第八話 恋バナをしましょう!
「うーん、こう暑いと何もやる気が起こりませんね」
ごろごろ。
ごろごろごろ。
「うちもだ。暑いからプールに行ったりしたいのはあるけど、それまでの道中がな……」
ごろごろ。
ごろごろごろ。
「そうなんですよねぇ、そうなると必然。こうしてクーラーの効いた家の中で、ごろごろしてるのがやはり神」
「でも問題点もあるんだ……暇だ!」
「たしかにそれもそうですね。せっかくの休みなのに、こうして寝っ転がっているだけというのも」
「かといって、暑すぎてゲームをやる気もしないんだ!」
「さすが莉央ちゃん、わかってますね!」
今の花蓮、もはやゲームの電源いれるのすら面倒くさい領域にある。
とはいえやはり、暇なのはいただけない。
(こうして莉央ちゃんと二人きりの時間、何か有意義に過ごしたいですしね)
さてどうしたものか。
何か面白い事と言えば。
「莉央ちゃん、恋バナをしましょう!」
「え?」
「恋バナですよ、莉央ちゃん!!」
「な、なんでいきなり!?」
「莉央ちゃんのキュンってする話が聞きたいからです!」
「うぅ……べ、別にいいけど」
と、渋々と言った様子で賛同してくれる莉央。
となればさっそく。
「莉央ちゃんの好きなタイプは——」
「ま、待ってくれ! こういう時にいつもうちからでズルい! たまには花蓮から話してくれ!! うち、花蓮の恋バナを聞きたいんだ!」
「むむっ!」
言われてみればそうだ。
たまには莉央に先行を譲るのも悪くない。
などなど、花蓮がそんなことを考えていると。
「それじゃあ質問だ! 花蓮の好きなタイプを教えてくれ!」
「そうですね。まず見た目は金髪で……ショートポニーテールだとなおいいですね、」
「金髪でショートのポニーテール……」
「あとあと、一見何事も活発そうに見えるのに、実は恥ずかしがりな子が好きですね! それで押しに弱くて、ずるずる爛れた関係になってしまう子とかが!」
「前半はともかく、そんな子が居るのか?」
「んー、そうですね。案外身近に居るかもですね!」
例えば花蓮の目の前とか。
それにしても。
(莉央ちゃんはこういう、察しの悪いところも可愛いですね)
さてさて。
なにはともあれ、これで莉央の質問には答えた。
次は——。
「私の質問に答えてもらいますよ、莉央ちゃん!」
「うん、うちに答えられることなら頑張るぞ!」
「それではさっそく……キスの初体験は誰とですか?」
「え……っ!? そ、それって恋バナじゃないんじゃ——」
「ほらほら! 早く答えないと莉央ちゃんの負けですよ!」
「う、うぅ……初体験は、その……花蓮とだ」
「ほうほう。その時はどんな感じだったんですか?」
「どんなって……驚いたけど、とっても幸せで……気持ち良くて、気がついたらまるで頭が溶けたみたいに……うぅ、花蓮のバカ! こんなの恋バナじゃない!」
バシバシ!
と、クッションで優しく攻撃をしてくる莉央。
彼女はジトっとした目を花蓮に向けながら。
「変態だ! 花蓮は変態なんだ!」
「え、そんな……! つまり莉央ちゃんは私と、変態行為がしたくないんですか!?」
「え……ちがっ、それは違うんだ!」
「つまり、気持ちいいことはしたいんですね?」
「じゃなくて……その、うぅ」
と、頬を真っ赤にしている莉央。
可愛い……が、少々意地悪しすぎたに違いない。
となれば。
「莉央ちゃん、結婚しましょう!」
ガバっ!
花蓮は莉央をその場に押し倒すのだった。
なおその後メチャクチャ——。
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