第270話 光は希望の方向へ

第10試合、キル数は20。

規格外の数を誇っているが、これで1位まで登り詰めてくれるか…………。


「どうだここら辺に敵居そうか?」


『うーん、気配もないかな~』


「そっか…怖いな」


2vs4を自ら攻めるのは望ましくない。

そりゃピンチの時は戦闘にもつれ込ませるが、それ以外では避けたい。


『あ~あそこに敵!』


wartが何手も先に敵を読んでくれるおかげで、俺らは戦闘に入ることも無いまま終盤に突入できる。

しかも結構良い位置を取れたのは大きい。


「っと……うーん」


スナイパーで覗くも、敵はやはり警戒を怠らない。

いるだろうという空気は分かるが、姿まで見つけることが出来ない。


『流石にこうなるか~近くには敵も居ないし待機かな』


「だな」


ちょくちょくチャンスはあるものの、敵もすぐ姿を隠すので全く弾が当たらない。

おそらく俺らの位置がばれているからこそ、身体も出してこないんだろうか。


『あ~横から来そうかも。』


この位置を取りに来る敵もやっぱり現れてくるか。


「了解、敵は4人…ぽいな。」


俺はサブマシンガンを握った。

先制のスナイパーライフルを撃てたら好都合だが、残念ながらそのチャンスはあやふやだった。


「あっぶね!」


敵側からの弾を間一髪、もはや直感に従って避けた。

当たってたら即死だったのかもしれない。危ない~。


『1人が真正面からこっち向かってる!』


場所的にwartが先陣を切るしかなかった。

彼女と敵が撃ちあいしているが若干押されている気も。


『うぅ、きつい!』


「俺行くわ、後ろから撃ってくれると助かる!」


『分かった!』


流石にこの状況は、俺の方が前に行くべきだ。

まだ間に合った。

敵はwartを仕留め損ねたまま俺と対峙することになる。


「うーん、まあ行けるか」


後ろ3人を警戒しつつまずは1人。

他の3人も続いて攻めてくる。


『他からも来そうだね……どうする?降りる?』


「ん~そうだな…どうしようか」


ここの場所があまりにも強すぎる。

高台であり、俺ら人数不利に取って本当に優位な場所だ。

ただし、敵側も考えることは同じ。

しかも人数有利で位置確保できるんじゃないか?と思うと攻めてくるのが普通だ。


「いや、これは引きたくないな」


人数不利で下に降りても状況はむしろ悪化するだけ。

敵が集中砲火してきたら身も心も無い。

そもそも人数不利という最低条件があるなかでどこまで動くかというのは限られている。

なのに下に降りて行動を制限するくらいなら、ここでわずかな希望を求めて戦った方が良い。




もう一つ、強いて言うなら負けないからかな。




「wart、ちょっと状況を教えてくれ!」


『後にスナイパーライフル!その前に敵二人なんだけど。もう1人がblancの少し右側に待機してる!』


「了解ありがと!」


これなら行ける!

1vs3なんて高い壁じゃない。

世界1位というものに対する布石となるだけ。


まずは目の前の敵を倒す。

サブマシンガンのエイム力では今なら誰にだって勝てる。


さあ次の敵を…と思っていると不幸が訪れる。


『うわ!?まじか!』


ここでwartが倒された。

結構な遠隔から撃たれたスナイパーライフルのようだ。


「いや、まじか!仕方ない!!」


避ける方が難しいまである。

ここは割り切ろう。

ただ、蘇生が間に合いそうにない。


「ごめ、目の前の敵に集中する!」


蘇生は無理だ。

目の前のスナイパだってがっちり俺を見ている。


『おっけ!後は任せたよ!』


「おうよ」


任せられた。

ここからは完全に俺の独壇場だ。

誰にも文句は言わせない。







「まずはここからだな…」


とりあえず近くの二人と対戦だ。

スナイパーでずっと狙ってくるのが本当に厄介。

ただ、目の前に居る敵にも目を向けないといけないのが難しい。


なら……


と俺はあることを考えた。


「よいっと、」


弾を避けつつも、持っているのはスナイパーライフル。

敵は依然として攻撃を辞めない。

おそらくアサルトライフルの次にやってくるのはショットガンかな。


「先にやるか…」


と狙った先は敵のスナイパー、

もちろんスコープで照準を合わせるだなんていう時間はない。


ノールックショットだ。


「よし!」


あんまり練習を積んでなかったが、大会で出来たのは大きい。

このまま調子が乗って、目の前の敵もサブマシンガンでごり押した。



なんやかんやで来た24キル。

流石に遠くから飛んできたスナイパー弾でやられてしまった。

ちょっとわんちゃん避けれそうでもったいなかった……が仕方ない。


「これは俺頑張っただろ…」


『やばいよ!!!ナイスすぎ!!!!』


『え…えぇ』


『お前まじかよ、おかしいよ』


VCからは色んな声。

wartは感心するように褒めたててendmはガチ引き。

lucusに関してはもう何か疑い始めてる。


これだよこれ、俺が待っていたのは。


世界を確実に手の中で転がした感覚がした。


『本当にえぐすぎます……なんですか色々と』


「はは、まあ久々に暴れられたかな」


『まだ俺らは…舞えるんだな』


lucusとendmは徐々に希望を取り戻してきた。

俺が頑張った成果があった。


「まだ舞うよ、行くぞ!」


第11試合、ここから俺らの逆襲劇だ。


----------------------------------------------------------------

【後書き】

文字数が少ないように見えて、実は3話に分けてるのでそうでもないっていう()

投稿頑張りました~!

感想とかいつもありがとうございます!

目を通して出来るだけ返してます!

これからも頑張ります!!!!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る