第四話 一緒に本を買いに行きましょう!

「ふむふむ、最近はやはりこういうジャンルが増えていますね……ということは、次回は編集者ちゃんにこういう作品のプロットを出す方が……ぶつぶつ」


「珍しく本屋に誘ったかと思ったら、花蓮はラノベ市場のリサーチをしに来たんだな!」


「はい、その通りです! やはり本屋さんに行って、リアルの市場を見るのは大切ですからね!」


「おぉ……花蓮、なんだかプロっぽいぞ! それにとっても偉いんだ!」


「プロですからね! まぁそんなことより、私が偉いと感じたなら、頭を撫でてくれてもいいんですよ?」


「え!?」


 と、びっくりした表情を浮かべる莉央。

 彼女は次第に頬をピンク色に染めていくと。


「う、うぅ……花蓮はすぐにそういう冗談を言う!」


「冗談ではないですよ? 私、莉央ちゃんに撫で撫でして欲しいです!!」


「うちはやだ!! こんな人がたくさんいるとこで、そんな事はしたくないんだ!」


 プイッと。

 そっぽを向いてしまう莉央。

 どうやら撫で撫ではしてくれないようだ。


 非常に残念だが、仕方がない。

 花蓮としても莉央が本気で嫌がることを、無理矢理させるのは嫌だ。


(今度、二人きりの時にやってもらえればいいですしね……本当に残念ですけど)


 はぁ。

 と、心の中でため息をついた。

 まさにその瞬間。


 ポフ。


 なでなで。

 なでなでなで。


「!?」


「よ、よしよし…….花蓮はとっても偉いんだ。だからうち、そんな花蓮には喜んでほしい……」


「莉央ちゃん……」


「よしよし、花蓮は良い子だ」


「……」


 ガシ!

 と、花蓮は自らの頭部を撫で撫でする莉央の手を掴む。

 そして、彼女は莉央の手をがっちりホールドしたまま。


「莉央ちゃん、結婚しましょう!」


「え、え!? ちょ——」


「安心してください! 莉央ちゃんの面倒はみます!」


「そ、そういう問題じゃ——」


「性癖のことですか!? それも大丈夫です! 私は莉央ちゃんの全てを把握しています!」


「ち、ちが——」


「私に無理矢理される想像で、夜な夜な盛り上がっていますよね? その願望、私がしっかりと——」


「うぅ……花蓮のバカ!! バカバカバカバカバカ、バカ! うち、もう知らない!!」


「あ、莉央ちゃん! どこに行くんですか!? 待ってください! まだ本屋での用事は終わってないんです!!」


 まだメインディッシュのエロ漫画を見に行っていない。

 だがしかし、エロ漫画より莉央だ。


「莉央ちゃ〜ん!」


 花蓮は莉央を全力で追いかけるのだった。

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