第274話 これまでの世界、これからの世界

「ないすないす!」


第11試合が終了、順位はtop5。

キル数も結構稼げて、順位も1位、戻ってきた。


『1位来たああああ』


wartは凄い嬉しそう、まあその気持ちはわかる。


『ですね…ついに戻ってきましたか。』


『だな、来たか』


目の前にモニターには堂々と順位が出ている。



白い流星、アジアのtopチームが今1位に輝いているのだ。


「1位…か。」


ついに来たんだな、この極地に。

何度思ったことだろう。


もしまた競技勢として戻ったら、もし世界でまた活躍出来たら。


でもすべてが未実行。

夢の中の話だった。


けれど、


「現実は裏切らなかったな…。」


『だな…』


lucusが横にやってくる。

静かに、共にモニターを眺めているだけ。


『お前とここまで来れたの本当に嬉しいよ』


lucusは何か遠い目を見るようだった。

かすかに俺も昔のことが思い出される。


『初めてプレイを一緒にしたとき思ったんだよな、こいつはストリーマーで止めるべきじゃないって、もう一度世界に羽ばたけるって。』


「懐かしいな」


もうだいぶ前の話のように感じる。

夜音に色んなことが起こったことで、一度プロ世界から遠のいた。

もう戻らないと、そう思っていた。

そう決意していた。


ただもう想いは変わった。


もう一度世界に立ちたい。


こうなっていた。


『ただ、まさかここまで行けるなんてな』


「戦術の貴公子さんもここまでは読めなかったか?」


『うるせえ!』


…………

ははは。

お互い見合って笑いだした。


世界なんてこんなものだ。

俺らにとっては少々小さかったのかもな。


「なあ、次が泣いても笑っても俺ら4人のラスト試合だ。」


『そうだな…早かったな』


「この2日間色んなことがあったな。」


勝って喜び、負けて悲しむ。

でも最後に微笑んだ俺たち。

これが1日目だった。


2日目、初手から飛ばせた。

一度折れてしまった花も、すぐに咲戻った。


「悔いのない試合にしような」


『任せろよ』


ラストゲーム、ここに全てを捧げる。

デュオ大会、そりゃあれだって頑張る。


けれどこの思い出ある4人で挑む本当のラスト試合になる。


『俺が全てを見せてやる。世界にアジアの強さ、いや、白い流星の強さを』


彼の背中はたくましい。

戦場に向かう兵士のようだ。


『時間が近づいてきましたね』


lucusと入れ替わってやってきたのはendm。

さっきまで話していたwartは逆にlucusと話している。


「そうだな、俺らにとってはラストではないがな」


『ふふ、残機はまだあるとでも言いたげですね笑』


私に向かって微笑みかける。

いつも見る笑顔、やはり安心する。


「俺らに残機はあるけど、あいつらには無いからな」


『blancは優勝経験があるんですよね、それが2回も』


「そうだな、懐かしい」


まだオフライン大会ではなく、オンライン大会として行われていたもの。

あの時の1位は、今までの努力が全て実った感覚がした。

何か世界に知らしめられた気がして、常に成長を実感していた。


『良いですよね…私まだ世界大会自体を経験してなかったので、正直緊張がやばいです。』


endmの手元はかすかに震えていた。

あくまで微動ではあったが、確かに小刻みに震えていた。


「大丈夫だ」


『でも緊張してエイムが…』


「十分凄いから安心しな、それでもまだまだ劣ってないよ」


『でも…………』


「もしもがあったら、その時は俺に全てを任せろ。」


少し沈黙が流れた。

周りの雑音がより一層大きく聞こえてきた。


『blancはずるいですね、』


「え、なんで!?」


ぷいっと向きながら彼女は答えた。


『そんなの、全力でぶつかってこいって言ってるようなものじゃないですか』


これ以上にない最高の笑顔。

また見たいな、そうふと思ってしまった。


「はは」


ただ彼女の純粋さに思わず笑ってしまった。


「頑張ろうな、お互いにこのチームのエースとして」


『はい!』


久々の握手、改めてやるのはなんだか恥ずかしさもあった。

でもそれでも俺たちは笑いながら席に着いた。


「やるか……」


時間ももう迫っていた。

どうあがいてもラスト試合。

何が起きるかなんて誰にも分からない。


勝利の女神は誰に微笑むのだろう…。






いや、微笑ま。この手によってな。


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【後書き】

次スクワッド部門 ラストゲーム





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