第268話 光に雲なし

目の前に敵が4体。

しっかりとヘイトは俺の方向へ向いていた。

簡単に言うなら1vs4。


「とりあえず……どうしようかな」


一応武器はショットガンと、拾ったサブマシンガン。

近距離戦としては持ってこいだが、そもそもこの状況の打破方法が分からない。


敵はいつ攻めようかと空気を読んでいるようで、俺は常に警戒を怠われない。


「一旦こうするか………」


サブマシンガンとショットガンしかない状況。

一発で先手を打破できる、グレネードとかスナイパーライフルとかは無いので無理に攻める方が危ない。


敵はおそらくもう詰めてくる。

だからサブマシンガンを構えた。

ショットガンだと、一発一発の間時間がもったいない。

その間にどんどん詰め寄られると危険になってくる。


「よし…………来たな」


読み通り敵はしびれを切らしてやってきた。

ここが狙いどころかな。


まずは歯向かってくる敵に向かって銃口を当てる。

敵は分かっていたと言わんばかりにアサルトライフルを構えてくる。

だが、その弾は俺の身体には触れない。


とりあえず1人は頭に全弾で当てる。

敵が残り3人。

まだ残弾は結構ある。

一発も外さなかったら割と余ってくれる。


「っともう1人行けるかな」


このまま二人目に照準を当てる。

想像以上に弾が当てやすい。

そのままサブマシンガンで流れるように2キル。


ここで一旦俺も姿を隠す。

敵はすぐにでもやってくる。

一瞬態勢を整える、ここをどう切り抜けるか…よく考えて。


「よし、行くか!」


ショットガンを握ってまた舞台へ出る。

敵はもう目と鼻の先、お互い持っているのはショットガン。


ただ俺の方が数枚上手だ。

まず、一発目しっかり頭に銃口を当てている。

そして、相手からの弾は横目に避ける。

敵はここでもなお押し切るのでそのまま二発目。

今度は、弾は胴体方面。

エイムがブレたのかなとか思いつつ、正確に避ける。


残り1人。

後ろから狙ってきているよう。

挟み撃ちをするつもりだったのか?

まあもうその相手はとっくに消えたんだがな。


「よっと」


サブマシンガンに切り替え。

というのも相手はアサルトライフルなのでショットガンじゃなくてもいいかなという判断。

ショットガンの弾が結構尽きているというのもある。


「まあ行けるな」


敵は少しだけ距離取って撃ってくる。

だが距離が明確な方が好都合。

俺はゆっくり避けつつも、弾は正確に的中させる。

エイム力はこれでも廃れてない方だ。


endmには劣るが、まだまだ動ける気がする。


「ん?まあそうくるか」


敵が追加でやってくる。

街のど真ん中で銃声を響かせていたら来るのも当たり前か。


「えーどうしようかな」


ここで戦闘を離れるのもありだ。

wartが外で待っているし、特に問題もない。

ただ、そもそもその決断を選んだとして、後ろから追ってくるとまた面倒なことになってくる。

ただでさえ人数不利なのに状況まで不利になるときつい。


後者が起きる確率もそこまで小さくない。



なら、ここで攻めておくのが得策なのか。


「っとまあそうなるか」


運命はもともと避けられないよう。

逃げる方向からも敵がやってくる。

おそらく残り3人のパーティだと思う。


1人である俺が圧倒的不利なこの状況。

本来なら、ここは敵同士をぶつけたいわけだが…


俺が中心に居る時点で、割ともうきつい。

4人チームと3人チーム。

ここに1人で突っ込むのはあまりにも無謀。


ただ、それしか対処しようがないのも結構きつい。


「行くかぁ……」


このまま悩んでも仕方がない。

突っ走るしかない。


どっちから行く?

うーん…………正直どっちでも変わらない。


「一旦こっちか……」


どっちを攻めようと、片方が後ろ側に付いてくる。

ならば、人数が多い方を前方に組みたい。


っと簡単に言ったが、要は前で1vs4するか、前で1vs3するか。

人数不利には依然変わりない。


何ならここまで行くと、もはや3人も4人も変わらないきつさだ。


「さ~てやるか!」


くよくよ言っても仕方ない。

避けられないモノは、自ら通ればいい。

俺が勝てばいい。


サブマシンガンもショットガンもリロードを済ませてある。

出来ればスナイパーライフルを所持したかった。

ひたすら頭を抜くだけなので、結構楽になりそうだったが。


まあそう運命は傾かない。


「しゃーないな、さっさと片付けようか」


サブマシンガンを持つと先手で駆け出す。

後ろから敵もすぐ迫るだろうし、もたもたしてられない。


時間に猶予はない。

一刻も早く片付けたい、じゃないと次の準備に間に合わない。




4人が一斉に詰めてくる。

そりゃ相手が1人なら全体で襲い掛かるだろうさ。

ただ、4人居れば勝てるという幻想はここで終わっていただきたい。


まずサブマシンガンで流れるように2キル。

全員のヘッドラインがほぼ同じなので流れるように撃てばそのままキル出来る。

敵はスナイパーライフルを一発撃ち込む。

ちょっと油断してて危なかった。

エイムが若干ブレてしまったが、それでも弾を避けれた。


このまま残り二人を始末しようと近づくタイミングで、


「わっと!」


流石に声が出た。

後ろからスナイパーライフルの銃声。

一瞬で後ろを振り向くと刹那の距離感にスナイパー弾。

あとほんの少し遅れればそこで終わっていたかもな。


しかし挟まれてしまった…………。

思ったより来るのが早い。

うーん、これは対処が難しすぎないか?


敵同士戦うには場所が不利だし、そもそもこの状況で俺を倒すのが得策なんだろうな。


「まあ、負けなければいい」


後ろに敵が居ようとも俺は攻撃を辞めない。

出来るだけ後ろと射線を切れるように、後は直感を信じて前を向く。

すらすら動きつつも、さっさと前を片付けに掛かる。


サブマシンガンをショットガンに切り替え。

時間も無いし、ここは勝負に出る。

相手は依然と撃ってくるが、俺が近づいてくることに気が付いたのか少し身を引いた感じ。

ただそこで逃がすまいと俺は後を追う。


「よし!」


一瞬の後姿を見逃さない。

しっかり頭に一発、敵が若干動揺した隙にもう一発。


「って後ろからかよ!」


もう1人の敵はって思ったら後ろからどんどん詰めてきてたらしい。

持っている武器は……スナイパーライフルのよう。

弾は割と軌道が安定してて掴みやすい。

空いている一瞬の時間を突いた。



後は後ろの敵のみ…………。



「さっきからずっと撃ってくるの面倒だな~」


そう愚痴を漏らしつつも、すぐに倒す。

1vs3が少しずつ軽くなってきた。

割と昔のコツを取り戻しているんじゃないか?


「よし!倒した!!!!」


『お前やばすぎ!!!!』


観戦してたlucusも流石の驚き。

さっきからendmは声すらも出ていない。


すぐにwartと合流か、と思い動く。






なんだか昔を思い出すな。

変われなかった過去の存在に捕らわれ、ずっと配信者として動いていた日々。

でも今になってはまた競技勢に戻ってきている


夜音だって新たな一歩を踏み出した。

俺もここで新しく一歩を踏み出す機会だ。


世界はまだ終わらない。

いや終わらせない。

過去の自分がそう告げている。

ここで諦めるのは罪の償いに値しないと。


また変われないのか…………

そんな自分はもう捨てた。

誰かのためじゃない、自分のために動いてやる。

白い流星を俺が動かす、とある銀河を駆けて。


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【後書き】

読んでいただいてありがとうございます~!!!








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