第三話 これがASMRなんですね!?
ジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリ!!
と、鳴り響くのは目覚ましの音。
うるさすぎる。
ダンッ!
花蓮はベッドで寝たまま手を伸ばし、即座に目指しの息の根を止める。
するとやってくるのは静寂。
(それではもう一眠りです……朝はぬくぬく布団に包まれて、こうやって二度寝する瞬間がたまりませんね……むにゃ)
今日は普通に学校だった気がするが、この際もうそんな事はどうでもいい。
遅刻してもいいから、今の心地よさを取る。
それこそが花蓮のやりか——。
タタタタタタッ!
と、花蓮の思考を割くように聞こえてくる足音。
その足音は徐々に近づいてきている——これはまぁアレだ。十中八九、同居している莉央に違いない。
などなど。
花蓮がそんなことを考えたその瞬間。
ゆさゆさ。
ゆさゆさゆさ。
「花蓮、朝だ! 起きないと遅刻するんだ!」
「スピ〜……むにゃむにゃ」
「うぅ、起きてくれ! このままだと本当に遅刻しちゃうぞ!」
ゆさゆさ。
と、なおも花蓮の身体をゆすってくる莉央。
(はぁ……莉央ちゃんのこの困ってる感じ、本当に可愛らしいですね)
ここはもう少し、寝たふりを続けるのもいいかもしれない。
そうすれば、もっと莉央の可愛いところを見れる可能性が高い。
となれば善は急げだ。
「むにゃ……くかぁ〜」
「どうして起きてくれないんだ! 花蓮、いつもはすぐに起きてくれるのに!!」
「すぴ〜」
「……花蓮、熟睡してるん、だよな?」
「(狸寝入りですけどね!)」
「……」
トテトテ。
トテトテトテ。
と、何やらベッドの上まで上がってくる莉央の気配。
続いてやってくるのは、花蓮が仰向けで寝てる上に、覆い被さってくる莉央の気配だ。
(え、え!? ちょ……莉央ちゃん!? わ、私これから莉央ちゃんに何をされてしまうんですか!?)
まさかそういうことだろうか。
これから花蓮は莉央によって、めちゃくちゃにされてしまうのだろうか。
(普段、私が莉央ちゃんにやってるみたいに!?)
それはそれでいい。
でもそんなことをされたら、新たなる扉を開いてしまう気が——。
「花蓮……」
と、花蓮の思考を断ち切るように、耳元から聞こえてくる莉央の声。
もう本当の本当に耳元だ。
(な、なんなら耳に吐息を感じます!!)
やはり間違いない。
花蓮はこれから莉央にめちゃくちゃに——。
「好き……うち、花蓮のことが好きだ」
「(そ、そんなに切なそうに言われたら私……っ!)」
「花蓮、花蓮……っ。うち、花蓮のことを見てると……うぅ、なんだかおかしくなりそうなんだ」
「(私もですよ、莉央ちゃん!)」
「花蓮がこのまま起きないなら……うち、どうなってもしらないからな?」
直後。
花蓮の耳に新たな変化が起こるのだった。
ハムッ。
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