第276話 私たちの望む最高を

『どうだ?そっち敵居そうか?』


『いや、居ないよ~。どうする?攻める?』


中盤戦、初手で8キルした俺たちは辺りを動いていた。

敵をなんとなく探しつつも、安全地帯に向かっていた。


『いや、もう少し待ってもいいかな…』


「だな、無理しても…って感じはする」


正直ここで無理に動く必要もないからうーんという感じだ。


『そうですね……ここで安泰して終盤を迎える方が盤面的には良い気もしますが……』


『だよね~やっぱそうなんだよね。でもね、敵が来ちゃった』


wartがそう言って刺したピンにはうっすらと影が。

しっかりと敵の位置を嗅ぎ付けたようだ。


『まじか…これどうする?下がるか?』


「これは、どうだろうか」


下がっても良い気はするが、そもそも下がりきれるか?

先に後ろから追撃を受けてしまう方が可能性が大きそうだが。


『いや、これやりましょ。私行けますよ』


やけにendmの自信が満々だった。

これにはlucusも、


『そっか……うん。行くか!』


と意思を切り替えるほど。


『だね~行っちゃうか!』


もはや引くという選択肢はない。

攻める一択だ。


「どうだendm、一緒にスナイパーライフルで抜けたりしないか?」


さっきやった状況をもう一度起こせないだろうか。

あれがなんやかんやで一番強い。

先制攻撃で2vs4に出来る。

ただ繊細なエイム力、決定的な命中力が必要とかなりの実力を要求されるが。


『やってみましょうか。やらないよりやるべきです』


彼女が左側の敵、俺が右側の敵に焦点を当てた。

動きはそこまで変じゃない。

ただ、たまに曲がったりしゃがんだりとやはり対策はほどこしてくる。


「うーん、まあ行けそうかな」


ただどこからか湧き出てくる自信を止めるということは出来ない。


『行きますよ、いっせーのーで!』


彼女からは聞かないような楽しそうな掛け声と共に、2人の同時キルが起きる。

一瞬の出来事に敵は戸惑い、そして味方二人も同じような状況になっていた。


『は……?』


『えええやばい!ナイスすぎ!』


wartとlucusは固まったまま、そんな中俺とendmが真っ先に戦場へかけ行く。


『右頼みました!』


「了解!!」


残った敵2人を別々に担当した。


俺の目の前にいる敵は若干の動揺が抜けないのかエイムも荒い。

特に意識して考えなくても弾を四方八方に避けれる。


「まあ行けるな」


サブマシンガンを撃ちながらでも避けれるこの技術は未だに廃れない。

それどころか最近精度も上がってきた。


『よし!私も倒せました~!!』


「ないす!lucus、次どうする?」


『いや、おかしいだろ!!!』


あまりの切り替えの早さか、それともこの一瞬の戦場か。


『凄い…流石だよ~!』


wartはもはや関心の目。

あれなんか俺たちやっちゃいました感出ているが、実際思っていることはこれだった。


「まあとりあえず次行くか。」


『うーん、そう言いたいんだけど敵の気配一切ないんだよね』


wartが申し訳なさそうにそう言った。


『そっか、場所も良いしここを取るのもどうだ?』


「だな、」


『良いですよ』


安全地帯にはいつの間にやら入っている。

しかも今いる場所は結構な崖の上。


「まじで落ち着いてこ」


『だな』


『もちろん~!』


『ですね、頑張りましょう』


落ち着くなんて当たり前。

そうは言っても世界決勝最後の舞台。

もはや緊張する方がおかしくない。


それでもここに立つことには意味がある。

どれだけ苦労しても、どれだけ勝っても、どれだけボロ負けしても。


「勝てばいいんだ。行くぞ……俺らの青春の始まりだ」


星が個々に散らばっていた。

とある日、誰かが引力によって他から連れてきた。


1つ1つの力はやがて大きなものとなる。

塵も積もれば山となる、星も集まれば流星にだってなれる。


白い流星は今この場で覚醒した、全てを持って勝負が始まる。


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【後書き】

決勝書いてて凄い楽しいです!

次話が最後になるのかな……面白く出来るように頑張ります!!!



ちなみにデュオ決勝もあるので、VTuberの特編版をどうにかして入れたい…。

案募集です(


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