第275話 白い星が輝いて

「よし行くぞ…最後まで全力でな!」


『はい!!!!』


『がんばろ~!』


『だな!行くぞ!』


白い流星、最後の出陣に向かった。

泣いても笑ってもこれが4人で出る最後の舞台。

最高の結果が出せるように俺たちは頑張る。


『ここ行くぞ』


降りる場所はやはり固定のところ。

なんやかんやほとんどの試合はここに降りたという印象。

思い出深い場所でずっと戦えたのが良かった。


「2パか…まあ行けるか」


2パーティが降りているのが見える。

降りた方向はおそらくendmの近く。

俺の方は敵が居ないフリー地帯。


『あ、endmの方に2人居る~!すぐ向かう!』


一番近いwartが真っ先に援護しに行く。

endmは既に武器を用意したようで戦闘に向かった。


『俺も行く、blancも後からきてくれ』


「了解」


持った武器はスナイパーライフルとピストル。

果たして初動に良いのか分からないが、とりあえず攻めるしかない。


『っとこっちから敵来るかも!』


wartが危険を察知。


「ぽいな、そっちは行けそうなのか?」


『はい、大丈夫そうです。blancはそっちを担当出来ますか?』


『blanc頼んだ』


「了解」


彼らを信じて別の敵へ向かった。

おそらく同じパーティだろうか。

2人でlucus達の居る家に向かっていた。


「あれか…」


ちょっと若干距離がある。

別に詰めればいいだけなのだが、何かワンアクションを挟みたい。


「っと、使えるかな」


スナイパーライフルに切り替えた。

スコープはそこまで大きくないもの。

あまり終盤とかになってくると持つ人も居なくなるような種類のもの。


ただ初動にしてはダメージが結構大きい。

頭に当てれば文句なしの一発。

胴体でも結構ダメージが入ってくれる。


エイム、己の実力を信じるしかない。


「行くか、やってやる」


引き金を引いた。

朧げなスコープから敵の頭は一瞬にして弾を貫かれる。

どれだけ難しい武器だろうと、経験がものを言う。


「よし!」


残りは1人。

ピストルなのは心細いが、そこまで戦いに関わるほどに緊張する武器でもない。


「いつも通りね…おけおけ」


自分に言い聞かせた。

最終試合だからと変な事はしない。


俺が何者か知ってるか?ピストルの命中率は世界トップなんだぞ。


「ま、行けるよね」


2キルをさっと取っていった。


『勝ってる~!ナイス~!!!』


wart達も終わったみたい。

ただ、まだもう1パーティが居るはずだ。


『もう1パは……うーんあそこに居そうだな』


ピンを指したのは一つの建物。

一見小さそうに見えるが、あの建物には地下がある。

まあまあに広く、戦闘には結構合っている場所だった。


俺らはその場所を漁るルートを作っていないので基本無視だが、敵が居るとなると話は別だった。


「どうする…?攻めるか?」


待っても良い。

敵が来るのを待って、その後を撃つ。

ただその待つ時間を有効に使うのが凄く難しく、いつの間にか敵に逃げられるということもある。

そもそも敵と戦わない選択肢だってある。


今現状は1位。

ここで無理をすれば降格するのもあり得る。


だからあえて敵を避けて、最低限のポイントを稼ぐだけでもいいかもしれない。

ただこれは2位以下がどれだけ追い上げるか分からないので結構リスクも大きかった。


「一応、負けなければ攻めるのが一番効率が良いんだが…」


結局はこれだった。

時間を有効に使用し、1位に残留させる方法。

唯一のデメリットは負ける心配だった。


『行きましょうか…ここで攻めれるかが正念場ってやつです。』


『言うと思った~!やっちゃえ』


『2人が言うなら行くか?俺としてはどっちでもいいが、blancは?』


lucusの判断上、ここの駆け引きは変わらないらしい。

なら考えは1つ。


「行くしかねえか。ここで攻めるのが俺たちだよな」


いつものランクマだってそう。

変に考えず、ひたすら猪突猛進するときだってある。

何より周りを考えることもしなくていい。



勝ち続ければ、負けない。



「行くぞ」


ピストルをサブマシンガンに切り替えた。

準備は万端だ。





『やっぱり居るね~!』


wartは盛り上がるような声だ。

敵が居て凄く嬉しそう。


『ただ下に4人固まってるから全面戦争かな~』


「ぽいな、行くか」


ここで止まるわけもなく俺らは進んでいく。


『私から行きますね……』


彼女は身体を出してスナイパーライフルで先制攻撃をぶち込んだ。

続けて俺も身体を出してスナイパーライフルの追撃。


まさかのダブルヒットで残り2人。


『ナイスだ!!そこの敵、wart撃ってくれ!』


『分かった!』


wartとlucusが1人の敵を担当する。


空気を読むならばendmと共闘するのが普通か。


「行くぞ」


『はい』


俺らはいつものペースだった。

限りなく通常プレイに近いのかもしれない。

明らかに群を抜いたエイム力、圧倒的回避力。


自分で言うのもあれだが、今の白い流星は本当に誰にも負けない。

負けるビジョンが一切見えないのだ。


もしこうだったら?という考えさえ、勝てるだろと思えてしまう。


『倒した!!!そっちは!?』


『倒しました!終わりかな!』


初動8キル。

それもリスクのないもの。




「これは本当に来るかもしれないな…………」


夢が叶うのはもう近い。


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【後書き】

決勝はたぶん3話分ける!

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