん、それにしてもあの子は可愛かったですねぇ)


「むっ、花蓮! なんか変なことを考えているんだ!!」


「そ、そんなことないですよ! さぁさ、早く運動に行きましょう!!」


 ……。

 …………。

 ………………。


 さてさて。

 時は少し後。

 場所は近くの公園。


「縄跳びをするぞ!」


 おー!

 と、一人ノリノリで縄跳びを掲げている莉央。

 元気なことこの上ない。


(うぅ、私は公園まで歩いて来ただけで限界です……縄跳びをする力なんて、もう)


 残っていない。

 これ以上動いたら死ぬ。

 少なくとも、少し休まないとやばい。


「さぁ花蓮! 一緒に縄跳びするぞ!」


「り、莉央ちゃん……そ、そのぉ」


「ひょっとして花蓮、疲れちゃったのか?」


「じ、実は……」


「だったら大丈夫だ! 花蓮は少し休憩していてくれ!」


 以心伝心。

 さすがは莉央、最後まで言わずともだ。

 となればすることは一つ。


「莉央ちゃん! 頑張ってください!!」


「うち、頑張るぞ!!」


 言って、縄跳びを始める莉央。

 彼女はニコニコ笑顔な余裕な様子で。


 10回。

 20回。

 30回。


 と、どんどん縄跳びをしていく。

 なんというかあれだ。


(ふおっ、莉央ちゃんが飛ぶたびに莉央ちゃんのシャンプーのいい香りが……エッチすぎる)


 もう少ししたら、きっと莉央の汗の匂いもしてくるに違いない。


(莉央ちゃんの汗の匂い、あの花のようにエッチな匂いを嗅いでしまったら……私は、私は死んでしま——っ!!)


 ここで花蓮、とんでもないことに気がついてしまう。

 それは。


 ブルンッ!

 ブルンッ! ブルンッ!

 ブルンッ! ブルンッ! ブルンッ!


(揺れている、だと!?)


 莉央が縄跳びで飛ぶたびに、彼女のたわわが揺れているのだ。

 ジャンプの振動に合わせて、激しく自己主張しているのだ。


 ブルンッ!

 ブルンッ! ブルンッ!

 ブルンッ! ブルンッ! ブルンッ!


 目からは莉央の圧倒的な肉圧。

 鼻からは莉央の圧倒的なエロ香り。


「あふんっ」


「か、花蓮!? どうしたんだ花蓮!? 急に倒れて、鼻血も!!」


 と、聞こえてくる莉央の声。

 それを聞きながら、花蓮の意識は闇の中に落ちていくのだった。

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