第239話 白星の登場

朝から割と気合いが入っている。

wartを起こして、ぱっとご飯を食べると、早速練習会場に入った。


流石は、世界大会当日。

あり得ないほどにたくさんの人でにぎわっている。

もちろん全員選手だ。

俺ら4人は自分たちの席に移ると、約1時間練習タイムだ。

手ならしくらいなので、そこまで堅くやるわけではない。


けれど、やっぱりやるならちゃんと戦うよな~という考えは、白い流星の中で一致していた。

とりあえずランクマをやって1勝した。

まあ別にコンディションも悪くない。

エイムのぶれも少ないし、自分本来の動きが出来る。


これなら本番も割と良い感じに行けそう、そう思ったところにやはりやってきた。


『今日もまだ居るんだ、ふーん』


俺は黙って声を聴く。

この声は完全に昨日の少女と同じ。

しかも今練習会場には今日大会の選手しか入れないから、彼女も選手だということか?


『エイムが相変わらずひっどいね、照準も雑だし。

 そもそも動きに無駄が多すぎるよ』


と相変わらずの毒舌だった。


「あ、えっと……」


俺もちょっとついでに聞きたいことあるし聞いてみるか。

って、英語じゃないと………


『名前はなんていうの?』


まだ簡単な英語、俺にも余裕だ。

俺が今一番確認したいのは名前だけ。

なんとなく脳裏に残るからこそ、知りたかった。


『なんであんたなんかに教えないといけないわけ?大会でどうせ会うし良いでしょ』


と吐き捨てて去ってしまった。

うーん、まあ確かにもうすぐ分かるの…かなぁ。

普通に気が付けない可能性あるし、聞きたかったな。


「えっと……大丈夫ですか?」


このやり取り、endmにはうっすら聞こえていたよう。

隣に居た彼女はヘッドホンを片耳外しつつ、心配そうにこちらを見た。


「ん?あ、ごめんごめん。大丈夫だよ。もう1試合やろ」


彼女に迷惑を掛けたくない。

俺は笑顔に切り替えるとそう言った。


まだ時間もある。悩む暇があったら練習しないと。


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結局会場の待機場までやってきたが、彼女とは一度も会ってない。

あの子が一体何なのかというもやは、どこまで続くのだろか…………。


今からは、大会入場、そしてそのままスクワッド戦に入る。

既にもう、あっちでは生配信がスタートしている。

全世界の前で顔出しとかちょっと緊張するなぁ。


まあそんなに悩んだところでどうにかなる話でもない。

俺ら専用の試合服にはもう着替え、ただ今は待機しているだけ。

あとは心の準備だけ。


オフライン大会とか初めてだしドキドキする。

深呼吸……


「よし、頑張るか」


「だな!」


「ですね。」


「頑張ろ~」


4人とも気持ちが切り替わった。




そして選手が順番に入場し始めた。

最初はヨーロッパ選手、そしてアメリカの選手っと、各地域ごとに選手が少しずつ出ていく。

どんどん前に俺らも進むので、歓声が大きく聞こえてくる。




そしてついにアジア勢のお出ましだ。

もう出番もすぐそこ……。


「なあ皆。」


lucusの声で3人は彼を向く。

彼もまた俺らの方向を向く。


「白い流星、この4人で大会に出れてよかった。最後までやり切ろうな!」


「はい!!!」


「ですね!」


「だな。頑張ろ!」


lio達も前に出て、もう俺らでアジア勢の登場はラスト。

今までこのチーム、色んな思い出があったけど、この大会が一番の思い出になるだろうな。

そう確信していた。


係員の人からのGoサインが出た。


「行くか!」


lucusから続いて前に出た。

ついに、俺たちのお出ましだ。


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4人で一斉に登場。

目の前にはまぶしいスポットライト。

大量の歓声。

この時を待ちわびていたのだ。


頭上のモニターに映るのはチーム名。


《白い流星

 White Stella》


White Stellaというのは直訳すると1つの白い星。

流星という訳し方が出来る言葉を使わなかったのは、endmの助言だった。


彼女曰く、

このチームは流星1つ1つが輝いている、だからあえてstellaにしよう。

そう言った。

まあ俺らもこの方が語感が良くて好きだったりする。


そして、俺らには専用の選手服が渡された。

胸のロゴは、流星に輝く1つの白い星。

まさしくチーム名に沿ったものだった。

それを美しくするために、夜空を原案とした青の服。

青一色で、濃淡をつけられていて凄く綺麗。


星の上にはARというロゴ。

これは俺らがARチームに所属しているあかしだ。

背中にはスポンサーロゴとかついている。


初めて見たときは、俺ら4人全員が感激してしまった。

プロゲーマーという実感がわきながら、今この場に立っている。


俺とlucusが背中を合わせて腕を組み、その前に二人がしゃがんだ。

wartとendmがカメラに向かって銃を撃つ振り。

これが俺たちの登場シーンだった。



ついに白い流星はプロゲーミングチームの1つとして、

公の場に降臨した。


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〈おまけ〉


掲示板〔世界大会来るぞ~〕


ーついにあいつらか

ー白い流星……

ーこのために俺らは見ていたまである

ー来るぞ……

ーやばい

ーなんかドキドキしてきた

ーてか普通に容姿気になる

ー分かる

ーblanc顔出しとか熱くね

ーえぐいな

ー来た!!!

ーうおおおおお

ーなんだよその服!?

ーすげえ完璧や

ー可愛いしカッコいい、なんやこのチーム

ー想像以上に美男美女やった

ーもうスペック化け物で終わった

ー俺ら何が勝てるん?

ー勉強しよう

ー全員頭良いらしいよ

ー終わり

ー前二人綺麗すぎ、後ろ二人かっこよすぎ!

ーすっご

ーいや、服かっこよすぎん?!

ーwhite stellaか良いな

ー白い流星に沿ったデザインか、うん想像以上

ーすげえわ

ーちゃんとこいつらARに所属したんだな

ーついにプロチームになっちまったのか

ー熱すぎる

ーやべえ、このまま大会始まるのか

ーうおおおお盛り上がるぜ!!

ー頑張ってくれ!

ーこうなったらもう日本全力応援だ!!!


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【後書き】

明日から大会書きます~頑張ります!

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