第246話 諦めるのは早計
「やりますか…………」
ARの中では一番最後に会場にやってきた。
白い流星3人は俺が来るかどうかドキドキしてたらしく、来て安心したらしい。
『よう、もう大丈夫か?』
「ああ、ごめんな」
俺はlucusに頭を下げる。
彼は特に怒るわけでもなく、ただ顔を優しくして俺を見守ってくれた。
『そうだよ、急にblancが落ち込んでしまってどうすればいいか分かんなかったよ!まだまだあるんだし頑張ろ!』
「そうだな!」
俺は席に座った。
『ほ、本当に大丈夫……ですか?』
「ん?ああ」
endmがひっそりと俺の方に顔を出して様子を伺った。
もう大丈夫だ。
彼女はあの一瞬、あの一時だけ本当の顔を見せた気がする。
敬語を使わず、下から見ず対等に扱ってくれた。
言葉は俺の胸にしっかりハマった。
もう必要なピースは揃っている。
あとは並べるだけだ。
「よっしゃあ行くぞ~!!!」
気を取り直して4戦目、さっきの落胆とはまた違った感情を持ちながらマウスを握った。
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『一応色々考えたんだけど、まあ一旦ここに降りよ』
lucusが指したのはさっきと同じ街。
作戦も彼を聞くにはそこまで変わって無さそうだった。
でも、この作戦の意図はまだ明かしていないはずだ。
だって、彼がここで何も変えないというのは何か特別な理由があるからだ。
「敵はやはり1パーティが被るか」
相手も中々に引かない様子。
まあそりゃそうだよな。
さっき実体験を積んだ彼らがここで下がるわけがない。
それが奇跡だってこと、偶然だったってこと、それを教えてやらないとな。
『endm~こっちに居るけど行ける?』
『あ、はい!行きます!』
wartとendmは早くも敵陣に乗り出す。
俺とlucusが後から付く。
ここは同じ作戦だった。
でも展開は違う。
『え、あ、ごめん!!』
wartがここでダウンした。
敵数は減らず、endmが1vs2で対峙。
一方こっちは2vs2だが拮抗してる。
『ん~endm、それきついか?』
「まずいな」
ここで1人減るのは流石にちょっともったいないか?
と言っても俺もそれをやっているので何も言えない。
ともかく反省は後回し、今は対処を考える。
lucusに聞かれたendmは少し時間を置いた後、
『負けるわけがないです』
はっきりと言った。
彼女には自信が付いているらしい。
不安定になったこのチーム、支えてくれる鍵となるのはやはりendmなのだろうか。
彼女に信頼を託して、俺らも戦闘に集中する。
「これ攻めたいな、タイミング合わせね?」
『そうだな、早めに倒したいところではある。グレネード投げるからそのタイミングで行こうか』
「だな」
lucusはグレネードを構えて、前方に投げた。
そしてすぐさま俺らは身を出す。
敵陣にグレネードが行き渡った時、もう俺らは敵の前に付いていた。
『よし!そっちは行けるか?』
「ああ任せろ!!」
思っていたところとは違う場所に居たため、ちょっと手こずった。
が、冷静という言葉を忘れない。
焦らず、1つ1つの行動に全力を向けた。
「勝った!!すぐendmの方に行こう!」
『だな!!』
俺らは勝利し、早い段階で彼女の助けに足を運べそうだ。
と思ったがその必要は無かった。
『いや大丈夫です。もう倒せます!』
「え?」
俺は今心の底からこんな声が出た。
とは言いつつもちろん彼女の方向に足を歩み進めていたが、
『やった!倒しました!!』
「え、まじか!!ナイス!!!」
『endm強すぎ!!!流石!!』
まさかの1vs2クラッチ。
またendmはここで決めたか。
流石はアジア最強の一角を背負っている。
「一旦wartの蘇生入るか?」
敵も居なくなったし、wartを蘇生するには十分な時間があった。
『そうだな、やるか』
銃声に嗅ぎ付けられた敵がいつ来るかは分からないが、とりあえず一旦蘇生に入る。
専用の建物で、wartの残骸を提示する。
すると一定時間が経過した後に、大きなブザー音とともにwartが戻ってくる。
『ないす~!!!助かった~!』
wartがここで復活。
もはやパーティは一切欠けていなかった。
中盤戦、やることはそこまで複雑じゃない。
wartが発見する。
それをendmが先制、そしてそのまま攻め勝つ。
ただlucusの思惑がちょっとだけ感づいた。
endmとwart、このコンビは世界に通用する、と。
そう暗示していたのだ。
彼女らは気が付いていないが、かなりの破壊力となっている。
全体的にステータスとしてもバランスが良い。
だからあっという間にキル数は12キル。
「終盤、これまたきつい盤面だな」
安全地帯への移動が俺らの対角線上だった。
距離といい、場所といい、ちょっと運が無さ過ぎるな。
『まあまだいけるよ、付いてきて!』
lucusが先導してここからは移動の始まり。
割とひやひやし始めるのもここらあたりからだったりする。
『そこ右側!敵居るよ!』
『了解です!』
移動中でもおかまなしに彼女らは撃ちまくる。
と言ってももちろんヘイトとかを考慮した上だ。
『1人倒しました!』
『よし撤退!』
1キル持って行くとすぐ撤退。
引き際が分かっていて素晴らしい。
「そこの真正面に居るのか」
次に安全地帯がそっちなったら激突だろうなぁとか思って時間を待つ。
うん、今日は運が悪い。そう確信した。
『まじか、これは対面勝負は免れないかな』
『だよね~でも敵は2人のようだよ?』
『これは行きましょう!』
チャンスのようにも思えてくる。
そう思って全員で畳みかける。
「よし、こっち倒したぞ!!」
俺はendmと協力して1人を確実に倒す。
『こっち敵が逃げたかも!頼む!』
ピンを指したところに敵が居た。
ただちょっと距離が離れているな。
そんなときは、スナイパーライフル。
もちろん俺は愛用しているので常に持っている。
「任せろ~」
俺はのんきにそう言うとスコープを覗いた。
うんこの距離でこれなら当てやすい。
俺は引き金をゆっくり引いて1キルを取った。
「よし!」
『ナイスだ!!!一旦移動するぞ!』
割と大会としてそれっぽい動きになってきた気がする。
この試合は15キルで3位だった。
最後は安全地帯までの立ち回りがしんどく、2チームから撃たれてしまったので仕方ない。
まあ次はそれも考えて行けば良いだろう。
この試合で俺らは総合ランキング7位。
一度下がってしまったからこそ、ここでちゃんと上げていきたい。
それよりも気が付いたことがある。
endm、彼女が世界に刺さる。
俺はそう確信した。
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【後書き】
ストックなくなりました!まずい!!!!!
毎日投稿切れてたら察してください。
面白いと思ったらフォロー、星ぜひお願いします!
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