第240話 開幕の決戦
まずは1試合目。
世界大会の幕開けとなるこの第一試合。
ここでどう動くかが、今後を左右するといっても良いんじゃないか?
何はともあれ、自分たちの自己意識を高めるためにもここから勝って行きたいところ。
ただ、もちろん分かってはいたが世界のレベルは異常だった。
それでも俺たちは頑張るが……。
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ノイキャン付きのヘッドホンを装着した。
「じゃ、頑張りますか~」
『だね~!出来るだけ焦らずやってこ~』
『じゃ、降りる所はいつものとこで、』
今回の出場パーティ全員の降りる場所、まあどちらかと言えばよく降りる場所か。
それはマップに全員載せて、分析済みだった。
もちろんやってくれたのはlucus、感謝すぎる。
彼曰く、俺たちの街と被っているところは1パーティだけ。
もちろん世界を上がってきた強豪ではあるが、全体的に比べるとややマシなレベルだそう。
だから降りる場所は変更なし。
このまま直進だ。
「ここに敵4人居るよ~」
『了解です~すぐ向かいます!』
初動の動きはendmから入る。
それが俺たちの暗黙の了解でもある。
彼女の攻撃がどこまで刺さってくれるか、それはまだ俺たちには分からない。
様子見の戦闘。
endmは特にきつそうにも見えないが、ただ戦闘は長引いている。
『やっぱり敵が上手いですね。簡単には行けなさそうです。』
『私ももうそっち着くよ~4人で攻めたいかな』
『了解、blanc行けるか?』
「今向かってる~!もう少し待ってくれ!」
wartとlucusは早くもendmの援護に回った。
俺が着いた瞬間、戦闘は激化し始める。
「こっち削った!奥の敵頼んだ!」
『そこの敵が後ろに引いた!回復してるかも~』
「了解!」
wartと連携しつつ、俺たちは出来るだけ敵に自由を与えないようにした。
俺はグレネードを構える。
室内とはいえ、味方にも影響を出さず、狙っている敵だけに当たるように投げる。
アジア大会でアイテムを久々に使って、あ、これって強いと直感的に感じてきた。
だから短期間ではあったが、ちょっとずつ勉強している。
「よし!1人倒せた!そっちは行けそう?」
『もう倒しきります!1人だけ外に逃げました!』
『wart行けるか?』
『任せて!blanc、こっちに居ると思う!』
「了解!」
lucusの指示を主軸にして皆で動く。
なかなかにパーティぽくないか?
wartの言う通りに行くと、1人敵が建物に入っていた。
「この中ね、おけ。行くわ!後ろから頼む!」
『了解!』
サブマシンガンで、押し切るしかないか。
エイムは、まあ最近補正できたはず……か?
《エイムが相変わらずひっどいね、照準も雑だし。
そもそも動きに無駄が多すぎるよ》
例の少女が頭によぎる。
照準…俺に課せられた課題というやつかな。
ただ今は、目の前の敵を倒すことを考えよう。
「行くわ!」
『了解!』
wartと俺で、敵を無理やりにごり押した。
ちょっと危ない感じもしたが、案外無事でよかった。
『こっちも戦闘終わりました!』
『そっちも終わったようだな、これで1パーティ終わりか。まあまあに耐えるな』
思った以上に苦戦した。
アジア大会とかの時は、サクッと倒せて次の敵~と出来たが今回は行けない。
これが世界のレベルを表しているだろう。
おかげで、人の減りも凄く遅い。
これは終盤がやばそうだな?
