第238話 決勝前夜
見たことのあるようでない料理を食べつつ、その後に行ったのはミーティング。
明日がいよいよ決勝。
入り時間や、出場の順番。
全体の流れなどを再び確認する。
ちなみに明日はスクワッド戦だ。
世界大会決勝は、アジア戦ほどに簡単に終わるものでもない。
というのも、スクワッドは合計12戦ずつ控えている。
デュオは6戦と言えど、これもアジア戦よりは多い。
だからスクワッドだけでも2日に分けて行うことになっている。
前半が明日。
午前中から昼過ぎにかけて3試合。
午後に残り3試合くらいをやって、合計6試合。
結構集中力は頑張って続けないと厳しい戦いになるかもしれない。
そして、スクワッド戦は最初に入場から入るのだが、これももちろん決まっている。
アジア勢からの出場者はARが2チームを占めている。
先にlio達が出てきて、アジア勢のラストは俺ららしい。
んーちょっと緊張するかな。
「まあでも行けると思いますよ、頑張りましょ!」
横に居るendmと小さくグータッチをしつつ、続きを聞いていく。
と1,2時間に及ぶ会議が終わった。
まあ全体確認がほとんどだし、明日はプレイに集中できそうだ。
wartとlucusもそこまで何かおかしい様子もない。
大丈夫だろう。
部屋に戻ろうかと思って立ち上がると
「blanc選手?ですか?」
とまた話しかけられた。
振り向くと、眼鏡をかけてスラっとしている1人の男性。
偏見になるが、めちゃくちゃ勉強してそうな容姿をしている。
「え、あ、そうです!あなたは…eli選手?ですか」
「そうです!blancさんと会えて自分凄くうれしいです!」
eli選手、一瞬誰だっけなと思ってようやく思い出した。
lio達のチームの一人のメンバーだった。
昨日ちょっとだけARについて調べていたので、なんとか覚えてられた。
「その、blancさんをきっかけにこの界隈に出会えたので、本当に会えたのが奇跡みたいです」
俺をきっかけに……か。
そんなこともあるんだな。
「そっか、ありがとう。でももう同じチームだ。お互い頑張ろ!」
「はい!!」
握手を交わすと、その場を去った。
なんか嬉しいな。
今までやってきたことが、誰かの人生に影響を与えて。
誰かのきっかけとなる人になれたのが、自分ながらに嬉しい。
「あれ、blanc。機嫌良いですけどどうかしました?」
「ん?いいや、何も~」
endmに聞かれたが、この気持ちは隠しておこう。
こんなんで、ってなるとちょっと恥ずかしくもなるものだ。
なんとなくいつの間にか4人で集まり、部屋に戻っているとき。
「うわ~凄い!吹き抜けだよ!」
wartが走って行った先は、いくつもの階層を貫く吹き抜けエリアだった。
ショッピングモールとかで見るが、ホテルで見るのはなかなかにないな。
こう見ると、ここ凄く広いとこなんだな。
「凄いな~めちゃくちゃ広いし。」
「来てよかったですね。」
上に光るシャンデリアを眺めつつ、よし部屋に戻ろうと目線を下げると、
「ん?」
対面側の柵に身体からぼーっとしている人が居た。
よく見ると、
あの時の少女?
何か寂しそうに、ずっとどこかを見つめている。
どうしたんだろう。
こういう人を放っておくのもなんかな~と思ったが、そのタイミングで
「blancどうした?何かあったか?」
lucusがこっちを見てきょとんとしている。
「いやなにもないよ」
俺は今まで見たことを無かったことのようにして、そのまま皆の居る方に駆け足で向かっていった。
まだ寝るのには早い時間。
だから最後の作戦会議を部屋で4人集まって行っていた。
ただ、lucusの話を横目にずっと脳裏にはさっきの少女が浮かびあがってくる。
別に知らない少女だし、何なら俺に対して初対面から色々言ってきた人。
でも、なぜか引っかかる。
頭から離れないまま、この夜を過ごしていた。
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【後書き】
明日から決勝回です!
昨日とか今日の話とは打って変わって
次話はまあまあに文字数多くなると思います!
頑張ります!
やっぱ試合とかそういうのが絡まないとこの作品に花が咲かねえ!
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