第244話 第3試合 銷魂

『とりあえず3試合目も同じ場所で良いか?』


『いいよ~この調子で頑張ろ!』


『ですね』


2試合目は結構良い線まで行けた。

順位としても申し分なく、世界1位も視野に入るレベル。

このままどんどんキルと順位を伸ばせば、王者も夢じゃない。


そう、このままこの調子で良ければ……という話である。

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「こっちに敵居るわ」


『了解すぐ行きます!』


まさかの敵は俺の近くの建物。

いやちょっと思惑とは外れたけど行けるか?

endmもすぐ向かってくれるらしいし、少し待機するか。


『んー私そっちちょっと遅れそう、endmとblancで攻めれない?』


「行けるよ、たぶん。」


『じゃあ俺らは別に降りた敵倒すからそっちに居る敵頼んだ』


『了解です。』


武器はアサルトライフルとショットガン。

初動にしては全然良い。

むしろ強い方。


「やばいこっち来てるわ、」


『分かりました、私はこっちやるので任せても良いですか?』


「おっけ」


こっち側に敵が二人。

まあ2人なら行けるか?


敵2人は俺の建物に乗り込んでくる。

俺はショットガンで迎え撃つ……、あれ?


「え、まじ?」


弾が当たらない。

当たったと思っても掠っているだけ。

全くダメージが入れられないのだ。


やばい。


敵はチャンスだと思ったのか、すぐ畳みかける。


まあたまたまだろ、そう思ってショットガンを使い続ける。


「は!?」


本当に当たらない。

照準がブレる。

なんでだ?そんなこと今までなかった。


猿も木から落ちる、その言葉が急に頭をよぎった。


いや、落ち着け……冷静に考えて1vs2なんて日常茶飯事だったじゃないか。

こんくらいどうってことない。


と信じたかった。




おかしい、手が震える。

弾もうまく避けず、どんどん被弾する。


「ごめん!!!本当に!!」


全くダメージを入れられず、そのまま死んでしまった。


俺の手は本当にどうしてしまったんだ。






『まじか!そっち行くわ!!』


急に状況を察知したのかwartが動きを変えた。

ただ、そこに目を付けたのが敵だった。


『いや、待って!!後ろから………ごめん!』


ここでwartもダウン。


『まずいな、これ下がってもいいかもしれない』


lucusがそう言った。


『ごめんなさい、これ私下がれそうにないです。』


endmの観戦を見に行くと1vs3。

しかも挟み撃ち。


まもなく彼女もやられてしまう。


『きついな、これ下がるわ』


lucusは賢明な判断で街から離れようとする。

が、これを見逃すほどに敵は甘くなかった。


『後ろから足音が聞こえる!』


wartがそう声を上げた。

lucusは後ろを見て、絶望した。


『これはちょっときついな』


4人が彼をめがけて走っている。

1vs4。

この世界大会においてlucusは決められるわけもなく、


『ごめん………』


白い流星は3試合目、初動落ち、全チーム中最下位という結果を出したのだった。


「これは……俺が全部悪いな」


『いや、そんなこと』


「悪いよ。こんなところで緊張……か。」


明らかに俺のせいで皆が動きを変えた。

その結果連鎖となりやられてしまった。


完全に戦犯だった。


『大会なんだから初動で落ちることもあるよ。そう落ち込まなくていい』


「あの対峙で決めれなかったのは、完全に俺のミス。運とかじゃない。実力だった」


ショットガンが全く良いように当たらなかった。

緊張の手の震え、これも間違いなくあった。

だが、それ以上に自分自身に対する自信が必要以上に芽生えていたのだ。

1vs2、前までならこれは危険と察知できていた。

でも今回、危ないという意識は芽生えなかった。


これは完全に俺のミス。

そうとしか言えなかった。


『どうしますか、次一旦休憩入るのでバスに戻りますか?』


そっか3試合目が終わると、昼休憩か。


「そうするよ。」


俺の目から映る景色は暗いなぁ。

白い流星は早くも会場を後にした。

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【後書き】

次話は実況回じゃないです。

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