『こっち行くぞ!とりあえず順位稼ぎつつ終盤まで様子見すべきだ。』
lucusの指示で戦闘は一切しないまま終盤まで持ち込んだ。
彼が直前に言っていた。
今回の戦い、どうなるかは実際本番にならないと分からない。
だが、1試合目でどれだけ状況を掴んで次に繋げられるかが鍵になると思う。
と。
では今の状況はというと………
『敵の減り遅すぎるね~まだほぼ残ってるじゃん』
『ですね、世界となるとやはり皆生き残りますね』
やっぱり鍵は終盤なのかもしれないな。
俺はそう思った。
『とりあえずヘイトを買わないようにして、動いてくぞ。』
lucusが立ち回り重視で移動してくれた。
道中絡めそうな敵は居たものの、必要以上に絡まなかった。
せいぜい1キルを持って行くくらい。
もし1キル取れても不用意に攻めなかった。
『よし、良い感じだな。』
『あそこ攻めないのですか?』
endmがピンを指したところは、敵が1人だけ。
これはチャンスのようにも見えるが。
『いや、あれはダメだな。キルは取れても安全に動くルートがない。あそこの敵が厄介だな』
高台からずっと攻撃しているチームが居た。
そのおかげでlucusも悩みながら動いていたし、他チームがどんどん減ってくれた1つの要因だ。
『思う通りに行かないですね。』
『そうだな~あそこの敵撃ってくれるか?』
『え、あ、了解です!』
「おっけ~」
彼が指示した先に居たのは3人で1パーティとなっているところ。
どこかで1人が倒されたようで、俺らの方が人数は有利だ。
俺がサブマシンガンで、endmはアサルトライフルで撃ちまくる。
『1人倒しました~!どうしますか?もう少し撃ち続けますか?それとも攻めますか?』
『ん~いや、もう1人キルできたらしてほしい。でも攻めなくていい』
『分かりました~!』
4人で撃ちまくる。
他のチームも、ヘイトを同じように仕向けたことでターゲットの敵は割と急ピンチ。
『よし!もう1人倒しました!』
『ナイスだ!!一旦引こう。このままじゃ次は俺らがヘイトを受けてしまう。』
lucusの1試合目の目標は、あくまで順位重視。
キルも大事だが、順位ポイントでどこまでランキングに入れるのかも知っておきたいようだ。
「ここスナイパー撃つな?」
俺はスナイパーを構えて敵を照準の中心にチェックオンする。
「よし!」
高台に向かって俺が撃つと、敵は頭を抜かれた。
1キルなんとか増やせた。
『ナイスだ!こっち来れるか?』
「ん、あ、ああ。行くよ今」
俺は武器を構えるのを止めて移動する。
が、やはり敵はその瞬間を見逃してはくれない。
俺にヘイトが向き始めた。
特に高台からの攻撃は結構辛い。
なんとか避けつつ岩陰に収まるも、これじゃヘイトが和らぐことはしばらくなさそうだ。
「ん~きついな。別で移動するのありか?」
『そうだな、blancがこっちに来れなさそうならそうしよう』
「おっけ、」
別行動のスタート。
と言っても俺も行動する範囲が限られている。
どう動いても銃弾は降ってくるしな。
と、なるとやはり先にlucus達が移動し終えるのを待った方が良いか。
いわゆる囮だな。
『どうだ?動けそうか?』
「いや、きついな。特に高台のやつらが」
『私がなんとかしましょうか?』
とendmが口をはさむ。
なんとかって何をするんだ?
そう聞く前に、彼女は行動で示した。
「え、あ、ナイス!」
高台に居る敵を易々とスナイパーで抜いたのだった。
俺はその隙に合流を図った。
もう1人の敵が、まだ俺の方を狙っている。
だがそのおかげでendmは反撃を食らうことなくもう1キルを持って行った。
流石に1位とまでは行かなかったものの、第1試合、結果は3位フィニッシュ。
ラストのキル、順位ポイントが功を奏して総合ランキングは5位。
『これで5位…レベルが高すぎますね』
『だね、でも切り替えて次も頑張ろ~!』
ポジティブなwartに、俺らもつられる。
そうだ、まだ試合は11試合残っている。
たかが1試合で全てが決まる?そんなこと誰も思っていない。
これからだな、俺は緩むことなく2試合目に励んだ。
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【後書き】
こんな感じで大丈夫かな……と言っても序盤も序盤だからめちゃくちゃ面白く出来るわけもなく………。
と言うと友達に、これを面白くするのが執筆家って言われました。その通りだと思います((
Twitterの投票参加ありがとうございました!
一番多かったのは、
競技シーンと実況を別々の話で出してほしい!
でした。
なので次の話は試しに1試合目の実況回にしてみます。
試行錯誤したりして頑張ります~!
追記)新作が日間2位に入ってました!ありがとうございます!
誰のサイドストーリーなんでしょうかね(小並感)
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